服地パイセン

生地にうるさい服屋で学んだことを活かし、洋服のわかりづらいことをわかりやすく解説します。

地球に優しいリサイクルダウンとは?

こんにちは。

服の生地についてのブログを書いています。服地パイセンです。


ユニクロなどで、リサイクルダウンジャケットを見かけるようになりました。
店舗でも着なくなったダウン製品を回収したりしてますね。

グローバル企業ほどサステナブルへの意識が高く、取り組みも早いように感じます。

 

リサイクルダウンを簡単にいうと

そのまんまですが、リサイクルダウンを簡単にいうと
羽毛製品を再利用してつくられる、サステナビリティを意識したダウンです。

 

なんとなくリサイクルダウンについてざっくり知りたい、
という方はこの理解で大丈夫だと思います。

リサイクルダウン

ここから先は、
どのようにリサイクルされるのか、羽毛のリサイクルにはどのような課題があるのかといった内容になります。

アパレル産業が抱える問題の一つを知るきっかけになればと思うので、
最後まで読んでいただけるとありがたいです。

 

ダウンジャケットの中身

ダウンジャケットやダウンベストなどのダウン製品は、
防寒のためにダウン(羽毛)フェザー(羽根)を詰め物として入れています。
二種類の羽が混ぜて詰めてるんですね。

 

ダウンとは?

ダウンは水鳥の胸に生えている、たんぽぽの綿毛みたいにふわっとした、芯のない毛(?)です。
水鳥の胸毛はふわっふわなんです。

 

フェザーとは?

フェザーは、羽軸がついた羽根です。
赤い羽根共同募金で使用していたものをイメージするとわかりやすいと思います。
あんな感じの羽根です。


そのダウンとフェザーを再利用している製品ということですね。

 

ダウンの現状


羽毛は貴重な天然の資源で、とても高価な素材です。
さらに丈夫でくりかえし使えるんです。


ですが、
使わなくなった羽毛製品は大量に焼却処分されている
というのが現状です。


その使われなくなった羽毛をあつめ、製品として再利用したものがリサイクルダウンです。
アップサイクルダウン
グリーンダウン
という言い方をされることもあります。

どのようにリサイクルされるか


①使われなくなった羽毛布団やダウンを回収する
②羽毛製品を解体する
③壊れて使えない羽毛を除去する。
④洗浄、すすぎをくりかえす。
⑤高温で乾燥、ちりやほこりを取り除く。
⑥羽毛の品質を選別する。
⑦品質検査
⑧リサイクルダウンとして製品づくり


企業によって手順は異なるかもしれませんが、
だいたいこの流れでリサイクルされます。

 

リサイクルダウンの問題点

問題1

いっけん、再利用だから安いと思ってしまいます。
一度廃棄されたものを使うわけだから原材料はかからないので新品より安い、
と考えるのは当たり前。
家電なんかは新品のものを買うより中古のほうがかなり安いですからね。


ですが、それは誤りなんです。


今直面している課題として、
リサイクルダウンを使用した製品の方が値段が高い傾向にあります。


理由は再利用した方がコストがかかるから。

品質を保証された製品を提供しようとすると、どうしても工程が増えてしまいます。
きれいに洗浄したり、検品したりしないといけませんからね。
工程が増えるということは設備費や人件費などがかかってしまいます。


この再利用のコストをいかに下げれるか
が今後のカギになってくるようですね。


加えて、羽毛の再利用に関わるすべての工程の中での二酸化炭素の排出量をいかに少なくできるか
も課題のようです。

 

問題2

もうひとつの問題として、
人々の価値観をいかに変えられるかだそうです。


例えば品質の同じ、10万円のダウンジャケットAとBがあったとして、


Aは新品の羽毛をつかったダウンジャケット
Bは再利用の羽毛をつかったダウンジャケット


どちらのダウンジャケットを選ぶかは消費者次第です。
羽毛の再利用に良いイメージがなければAの新品のダウンジャケットを選ぶでしょう。
逆に良いイメージがあればBのダウンジャケットを選ぶはず。


リサイクルダウンを普及させようと思うと、
ダウンの再利用に対してのイメージアップが必要です。


ひとびとの価値観は、これまでも時代とともに変化してきたので、
これからどのように変わっていくのか、とても楽しみです。

 

羽毛のリサイクルを先導するアパレル企業


企業の社会的責任やサステナブルの機運が高まり、
パタゴニアユニクロはダウンのリサイクルに早くから着手していました。


社会の理解が得られる前から着手するのは、資金的にもとんでもなくたいへんなことだと思うので、本当に尊敬します。

パタゴニア

「世界一責任感のある企業」といわれるパタゴニア

Don’t Buy This Jacket(このジャケットを買わないでください
という広告を出して数年たちますが、僕はそのとき、何を言っているのか理解できませんでした。

 

www.patagonia.jp

 

ユニクロ

「服のチカラを、社会のチカラに」
というスローガンをかかげ、
自然との共生を考え、つくられる過程で革新的な技術を使い、地球に余計な負荷をかけない服作りを行っています。


近年ウイグル地区での綿花栽培の強制労働が問題になったのですが、そのコットンを使用していた企業にユニクロも含まれていました。
少なからず少しイメージダウンしてしまった人もいるんではないでしょうか。
ユニクロは日本を代表するアパレル企業ですし、企業イメージの挽回のためにもひとつずつ頑張ってほしいと思います。

 

最後に

企業は、環境を意識した取り組みを行っています。

数年前からすると、間違いなく未来のために変化する準備をしています。
もしくは準備し始めています。

 
まだ意識が変わっていないのは消費者の方です。

無理やり意図的に変わらなければならないとは思いませんし、時代の流れに身を任せるのも大事ですが、アパレル企業もそういった取り組みをしているというのを一人でも多くの方に知ってもらえたらいいなと思います。

 

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