服地パイセン

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OPP袋の会社の人と話してわかった環境のことや脱石油のこと。

OPP袋と環境問題について業者に聞いた

 

こんにちは。
服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。

 

前回に引き続き、石油由来の繊維関係の内容ですが、今回は服の生地ではなくOPP袋に関する話です。

 

OPP袋は石油から作られ、昨今の環境問題に直結する資材で、CDの袋やラッピングの材料などに使われる透明な袋。
食品の梱包にも使われ、食パンを入れる袋なんかもこの類です。

 

先日、梱包資材のOPP袋を発注をしていて、営業の方とお話しする機会がありました。

このブログでも環境問題についていろいろと書いてるように、興味があったので色々と教えていただきました。

そのことを記事にしてみます。

 

 

 

 

 

世の中は脱石油、脱プラを掲げている

世界は脱石油をかかげている

まずは、社会がどうなっているのか。

 

今、循環型社会の実現にむけて『脱プラスチック』だったり『脱石油』を掲げる動きがあります。

 

これは環境に悪影響をおよぼす石油由来の製品を使わないようにして、石油の依存を減らそうという政策です。

 

企業の取り組みは、どのような例があるのでしょうか。

 

スターバックスは店舗でのプラスチックストロー禁止

スターバックスは冷たい飲み物のストローを紙製にしました。

 

世界規模で展開するスターバックスの店舗でストローの使用を止めると、年間で10億本以上のストロー廃棄を削減できるほどの影響があるそうです。

 

ストローも一本だけだと影響も僅かなもんでしょうが、10億本となるとかなり影響ありそうですね。

 

日清食品カップ麺の容器の変更

2008年に日清食品カップヌードルは容器を発泡スチロール製のものから、紙由来のECOカップに変更しています。

昔は、熱湯を注いだらスチロールが溶けて、からだに悪いんじゃないか?とか言ってましたね。

 

ちなみに、カップ麺の容器には安全性と断熱性が求められるので、紙製のものは数層の構造になっているそうです。

 

『環境に配慮する』というのは、ただ単に素材だけを変えればいいという簡単なものでなく、使用用途に合わせて構造から考え直さなければならない、とても大変なことなんですね。

 

スーパー、コンビニなどレジ袋削減

2020年にレジ袋が有料化されたのは記憶に新しいです。

レジ袋が有料になったことで、マイバッグを持ち始めた方も多いのではないでしょうか。

 

マイバッグを持ち運ぶようになったおかげでレジ袋の消費量は格段に減っているはず。

 

世界規模で考えると、毎年1兆枚というとんでもない数のレジ袋が、たった10分程使われただけで捨てられていたそうです。

 

僕がよく行くスーパーでは、毎月どのくらいの人がマイバッグを利用したのかを掲示してあり、『10月度は69.5%の人がマイバッグを使用した』と書いてありました。

約7割の人がレジ袋を使わなかったと考えると、かなりの影響がありそうですね。

 

ペットボトルの回収とリサイクル

ペットボトルは石油からできています。

このペットボトルを再利用することで、新たに使用する石油を減らそうということです。

 

ペットボトルがポリエステルやフリースに生まれ変わるというのは有名な話ですね。

 

OPP袋の使用は減っているのか

OPPの業者さんとの商談

さて、業者さんから聞いた話に戻します。

 

循環型社会を目指して、取り組んでいる例をいくつか挙げていきましたが、その業者さんがいうには

「脱石油を掲げて取り組んでるように見えるけど、それはまだ目に見えてるとこだけ」

だそうです。

 

なにかを含んだような言い方でした。

 

たしかにレジ袋など、消費者が直接目に見えるところは減っているのは間違いなさそうです。

これは流通でいう、いわゆる川下で、消費者が直接見えてる部分。

たしかに減ってる印象です。


しかし、
中流の部分や、消費者が直接目に見えていない部分はかなり甘いんです。例えばネット通販の普及もあり、商品の発送には石油由来の袋が必須。

店頭での販売ではこれまで必要なかった梱包資材をよけいに使うことで、増えてるところもある。

そういった全ての過程を考慮したら、減っていると言い切るのは難しい」
だそうです。

 

ネット通販の会社で働いているので、言っていることがよく理解できました。

 

どういうことか。

僕が勤めるネット通販の会社を例に挙げてみます。

小売りとPP袋

通販ではお客様のもとに商品を発送する際、きれいな袋にいれて発送します。

 

メーカーから小売店に納品された商品も袋に入ってますが、袋がシワになっていることも多く、あまり印象がよくありません。

なので、それらはきれいな新品の袋に梱包し直して発送します。

 

せっかくのお買い物なので、きれいな袋で届いた方が気持ち良いのは間違いありませんし、梱包がきれいなのはお客様からの高評価に直結します。

 

どこの会社もそうしているのか、わかりませんが、メーカーから送られてくるPP袋は薄くて破れやすいものが多く、あまり印象が良くないので詰め替えてる会社は多いのではないかな?と思ってます。

 

 

①PP袋にはいってメーカーから服が納品される。
②きれいなOPP袋に商品を梱包し直してお客様のもとに発送する。

 

このように、僕の働いている小売の会社だけでも、石油由来の袋を2回使用しています。

 

環境への配慮とコストの問題

アパレル商品を梱包できるようなきれいな袋で、環境にやさしいような、生分解性のある袋はないのか、聞いてみました。

 

「植物由来だったり、生分解性だったり、エコを売りにした袋はあります。ただ、値段が高すぎて採算があわず、なかなか扱ってくれる会社はありませんねぇ」
とのことでした。

 

原料が高いので、資材の値段も高いらしい。

 

例えばポリエチレンやポリスチレンの原価は、1kgあたり100円程度です。

これに対して生分解性プラスチックは1kgあたり1000円~2000円くらいの原価になるそう。10倍〜20倍くらいかかるようです。

このように各企業が従来のOPP袋から生分解性プラスチックへの切り替えを阻んでいる大きな理由は『コストの問題』です。

 

ネット通販は、店舗を構えず国内全域が商圏になるので、効率が良いと思われがちです。
ところが実際は何かとコストがかかり、思いのほか利益は薄く、資材は出来るだけコストを抑えたいところです。

 

僕の知る川下の部分だけでもかなりの量のOPP袋、PP袋を使用しているので、流通過程全体を通したらどれだけつかっているんでしょうか。

 

服の流通や、川上から川下については、詳しくはこちらの記事を読んでみてください。

www.fukujipaisen.com

 

OPP袋とPP袋の違い

OPP袋を持つ手

 

その業者さんはこんなことも言っていました。

「こんなにきれいなOPPは日本にしかないですね。海外はつかってもPP袋が多いです。」

と言っていました。

 

…???

 

僕はそれまでOPP袋とPP袋の違いを知らず、
「きれいで透明度の高い袋と、そうでない袋があるな」となんとなく思っていたくらいなもんで、たいして気にしたこともありませんでした。

 

業者さんから教えてもらったことや調べてわかったPPとOPPについてまとめます。

 

異なる特性のPP袋とOPP袋

商品を梱包している透明な袋には
OPP袋CPP袋があり、アパレルの包装材としてはOPPが一般的です。


どちらも石油由来のポリプロピレンからできているので、PPといいます。

 

ただし、このOPP袋とPP袋、同じポリプロピレンからつくられているにもかかわらず、その特性に違いがあり、使用される場も違います。

 

それぞれの違いを簡単に説明します。

PP袋が大分類で、その中にOPP袋とCPP袋があるのですが、この記事ではCPPとPP、同じものとして考えます。

 

PP袋の種類

OPPオリエンテッドポリプロピレン(延伸ポリプロピレン

CPP(PP):キャストポリプロピレン(無延伸ポリプロピレン

 

OPPとは

OPP袋は透明度が高く、光沢感があるので、雑貨や小物の包装によく使われます。

パリっとした質感が特徴で、商品の包装や花屋さんのラッピング、ケーキのフィルム等、最も多くの範囲で利用されています。

クリスタルパックやクリアパック、OP袋といった、いろんな呼び方がありますが、こちらは各メーカーの商品名や略称で素材は同じです。


OPP(Oriented Polypropylene)は日本語では「二軸延伸ポリプロピレン」と表現されます。

 

要するに、元のポリプロピレン素材を縦横の二方向に伸ばしたものです。

 

伸ばすと薄くなるのに強度が上がるというのは意外な感じがしますが、引っ張ることで結晶の方向が揃い、コシの強いフィルムになるそうです。透明度も向上します。

 

しかし強度はありますが切り裂きには弱く、耐冷温度も-20℃止まりで冷凍品には不向きです。

 

PP(CPP)とは?

CPPはOPPの前段階のフィルムです。

フィルム製造時に引き伸ばさないので、OPPと比べて柔らかく、透明性が低いフィルムになります。

 

「無延伸ポリプロピレン」=CPP(Cast Polypropylene) と呼ばれます。

 

CPP袋は引き延ばしや衝撃に強いことから、ダイレクトメールや食パンの包装に使われることも多いです。

 

OPPの方が透明度は高いのですが、フィルムの柔軟性があるので応用範囲が広いといった特徴があります。

 

さらに防湿性と耐熱性があることなどから、湿気に弱い食品の包装にも使われます。

 

最後に

今回の内容は業者さん一人に聞いただけなので、偏った情報があるかもしれませんが、なかなか聞くことがないものなので貴重な経験でした。

 

『脱石油』という情報はよく目にするし動きは消費者には向けられているけど、会社単位ではまだまだ浸透していないんだな、と改めて感じました。

 

無理してまで、脱プラ•脱石油に協力しなければならないとは思いませんし、人に強要したりもしません。

 

知識として知っておいて損はないかな、ぐらいの感じで受け止めています。

とりあえず、まずは自分の中で自然にできる範囲のことをしっかりやっていこうと思いました。

 

 

ビニール袋とプラスチックバックの違いについての記事もあるので、よかったら読んでみてください。

www.fukujipaisen.com

 

 

 

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