服地パイセン

生地にうるさい服屋で学んだことを活かし、洋服のわかりづらいことをわかりやすく解説します。

30年着ているTシャツ首の伸びは氷水で戻る?試してみました。

Tシャツは氷水で蘇るのか

こんにちは。 洋服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。

 

Tシャツを長く着ていると、どうしても首のリブが伸びてヨレてしまいます。そして伸びてしまったから捨てたというのは誰でも経験あると思います。

 

今アパレル業界では「環境に優しく、長く使える物を生産する」という流れがあります。それに、消費者も「洋服を大切にして少しでも長く使おうとする」意識も強くなりました。

 

なにも丈夫な服だけではありません。普段着ているTシャツも、少しでも長く使えるに越したことはありません。そういえばTシャツのリブの伸びは氷水に浸すと戻せると聞いたことがあるのですが、ただ冷やすだけで本当に元に戻るのか?気になります。


この記事では、本当に首の伸びは氷水で戻るのか試してみました

 

 

 

 

 

Tシャツの首が伸びているとどうなる?

Tシャツは普段着で、日常的に着るものなので着用する機会は多いと思います。
夏場はTシャツ一枚、それ以外の季節もインナーとして年中活躍する便利なアイテムです。

そんなTシャツの首が伸びていると、それだけでみすぼらしく、
だらしない印象になってしまいます。

 

特に今は首の詰まったクルーネックが主流なので、首がよれて開いてしまっていると一気に印象が悪くなってしまいます。

 

なぜTシャツは伸びるのか。ヨレヨレになる原因

まずはTシャツの首元が伸びてしまう理由を整理しましょう。

 

Tシャツの編み方

Tシャツは編み物の一種で、「天竺編み」という編み方の生地で作られています。
この天竺編みは横方向によく伸びるという特徴があります。

 

よこ糸が引っ張られて、その分たて糸が余ってしまい、その面積が大きくなると波打つようにヨレヨレになってしまうようです。

( 編み物生地について書いた記事もあるのでよかったら読んでみてください。)

 

Tシャツの素材や糸にも原因が

Tシャツはコットン(綿)でできてるものがほとんどです。
このコットンの特徴として、水を吸うと収縮するというものがあります。
ジーパンなんかを洗うと縮んでしまうのもそのためです。

 

Tシャツに限らず「一回洗っただけで型崩れした」という声をよく聞きますが、それはコットンの性質上、ある程度は仕方のないことなんです。

 

Tシャツの首のヨレを防ぐには

Tシャツの首が伸びてしまうのは、着用中よりも、それ以外のことが多いです。
具体的には、洗濯しているときと洗濯物を干すときです。

 

洗い方は洗濯ネットに入れる

デリケートな服を洗濯する際は、洗濯ネットを使用するのがいいでしょう。
洗濯中に服が伸びるのは洗濯機の中で他の衣類と絡まり、絡まった状態で引っ張られて負荷がかかるからです。

 

Tシャツにそこまでするの?と思うかもしれませんが、伸びてほしくない服は絶対洗濯ネットに入れた方がいいです

 

干し方は形を戻すように

洗濯機で洗った後、ハンガーに吊って干すときも注意。
ハンガーはネックの部分から通さずに、裾の部分から通すようにしましょう。

そして首の形を綺麗に整えてあげることも大事です。

 

コットンは水を吸うと縮むと書きましたが、乾くときの形状を維持しようとする性質もあります。
半乾きの状態で形を整えてあげるというのはかなり有効です。

 

伸びたTシャツの首のヨレを戻す方法

すごく簡単なので、家にある物だけで実践できると思います。
首のよれを戻す方法を順番にかいていきます。

 

氷水につける

ボールに入れた氷水

ボールに水道水をはり、そこに氷をいれて氷水をつくります。
夏場は水道水の温度も高めで氷がすぐ溶けてしまうので、たくさん入れないと冷たくなりません。

氷を15個くらいいれてキンキンに冷やしました。

 

Tシャツを優しくしぼり、シワを伸ばす

強くしぼってしまうとよけいに伸びてしまうので、
伸びないようにゆるーく優しくしぼって水気をきっていきます。

 

首元のリブの形を崩さないように干す

コットンは水気を吸うと縮み、乾くときに形が固定されるので、
縮んだ状態をキープするように丁寧にハンガーを通します。
できるならハンガーよりも平干しのほうがいいと思います。

 

氷水でTシャツのヨレを戻してみた

Tシャツの首のリブの伸びをを氷水で戻す

上で書いたように、氷水に1分間浸して、形を整えて干します。

 

ビフォーアフター

Tシャツの首の伸び戻す前

 

Tシャツの首の伸び戻した後

BEFOREの方は畳みジワもあるので、少しわかりにくいかもしれません。
AFTERの方はリブの形が綺麗になっています。

 

これだけではわからないので、着てみました。

 

Tシャツのリブが伸びた状態

BEFOREは首元がよれてリブがあまっています。
生地がへたれてVネックのようになっているのがわかります。

 

Tシャツの首の伸びを氷水で戻した状態

伸びてしまったものは新品同様とまではいきませんが、クルーネックの丸い首の形に少し戻っています。リブも少しハリが回復した気がします。
おそらくずっと戻っているわけではないとは思うのですが、少しはマシになった気がします。

 

最後に

このTシャツはお義父さんからいただいたもので、おそらく90年代のアメリカ製のもの。
ずっと着続けていたわけではありませんが、30年前のTシャツです。

物を大事にして、長く着ることもトレンドというかムーブメントなので、
是非試してみてください。

 

7月20日はTシャツの日

最後にTシャツの雑学を。
「Tシャツを自己主張のキャンバスに見立てもっと楽しむ日にしよう」という事を目的にした記念日がTシャツの日です。

 

Tシャツの日の由来は「T」はアルファベットの20番目の文字であるということ。
さらに「海の日」がTシャツのイメージにふさわしいということだそう。


現在は海の日がハッピーマンデーの導入で、
7月の第三月曜日に変更されているので7月20日ではありません。

 

丈夫で、1枚で着れるTシャツを比較した記事もあるのでぜひ読んでみて下さい。

www.fukujipaisen.com

 

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