こんにちは。 洋服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。
夏が近づき暑くなってきました。服装は半袖が増え、バランスを取るように足元は自然とコンバースのチャックテイラーに。
コンバースのスニーカーは履き心地も見た目も軽くて暑苦しくならないから、春夏によく履いてます。
そんなコンバースのスニーカーに使われているのは『キャンバス』という生地です。
スニーカー以外にも様々なものに使われていて、思っていたよりも身近にたくさんありました。
今回はそんなキャンバス素材についてまとめてみます。
キャンバスを簡単に言うと
キャンバス生地はとても丈夫な生地です。
どんな生地かというと、キャンバススニーカーやL.L.Beanのトートバッグに使われる生地と言ったらわかりやすいかもしれません。
キャンバスは丈夫で長持ちするので、昔から年代問わず幅広く愛されている生地です。
なんとなくキャンバス生地についてざっくり知りたい、という方はこれくらいで十分です。
ここから先は、キャンバスを掘り下げた内容になるので、ご興味があれば是非読んでみてください。
キャンバスを詳しく解説
キャンバスとは、太めの糸を密に織った厚手の平織物の生地です。
英語ではキャンバスやダックと呼ばれ、日本では帆布(はんぷ)と呼ばれます。
一般的にはダックのほうが厚めのものを指す場合が多いです。
素材もさまざまな種類がありますが、綿や麻などの天然素材が中心です。
キャンバス生地は何に使われる?
キャンバス生地は様々なアイテムにつかわれます。代表的なものは
•トートバッグ
•スニーカー
•アウター
•ボトムス
などでしょうか。
ファッション以外でも耐久性が求められる様々な箇所に使われています。例えば、
•跳び箱の一番上のところ
•体育の体操マット
•ハンモック
などもキャンバス生地がつかわれています。
キャンバス生地の名称の由来
キャンバス生地が使用されるようになったのは、14世紀頃。
名称の由来はギリシャ語の「Canvas」で、意味は「麻でおられたもの」ということだそうな。
キャンバスは油絵の画布として、それまで使われていた板絵に徐々に取って代わっていったそうです。そして現在も画布としてキャンバス生地は使用されています。
ちなみにキャンバス生地のことを「ズック」と呼ぶ人もいて、そちらはオランダ語で「布」という意味です。
いずれにせよ、布としてかなり歴史の長い素材です。
キャンバスと帆布、ダックの違い
キャンバスと帆布とダックは同じもののように書きましたが、なんとなくそれぞれニュアンスがすこし違うように思います。
厚みや重さでそれぞれ定義づけされているらしいのですが、正確なことはあまりわかりませんでした。
キャンバス生地が日本で帆布と呼ばれているのは、帆船の「帆」として使用されていたから。
突風を受けても破れない頑丈な布として、帆布が選ばれていました。
『ダック』はアメリカで使用されて一般化、独自に基準化されたコットン厚物平織り生地。ワークウェアなんかに使われています。
『キャンバス』は、帆布、ダックも含めた厚物平織り生地の世界的共通名称、というニュアンスがあると思います。
厚みを表す「号」「オンス」とは?
生地の厚みを表す単位にキャンバスは「オンス」帆布は「号数」を使います。
数字によって生地の厚さが変わり、オンスは数字が小さいほど薄く、大きいほど厚くなります。
帆布の号数は0号から11号まであり、
0号がもっとも厚みがあり、11号がもっとも薄い生地になります。
号数は小さい方が厚いというのがややこしいですね。感覚的には、数字が大きい方が分厚そうに思えてしまいます。
キャンバス生地の特徴
キャンバス生地の特徴をまとめてみます。
メリットとデメリットに分けて挙げていきます。
キャンバス生地のメリット
まずはメリットから書いていきます。
丈夫で耐久性がある
キャンバス生地のの特徴として「強度」があり、これこそが重宝され様々なものに使われる理由です。
もともとキャンバスは帆船の帆やテント、パラシュート、石炭運搬用袋など強度の必要なものに使用されてきました。
さらにキャンバス生地は、強度の高さと通気性の良さを両立しているのもすごいです。
人間は足の裏に汗をかくので足元が蒸れやすい。キャンバス製のスニーカーは通気性が良く、生地の特性をうまく活かした製品だと思います。
風を通さないレザーと比べると全然ちがいます。
雨や水にも強い
キャンバスは平織りの高密度な生地なので、水を通しにくいという特徴を持ちます。
例えばL.L.Beanのボートアンドトートなんかは、繊維密度の高い生地を使っている為、そのままでもある程度の撥水効果があるんだとか。
防水スプレーを吹きかけておくと汚れた雨水や泥はねからの汚れも防いでくれるためおすすめです。
汚れたら洗えるし、風合いが良くて経年変化を楽しめる
キャンバス生地は洗えます。
キャンパス生地は、のり付けをされて販売されていることが多いです。
そのため使い始めのキャンパス生地は固くてしっかりとしています。
洗濯を繰り返すと、この加工が少しずつなくなり、生地が柔らかくなってきます。
洗濯機はシワになったり型崩れしやすく、キャンバス特有の硬い質感が損なわれてしまうことも。
洗濯機で洗う場合は次の2点に注意してください。
・手洗いコースまたはドライコースで洗う
・しわになるから洗濯機で脱水はしない
キャンバス生地のデメリット
今度は注意した方がいいことについて書いていきます。
汚れが目立ちやすい
キャンバス生地は、汚れやすいのが欠点です。
汚れやすいというより、生成り色やオフホワイトのものが多いので汚れが目立ちやすいと言った方が正しいかもしれません。
化繊は拭き取るだけで汚れを落とせるものが多いのですが、キャンバス地は濡れた布などで汚れをたたき出したり、洗濯して落とさなければいけません。
購入してすぐに防水スプレーや撥水スプレーを吹きかけておくと、生地の表面がコーティングされるので汚れがつきにくいです。
丈夫だが重い
当然ですが厚みがある生地ほど重たいです。
糸の本数が増えるほど厚みがでるので、生地が重たくなります。
一方、「オンス」は1平方ヤードごとの重量です。つまりその数字が大きいほど厚みがあり重いというわけです。
号数は、数字が小さいほど撚り糸の本数が増え、厚みがあり、重い生地になります。
フォーマルなシーンには向かない
キャンバスはカジュアルな生地なので、フォーマルやビジネスシーンではあまりつかわれません。
少しでもきれい目な印象を出したいのなら、
部分的にレザーが使われていたり、ドレッシーなものを選ぶのがいい思います。
なぜ丈夫なのか?キャンバスの織り方
キャンバスは平織りで織られた厚手生地です。
撚り合わせた糸で、縦糸と横糸を交互に重ねて強い圧力を加えて密に織り上げているので、丈夫で摩擦に強い性質を持っています。
キャンバスの生地をどアップで見たらこのようになっているんですが、太い糸をギチギチになるように密におられているのがわかります。
キャンバス生地はどの季節に活躍する?
ファッションでは季節感がとても大切です。
夏に冬のコートを着ていたり、冬にすごい薄着だと違和感を感じてしまいます。
季節感と素材感について、だっちさんが書いていた記事がとても参考になりました。
是非読んでみてください。
それを踏まえていいますと、
キャンバス生地は春夏向けの生地です。
季節とキャンバス生地のアイテムを結びつけるとこんなかんじでしょうか。
春はトートバッグ
春は新生活ということで、バッグを買い替える人が多いです。
もしかしたら、服屋ならではの考え方かもしれませんが。
だからなんとなく、春はキャンバストートっていう印象があります。
キャンバストートの明るい色味は春を感じさせてくれます。
当時は冷蔵技術が発達していないので、キャンプの際なんかに氷を運ぶ必要がありましたが、よくある生地では外気温が伝わってしまい氷が溶けてしまいます。それを防ぐために厚手の生地を使う必要があり、デニムの倍くらいの厚みの生地が採用されることになったそうです。
薄手のタイプもあります。
軽さと、3000円以下で買える手ごろなお値段で、
最近人気のようです。
夏はキャンバススニーカー
キャンバススニーカーは年中履いている人を見かけますが、足元に軽い印象を与えてくれるので春夏に活躍するアイテムです。
上述したように丈夫さと通気性を兼ね備えているので、汗をよくかく夏の足元にピッタリ。
僕はナイキのスニーカーばっかり履いてますが、
夏は暑いのでコンバースのキャンバススニーカーをよく履きます。
秋はカバーオールとか
キャンバス生地は春夏な印象ですが、
色味に気をつければ秋らしさを演出できます。
カーハートのダック生地のカバーオールなんかは
ブラウン系の色味でぴったりです。
冬は…あまり使わない?
キャンバス生地は冬にはあまりつかいません。
基本的に春〜秋向けの生地です。
冬にキャンバススニーカーを履いていた人を見て違和感を感じたことから書いた記事がこちらです。
最後に
キャンバス生地はとても身近な素材で日常に溢れているので、誰でも一度は手にしたことがあるんではないでしょうか。
丈夫で末永く使用でき、経年変化も楽しめる風合いのある生地で、春夏にぴったりです。
その他の柄や、 洋服の生地や素材、縫製について解説しているのでよかったら合わせて読んでみてください。
▶︎『生地・素材・縫製』について
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