こんにちは。 服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。
もう長いこと服に携わる仕事をしているのですが、服の製造から流通までの仕組みについては数年前まで知りませんでした。
アパレルの全体像が見えるようになったのは、今の会社で自社商品の企画から販売を行なっているからだと思います。
僕は企画はしてませんが、知るしっかけになったのは間違いありません。
今後、アパレル業界がどのように変化していくのかはわかりませんが、まずは現状を知らなければ、先のことなどわかりません。
ということでアパレル業界の流通でよく言われる
「川上、川中、川下」について書いてみます。
「服は高いのに原価は30%以下」などとよく言われますが、川上〜川下までを理解するとその理由も見えてきます。
- アパレル業界の川上・川中・川下とは
- アパレル業界の川上では原料や材料を生産する
- アパレル業界の川中は原料から製品を作る
- アパレル業界の川下は商品を消費者へ販売する
- なぜSPAはアパレル流通に誕生したのか
- 最後に、なぜ洋服は高いのか
アパレル業界の川上・川中・川下とは
アパレル商品のほとんどは、
①原料を調達して、②製造をする。そしてそれを③販売するといった流れです。
この3段階でそれぞれの企業が役割分担をしています。
この製造の流れを川の流れに例えて「川上・川中・川下」とよく言われます。
①川上:原料の生産
②川中:商品の生産
③川下:小売や流通
この3つのグループで構成されています。
それぞれどのような役割なのかもう少し詳しくみていきます。
アパレル業界の川上では原料や材料を生産する
川上には、繊維素材に関わる産業や企業が含まれます。
アパレル商品を作るため糸や繊維を製造したり、それを卸したりする繊維メーカーの分野です。
その繊維や糸で生地をつくっているメーカーや卸しを行う企業も川上に当てはまります。
要するに糸や材料に関するセクションです。
ここでは自社で洋服の販売を行うことはあまりなく、会社同士のBtoBのビジネスがほとんどです。
繊維メーカーの役割は、国内外から原料や生地を調達することなので「商社」としての機能。
つまり調達したものをメーカーや小売に卸したり、スムーズに流すために仲介したりすることがよくあります。
川上の業種
川上に分類されるのはどのような業種があるんでしょうか。
繊維メーカー(商社)
繊維メーカーとは、合成繊維や天然繊維といった各種繊維の開発・製造を行う会社です。
テキスタイルメーカー(商社)
テキスタイルメーカーは、アパレル商品に使われる織物や編物といった生地の企画や生産を行います。
織物をつくる業種を「機屋」、ニット生地をつくる業種を「ニッター」と言ったりします。
テキスタイルコンバーター(生地問屋)
生地の卸問屋です。
生地メーカーとアパレルメーカーを繋ぐ役割をします。
オリジナル商品を作るための生地を仕入れるときなんかによく使われる、いわゆる生地屋さんです。
アパレル業界の川中は原料から製品を作る
川中は、川上から購入した材料を使って、アパレル商品をつくる企業のことを指します。
「アパレルメーカー」や「ファッションメーカー」と言われることが多いです。
いわゆるブランドというやつです。
商品の企画をデザインから手掛けて製造し、自社店舗で販売したり、小売店に卸したりします。
以前は商品を小売する直営店はあまり持たず、小売は百貨店や専門店、セレクトショップに任せたりすることが多かったのですが、最近では自社店舗を持ったり、自社でECサイトを運営して販売している業者が増えています。
川中の業種
川中にはどのような会社があるのでしょうか。
アパレルメーカー
商品の企画・製造をして、アパレル小売にその商品を卸す業種です。
デザイナーズブランド
デザイナーが自分のデザインした商品に、知名度とイメージの高さでデザインや品質に対する価値を高め、商品の差別化をはかったブランドです。
アパレル業界の川下は商品を消費者へ販売する
川下とは、川上や川中で製造され、着れる状態になった商品を消費者に販売する、小売り分野のことを指します。
ようするに外部メーカーの商品を仕入れて販売するお店が小売企業にあたります。
最近では、仕入れた商品だけでなく、自社企画の製品を販売する店も多いです。
川下の業種
小売店は実際に服を買うところなので、一番馴染みのあるところで、一番イメージしやすいと思います。
どんなお店があるか例を挙げていきます。
セレクトショップ
一つのブランドだけではなく、いくつかのブランドから、商品を選んで取り扱っているお店のことです。
百貨店やショッピングセンター
買い物には大型のショッピングセンターや百貨店、ファッションビルなんかに足を運ぶ方は多いと思います。
ところで「百貨店とショッピングセンターの違い」って知っていますか?
それぞれ定義があるんですが、百貨店の定義は、「衣・食・住の商品群の販売額が、それぞれ10〜70%の範囲内で、従業者が常時50人以上、かつ売り場面積の50%以上で対面販売を行う業態」
つまり、売上の大部分が衣料品であるファッション系の商業施設は、百貨店ではないということになります。
あと「百貨店協会に加盟しているかどうか」という見方もあって、百貨店協会に加盟していなければ、「百貨店共通商品券」が使用できません。
通販サイト(EC)
ネット上で買い物ができるホームページのことで、メーカーから仕入れた商品を消費者に販売します。
小売店が、通販サイトを運営していることがほとんどですが、メーカーが卸をせずに自社で消費者に直接販売する、いわゆるDtoCなども増えてきています。
なぜSPAはアパレル流通に誕生したのか
お客様にできるだけ安く商品を届けようとして、川下に位置していた企業が、川中・川上までカバーしようと動いた結果、生まれたのがSPAという業態です。
近年はいわゆるファストファッションブランドや、ユニクロなどが「SPA」という業態をとっています。
「川上」「川中」「川下」が行っていることを一貫して行う業態で、今まで難しかった消費者のニーズをすばやく商品企画に反映できます。
売れ筋・死に筋商品、店舗からの市場ニーズなどの情報を迅速に共有することができ、企画から市場までが直接繋がることで消費者のニーズを捉えれるようになっているんです。
川中のメーカーは単に小売に商品を卸すだけでは、消費者の真のニーズを掴みづらいものなのです。
最後に、なぜ洋服は高いのか
アパレル業界は分業化が進んでいます。それぞれが異なる企業なので、流通の段階で何度も何度も売買がおこなわれています。
それでコストが上がり、生産者が大量生産した製品を小売りが販売していくという形がメインになっています。
アパレルの流通過程では、アパレル商品を作る人、振り分ける人、売る人それぞれに役割があり、これは当たり前のこととされてきました。
しかし物が溢れると、これまでのやり方では小売業が利益を確保することが難しくなってきたのです。
売ることに集中していた小売業 が、利益確保のために流通経路をできるだけ短縮しようとするのは、自然な流れなんです。
そして最近では服があまりに余りまくっているので、これからはクラウドファウンディングや受注生産など、服を作りすぎないやり方も増えてきています。
感想などをコメントいただけるのが、何よりとても嬉しいです。
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