こんにちは。 服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。
ジーパンは耳が割れてるものを好んで履きますサイドのあたりが綺麗にでるからです。
では、ワークパンツやミリタリーパンツはどうなのかというと、僕はダブルステッチのものが嬉しいです。サイドがこんな縫い方のやつです。
わかりますか?縫い目があって立体的にポコポコしてるんですよ。このダブルステッチは、基本的には補強のための縫い方なんですが、他にも役立つことがあります。
例えば軍パンの年代判別。ベイカーパンツでサイドシームがシングルステッチだと70年代以降のもの、ダブルステッチだと60年代以前のものという風に。ダブルステッチはヴィンテージや、古いものに多い傾向があります。
新しいテクノロジーや最新の技術でつくられたものも良いですが、古かったりオリジナルのディテールは、飲食店でいうところの「元祖」や「本店」みたいに、なぜか追い求めてしまうものです。
「ダブルステッチじゃないとイヤ」ということはありませんが、そうだったらなんか嬉しいディテールのダブルステッチについてあれやれや書いていきます。
ダブルステッチを簡単にいうと
ステッチが2本並んでいる縫製のことで、このステッチワークをダブルステッチと呼びます。
負担のかかる部分を補強した仕様です。
先にも書きましたが、ヴィンテージなど古いパンツを代表するディテールです。
なんとなくダブルステッチについてざっくり知りたい、という方はここまでの理解で十分だと思います。
ここから先は、もう少し詳しく書いていくので、ご興味があれば是非読んでみてください。
ダブルステッチを詳しく解説
ステッチが2本並んでいるのがダブルステッチです。
昔は1本針ミシンしかなかったので、往復して縫っていたそうですが、後に2本針ミシンが開発されて、一気に縫われるようになったそうです。
デニムで言うとフライ、フロントポケット、バックヨーク、ベルトループ、バックポケットなど、多くの箇所がダブルステッチで縫われています。
ダブルステッチはデニムの他にもカジュアルなシャツやチノなどにも部分的にですが幅広く使われています。
経年変化で生まれるパッカリングとは
パッカリングは2本の縫い目の間にできるシワのことです。
画像のようにダブルで縫われたところにできます。
着用と洗濯を重ねると、糸と生地の縮率が違うので、パッカリングというあたりが生まれます。
ヴィンテージというジャンルでは、風合いや生地感を重要視するのですが、それらを表現できるディテールのひとつです。
昔の生地は糸が均一でないため、現代の服にはない独特な風合いがあり、古着好きにはたまりません。
ちなみにパッカリングについて良いように書いてきましたが、悪いパッカリングもあります。
例えばシームパッカリングといって、経年変化で生まれるというより、縫い糸のテンションが強すぎた時や、生地の織り組織がひきつれることによって発生する、縫製時のパッカリングです。
これは服に違和感を与えるので、ドレス要素のある既製品の場合は、縫製不良として扱われる場合もあります。
ダブルステッチの縫い方
ダブルステッチはステッチが2本あることから
「2本のステッチで生地が縫い合わされている頑丈なステッチ」をイメージします。
しかしダブルステッチとは、「ステッチが2本ある」という意味です。
そして縫い方もいくつか種類があります。
すべてが「2本のステッチで生地を縫い合わせているという意味ではない」ことに注意してください。
インターロックたたきダブルステッチ
最も一般的なダブルステッチは「インターロック+たたきダブルステッチ」という方法。
重ね合わせた2枚の生地を1本のステッチで縫い合わせ、生地の端にホツレ止めのロックステッチをかけて生地を開き、縫い代部分をどちらか一方向に倒してダブルステッチでたたき伏せるという方法です。
この方法では縫い代を縫い伏せるので縫製強度は強くなりますが、生地の縫い合わせ自体はシングルステッチです。
また、裏側から見ると、ロックステッチが見え、あまり綺麗ではありません。
パンツで最も負荷がかかるのは、お尻回りの縫製です。
しゃがんだ時など、お尻が張るのが分かると思います。
特にスポーツウェアなんかは動きやすさや見た目だけでなく、強度も重要です。
丈夫に作られたパンツはお尻回りなどの負荷のかかる部分を巻き縫いで縫製されています。
巻き縫い
巻き縫いは、2枚の生地を巻き込むように噛み合せ、この噛み合わせ部分を2本のステッチで縫い合わせます。
生地を巻き込んでいるので、左右に引っぱる大きな力がかかっても縫目が開きに
くくなっています。
生地が4枚重ねになった部分をを2本のステッチで縫っているので、縫製強度は非常に強いです。
また生地の端を巻き込んで隠しているので、ホツレ止めの必要も無く、裏側から見ても表側と同様の仕上がりとなります。
ジーンズの尻ぐりやヨーク、パンツの脇など、チェーンステッチで生地を巻き込むように縫う仕様です。
お互いの生地をかみ合わせ、巻き込みながら縫っていくため「巻き縫い」と呼ばれます。
二枚の生地を互いにかみ合わせることにより、縫製としては倍の枚数を縫っているのがわかります。
縫い方を知るとすごく手間がかかってめんどくさそうに思いますが、それ専用の道具を使うと効率よく縫えます。
ラッパと呼ばれる金具です。
この金具に生地を差し込みながら縫うと、ダァーっと縫うことができます。
とは言ってもきれいに縫えるようになるには、経験が必要になってくるそうです。
折伏せ縫い
布地を中表に合わせ、でき上がり線をミシンで縫います。
片方の縫い代(倒す側)をカットします
カットした縫い代を幅の広い方の縫い代で包むようにしてアイロンで押えたら、端にミシンをかけます。
トリプルステッチもあります
ワークウエアでは、トリプルステッチで縫われたものもあります。
負担のかかる箇所を補強するために3本針ミシンで縫われます。
シングルよりもダブル、ダブルよりもトリプルと本数が増える毎に強度は高くなります。
トリプルステッチはペインターパンツやオーバーオールなどワーク要素の強い服によく使われます。
最後に
服の仕様書には、「どこの部分をどういう縫い方で縫うか」まで細かく指示されています。
いわば、縫製は服のデザインの一部なのです。
もしお時間があれば、今着ている服がどのような縫い方をされているのか、ゆっくり観察してみてください。
服の個性が今以上に見えてくると思います。
パンツのポケットについて書いた記事もあるので、
よかったらあわせて読んでみてください。
感想などをコメントいただけるのが、何よりとても嬉しいです。
はじめましての方も、思ったことはお気軽にコメントお願いします。
服の生地や環境についてブログを書いているので、
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