服地パイセン

生地にうるさい服屋で学んだことを活かし、洋服のわかりづらいことをわかりやすく解説します。

黒いニットに赤みが出たけど、どういう理屈でそうなるのだろうか?

黒いニットの赤みを防ぐ

こんにちは。 洋服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。

 

愛用していたハイランド2000のニットキャップに赤みがでてしまい、みすぼらしくなっていました。ケーブル編みのコットンニットキャップです。

ハイランド2000の赤みが出たコットンニットキャップ

ニットだったりTシャツだったり、生地が変色してしまった経験がある人は多いんじゃないでしょうか?

今回は黒い生地に赤みがでてくる原因についてまとめてみようと思います。

 

 

 

 

 

汚れてるようにみえて、洗濯しても綺麗にならない

色褪せして赤みがでたニット帽

生地が汚れていたから洗濯したのに綺麗にならない、ということがあります。

そういうとき、色が褪せてしまってる場合があります。

一見すると汚れているようにも見えますが、色が褪せているので洗っても戻りません。

 

汚れたり別の色が染み込んだわけではなく、色素そのものが壊れた状態だからです。

 

一度色あせしてしまうと、染め直したり補色しない限り元に戻ることはありません。

 

そうならないためには色褪せを防ぐことが大切なのです。

 

 

黒い生地に赤みが出る原因について

同じ扱い方、洗い方をしても色落ちするものと、長持ちするものがあります。

 

色落ちしやすいものは
•色止め処理が甘い
•後染め(製品染め)のもの
•草木染めの製品

なんかが挙げられます。

 

生産背景の整っていないような工場で生産した安ものや外国で生産されたものは色止め処理が甘いような。

よくわかりませんが、国内生産されたものや、海外生産でもある程度の品質のものは色落ちしにくいような気がしてます。

 

 

染色堅牢度といものがあります

「堅牢度」とは生地の丈夫さのことなんですが、丈夫さといっても、穴があかない、裂けない、といった生地そのもの頑丈さのことではなく、色落ちしにくさのことを指します。

「染色堅牢度」とは、染料によって染められた生地が紫外線や水などに対する色落ちや変色の強さのことです。

JIS規格で数値化されていて堅牢度が低い順に1級から5級まで段階あり、アパレルメーカーはしっかり試験を行い、一定以上耐えられる生地を作ることが求められています。

青い色素はおちやすい

洋服の色は青・赤・黄色の3色で構成されていて、3色の割合によってすべての色が作られているわけです。

全てを同じ割合で混ぜると黒になります。

 

ちなみにミリタリーウエアに使われる色、「オリーブドラブ」は、黒と黄色を1:1で混ぜ合わせることで作ることができます。

このように色を再現しやすく供給しやすいということも大事だったりします。

 

 

話を戻して、色によって経年で薄くなる速度は違います。落ちやすい色と落ちにくい色があるんです。

 

色の強い順に黄→赤→青の順番になり、青が一番色素が抜けやすい。

 

青色から色素の破壊が起こるので黒い服は赤っぽくなるんですね。さらに退色が進むと赤も破壊されて黄色っぽくなるそうな。

 

僕のハイランド2000のニットキャップはまだ赤みが出てるだけですが、さらにすすむと黄色っぽくなるんでしょうかね。

色褪せの原因はこれだ

衣類が色褪せてしまうのは色素が壊れるからです。その原因は次のようなものが挙げられます。

 

•紫外線
•窒素ガス
•汗の成分
•漂白剤
•食べこぼし

など。


広範囲に退色してしまうと目立ってしまうし、修正も困難です。

そうならないように対策を取りましょう。

 

赤みを防ぐには?対処法は?

生地の色褪せを防ぐ方法は何か

僕のハイランド2000のニットキャップは頭頂部あたりが色褪せてしまいました。折り曲げていた箇所は褪せずにきれいなままです。

 

黒い生地がこうならないための対策はどのようなものがあるのでしょうか。

 

 

紫外線に気をつける

紫外線には極力あたらないようにした方がいいです。

服の場合は肩らへんが広範囲に退色してしまうこと多いと思うので紫外線が原因と思われます。

やってしまいがちですが、ハンガーをカーテンレールに掛けると太陽光にさらされて退色します。

同じ理由で、窓際にハンガーラックを置くのはやめたほうがいいですし、乾いた衣類はなるべく早めにタンスやクローゼットに仕舞っておくことで、衣類の色あせを防ぐことができます。

室内だからといって乾いた後干したままにしておくと、いつの間にか変色していたなんてこともあります。

 

意外と蛍光灯への注意も必要です。
室内であってもウォークインクローゼットやハンガーラックは出来ればラックカバーをかけたほうが確実です。

 

ちなみに、服屋さんの店頭やストックでも蛍光灯に近い位置に置いていると日焼けしてしまいます。なるべくフタをして紫外線を遮ったほうがいいです。

早めに洗濯する

知らないうちに汗がついてるので色あせや耐久度の低下を防ぐためにも、衣類はこまめに洗濯したほうがいいです。

 

汚れていないと思って洗濯をせずにいると、汗をかきやすい箇所を中心に変色してしまうことがあります。

例えばヴィンテージのデニムなんかも、もったいないからといって、汗の成分がついたまま放置していると菌が繁殖して生地が傷んでしまうので注意が必要です。

 

 

コットンのニットキャップだからといってほとんど洗わずにいましたが、きっと汗やワックスがついていたんでしょうね。

1日着た服は、汚れていないように見えてもできるだけ洗濯するように心がけてください。

中性洗剤やおしゃれ着洗剤をつかう

もし洗濯した直後に色あせした場合には、使用している洗剤の見直しが必要かもしれません。

特に色の濃い衣類には、中性洗剤やおしゃれ着用洗剤を使用したほうがいいでしょう、

 

洗濯中に衣類同士が擦れるのも色落ちにつながります。色落ちを防ぐためにも洗濯ネットに入れて洗うのをおすすめします。

防虫剤は1種類にする

防虫剤は気化したガスをクローゼットやタンスに充満させて防虫するという仕組みです。

 

防虫剤に使用される成分もいくつかの酒類ががあって、それらを混ぜ合わせると色褪せの原因になると言われています。

 

防虫剤を使用する際には、1か所で併用しないように注意しましょう。

もし、さまざまなメーカーの防虫剤を合わせて使用する際には、必ず成分表示の記載をチェックしておきましょう。

 

色落ちしやすい生地、色落ちしにくい生地

色落ちしやすい生地としにくい生地。言い換えると、堅牢度の高いか低いかということです。

 

堅牢度の高い生地・低い生地ってどんなものかイメージしにくいですけど、次のように言えます。


堅牢度が高い:ポリエステル系
堅牢度が低い:天然繊維、ナイロン系

 

ポリエステル系の繊維で作られている生地は丈夫で、堅牢度が高くて色落ちしにくいです。

逆にコットンなどの天然繊維は堅牢度がやや低めになっています。

 

ハイランド2000の英国製のニットキャップ


また、ナイロン系の繊維もポリエステルと同じ合成繊維で丈夫という特徴がありますが、ポリエステルほど堅牢度は高くありません。

 

ハイランド2000の黒いニットキャップに赤みがでてみすぼらしくなってしまったので

黒いコットンニットに赤みが出てきたのは、素材の染色堅牢度が低いから。

 

日焼け・色あせした洋服は、洗っても復活させることはできないので、ニット帽だからといって、雑に扱っていましたが、少しショックです。

 

経年劣化だと思ってあきらめますが、もしどうしても色落ちさせたくない場合なんかには対処法もあります。

 

色落ち防止を自分でほどこす

色褪せや色落ちを防ぐ『色落ち防止剤』というものがあります。

15年くらい前にTシャツにサインをしてもらったことがあるんですが、消えてしまうのが嫌で色落ち防止したことがあるんですが、確かにきれいにのこってくれてます。

ニット帽に試したことはありませんが、効果あると思います。

 

 

 

日本製のニットキャップにする

よく考えたらコットンのニットキャップならわざわざイギリス製のものじゃなくてもよかったんじゃないかと疑問に思い始めました。

というのもハイランド2000のものはブリティッシュウールを使ったコスパの良いニットキャップとして人気です。

でもコットンはどうなんだろうと疑問に思って、最近は日本製のニットキャップにしてます。

このROTOTOのものはしっかりしてるし色落ちしないので気に入ってます。

 

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