服地パイセン

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アパレルの機能素材とはどんなものがあるのか。

アパレルの機能素材について

こんにちは。 服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。

 

アパレル製品の生地は、より機能的に、より快適にすごすための機能素材が注目されています

そして、ひとまとめに機能素材と言っても色々な機能の生地があります。服の売り場や通販サイトでも、機能を説明するポップやマークなんかをよく見かけるようになった気がします。

 

今回はアパレルの機能素材について、どんな生地があるかではなく、どんな機能のものがあるのか、代表的なものをまとめてみました。

 

 

 

 

 

機能素材•機能性素材とは

温暖化の影響もあるせいか、猛暑が続きます。
オフィスカジュアルは以前より浸透し、快適に過ごせる仕事着を選ぶ傾向も。
気候変動やライフスタイルの変化が、新たな素材の開発を加速させています

 

ナイロンやポリエステルといった合成繊維の開発は、綿やシルクなどの天然繊維を真似することからはじまりました。

そして天然繊維の弱点を補う形で進化を続け、その進化は止まることを知りません。

合成繊維は加工がしやすく機能性を持たせやすいということもあり、合繊繊維の進化の歴史は「こうだったら良いな」を実現してきた歴史と言えます。


合繊繊維は想定されるシーンに合わせた役割があり、撥水や速乾などその種類はたくさんあります。

 

このような機能性を持った生地を機能素材と言います。機能性素材高機能素材ともいいます。

 

快適性・着心地を追求した機能素材

機能素材にはさまざまな種類がありますが、まずは快適にすごすための機能です。

 

吸水速乾

吸水速乾の機能素材

吸水速乾は、生地についた汗などの水分をすぐに吸収し乾かす機能のことで、衣服内を快適に保ち、蒸れによる不快感を抑えることができます。

水分は汗を想定していることが多く「吸汗速乾」と呼ぶこともあります。

洗濯のときも乾きやすいというメリットもあります。

 

透湿防水

「防水」とは生地に膜を作ることで、浸水を防ぐことです。「撥水」と混同しがちですが、異なります。

「撥水」は継続的に水が当たると水が浸み込んでしまいます。それを防ぐのが「防水」加工です。

傘のような用途では「防水」機能だけで良いのですが、レインウェアの場合は「防水」機能が水分の浸入を防ぐ一方で空気の通りを悪くするため、衣服内が蒸れてしまいます。
そこで、多くのレインウェアには「透湿」という機能も兼ね備えています。


「透湿」とは、水の浸入を防ぎながら衣服内の湿気などの蒸気を外に出してムレないようにする機能です。

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撥水(はっ水)

撥水の機能素材の生地

撥水加工とは、水をはじく加工のことです。
撥水性があることで、生地自体が濡れてびちゃびちゃになることを防ぎます。生地の表面に付着した水は、手で払うなど簡単に対処しやすい状態になります。

水が生地の裏側へ浸み出すのを防ぐ「防水加工」と混同されがちですが異なります。

 

詳しくは「撥水と防水の違い」について書いた記事もあるので、読んでみてください。

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抗菌防臭・制菌

抗菌防臭の機能素材

新型ウイルス蔓延の影響で、抗菌機能も着目されています。ところが、よく見ると「抗菌」と書いてるもの「制菌」と書いてるものがあり、実は抗菌と制菌はすこし違います。

 

「抗菌防臭」は、臭いの原因となる黄色ブドウ球菌の増殖を抑える加工です。
「制菌」は、黄色ブドウ球菌に加えて、肺炎かん菌、大腸菌などの増殖を抑える加工です。


対応している菌種は
「制菌」>「抗菌防臭」となります。
「制菌」は「抗菌防臭」の上位に位置する機能と言えます。

 

ちなみに「抗菌防臭」は、生地上の菌の増殖を抑制しつつも少しずつ増えていくのに対し、「制菌」は菌の活動を低下させるため、菌は減っていくんです。

 

花粉対策

花粉症の人には嬉しい機能の花粉対策の生地というのもあります。花粉を付きにくく、付着しても落ちやすくする加工のことを言います。

 

凹凸のない平滑な素材に加工した方がより効果的です。
あとは静電気が生地表面に花粉を付着しやすくするので「帯電防止」効果とも関係してきます。

 

UVカット、遮光

UVカットの機能素材

UVとは紫外線のことで、皮膚に悪影響を及ぼすとされています。

「服を着てるから紫外線は心配しなくていいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、紫外線をカットするには紫外線を吸収しやすい黒や濃色、かつ厚手の服を着る必要があります。
しかし夏場にそのような衣服を着ると見るからに暑い。


淡色の薄い生地にUVカットを施すことで、はじめて紫外線対策と快適性の両立ができるようになります。

 

接触冷感

エコや節電意識の高まりもあり、様々な接触冷感グッズが登場しています。

接触冷感は、触るとヒンヤリと冷たく感じる機能のことです。シャリ感があり、熱伝導率・熱拡散率が高いことなどが影響しています。


水分をすばやく吸収、拡散して、気化熱を奪うなどの方法もあります。
こうした特徴の生地に触れると、肌から生地へ瞬時に熱が移動することで、冷たく感じるんです。

 

帯電防止(静電・導電)

冬にセーターを脱ぐ時にパチッと鳴ったり、ドアノブを触る時に電気を感じて痛い思いをすることがあります。

これは静電気によるもので、静電気はこうした不快感だけでなく、衣服が身体にまとわりつく原因となります。
ほこりがつきやすくなるのも静電気のせいです。


このような現象を抑えるのが「帯電防止」機能です。コートの裏地などに静電気を抑える素材が使われていることもあります。


静電気は、日常生活においては不快に感じる程度ですが、重要になる環境もあります。
例えば、静電気が火災の原因になるような環境では、「帯電防止」機能を備えた作業着が非常に重要となってきます。

 

静電気の仕組みや防ぐ方法について書いた記事もあるのでよかったら読んでみてください。

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保温性

日常生活を送っていて、温度の変化を感じることは多々あると思いますが、そうした熱伝導には決まりがあります。

 

熱は温度の高いところから低いところへ移動する性質があります。

要するに保温の原理とは、体から発せられる熱や衣服内の熱が外に奪われるのをいかに抑えるかということなんです。


着用者を暖かくする方法は大きく分けて「断熱」「蓄熱」「吸湿発熱」の3つがあります。

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「断熱」

空気の層を作ることで放熱をなるべく抑えます。

ダウンや中綿を利用して衣服内に空気の層を作ったり、糸の中心を空洞化させて空気層を作る方法があります。

 

断熱について書いたことがあるので、よければ読んでみてください。

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「吸湿発熱」

体から出た汗や皮膚から出る水蒸気が、繊維に付着して液体になる時に生まれる熱エネルギーを利用して発熱する機能を言います。

 

やっていることはわかりますけど、どうやっているのかは正直よくわかりません。

「蓄熱」

セラミックスの微粒子を繊維の芯部分に練り込み、太陽光を浴びることで、吸光熱変換機能により熱を発生させるというものです。

すごくハイテクですね。

 

見た目を良くする機能

見た目を良くするため、悪く見せないための機能もあります。

 

汗染み防止

「汗染み加工生地」と言われているものは、生地の表面に「撥水コーティング」を施すことで、風合いを損なうことなく汗染みを防止しています。さらに肌側からの汗に対しては、生地裏面に「吸水加工」を施すことで、汗が出た瞬間吸い取ってくれます。

 

どちらも通気性があり汗を素早く拡散し速乾効果もあるので夏の衣類にぴったりです。

 

防シワ、形態安定加工

衣類が着用や洗濯後もシワにならず、プリーツなどの保型性を保ち続けることを目的とした加工です。

アイロンで形を整える必要がないので、ノンアイロン加工と言われ、ワイシャツやドレスシャツ、ブラウスなどに使われます。

 

ポリエステルの織物は、そのままで形態安定性がありますが、綿やレーヨンなどセルロース系繊維の場合の加工法は、ガスを吹き付けて繊維を結びつける方法、樹脂加工を施す方法などがあります。

 

シワになりにくい生地のソロテックスについて書いた記事もあるので、読んでみてください。

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 安全性を追求する機能

より安全に過ごすために服に機能を持たせることがあります。

 

高視認

視認性が高い機能素材

着用者の存在を早期に認識してもらい、路上での車両事故などを抑止させる機能です。

特に日が沈んだ夜間に役立ちますが、蛍光色と再帰性反射により、昼夜問わず、高い視認性を得られます。

 

難燃・防炎加工とは?

そもそも「燃える(燃焼)」とは、材料の熱分解から発生した可燃性ガスと酸素が結合する化学反応です。

燃焼が始まると、熱で材料の分解が促進され燃焼が進行、つまり「燃える」わけです。

製造工程で繊維に難燃性をもたせるということは、材料の熱分解を抑えて分解ガスの発生を抑えるということなんです。もしくは、発生した分解ガスと酸素を遮断するということなんです。

 

焚き火がはやっていて燃えない服も増えていますが、そういう仕組みなんですね。

 

最後に

機能素材の機能はどのようなものがあるのかまとめました。

スポーツウェアだけでなく、日常生活で着用する衣料にも通気性や伸縮性などの機能でより快適な環境で過ごしたいというニーズが高まってます。

 

さらに、スポーツへの関心も高まっていること、スポーツスタイルをミックスしたファッショントレンドのサイクルが巡ってきたことは、機能素材のデザインバリエーションや風合いなどを進化させるきっかけにもなっています。

 

今回あげた機能はまだ一部で、世の中には便利な機能素材がまだまだたくさんあります。

 

 

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