こんにちは。 服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。
世界中で服が余りに余っています。
流通量が増えると物の価値は相対的に下がってしまうため、一時は価値を維持するために廃棄しまくって燃やしまくっていました。
日本など先進国ではそうですし、貧困が問題になっている国でも服は足りているという話も聞いたことあります。全ては余るほど作りすぎているからです。
昔は現在ほど大量生産する技術や資本がなかったから余ることはありませんでした。
そんな状態から生産性を上げて、大量生産するには工業化が欠かせません。
今回はアパレル産業がどうやって発展していったのかということについて、何度か起こっている産業革命とあわせて書いてみます。
産業革命のはじまりと発展
産業革命は世界史の中でもっとも重要な出来事のひとつです。
現在の世界各国の生活に大きな影響を与えています。
それは洋服においてもいえることです。
産業革命は18世紀にイギリスではじまり、またたくまにヨーロッパ大陸そして北アメリカへと広がりました。
はじめは家内工業
この革新が起こる以前のものづくりは、そのほとんどを水や自然、人力に頼っていました。
経済発展の初期に見られた家庭ベースの小さなビジネスは「家内工業」と呼ばれます。
生産できる量は限られていましたし、品物は地元や近隣で消費されるものでした。
18世紀中頃から工業化がすすむ
しかし18世紀も半ばになると、新しい手法が取り入れられ、イギリスそしてヨーロッパに広がります。
この変化の過程で「工業化」が進みました。
ある町や市に専用の工場が集約され、工業都市と呼ばれるようになります。
こうした変化は19世紀を通じて続き、多くの発明家たちが次々と発展に貢献しました。
これまで手動で行っていたことが機械化されたことは、産業革命の重要な要素のひとつです。
ここからは
一次、二次、三次と続く産業革命の中身をざっとみていきます。
第一次産業革命とアパレル
産業革命といえば18世紀にイギリスで起こった、蒸気機関による軽工業の発展です。
第一次産業革命を一言であらわすと
この頃イギリスは「世界の工場」と呼ばれていて、
それまで手工業で作られていた綿製品を、安価で大量生産できるようになり、これが世界中を席巻しました。
毛織物から綿織物へ
イギリスではかつて羊毛を使った毛織物が主要な産業でした。
それが産業革命により、綿織物に転換していきます。
第一次産業革命は、繊維産業のメインストリームを動物繊維から植物繊維へと転換させるきっかけともなりました。
第二次産業革命とアパレル
第二次産業革命を一言であらわすと、
「石油燃料を用いた重工業の機械化と大量生産」です。
イギリスの第一次産業革命が、石炭と蒸気機関を利用した軽工業中心の発展。
それまでの経験にもとづいて行われていた綿花から糸を紡ぎ、それを「織りものにしていた工程」を手工業から機械化したわけです。
それに対してドイツやアメリカの第二次産業革命は、石油や電力をエネルギー源とした鉄鋼・造船・機械などの重工業や化学工業が中心です。
そして化学工業で大きく発展したのが、人工染料。
アパレルに関係するものとしては、合成染料の登場です。
ドイツの科学者たちが次々と合成染料を発明し、これらを順次工業化していきます。
自然素材の染料に比べて合成染料は価格が抑えられるので、繊維の染料は合成染料が席巻するようになります。
今使われている染料もほとんどが合成染料です。
例えばデニムのインディゴブルーを藍染めや天然の染料だと思っている人は多いようですが、デニムに使われるインディゴ染料なんかも合成染料です。
この第二次産業革命のときに発展した技術を活用したものです。
植物繊維から化学繊維へ
そして第二次産業革命は、さらに植物繊維から化学繊維へと転換する基礎を作ったと言えます。
化学技術の発展は、後に石油由来の合成繊維の開発に大きく影響しました。
現在これだけ機能的な服を着れるのは、第二次産業革命があったおかげです。
第三次産業革命
第三次産業革命を一言でいうと、
「機械による単純作業の自動化」です。
第3次産業革命の一番の特徴はコンピューターの導入による自動化があげられます。
単純な作業を繰り返して行うことで何かを生産しているといことが多いです。
コンピューターによって工場での単純な作業が自動化され、効率的に大量量産することができるようになりました。
また情報通信技術が発達することで、できることはこれからどんどん拡大していきます。
産業革命と環境問題
産業革命からほぼ200年近くが経過する過程で、化石燃料が新たなエネルギーとされてきました。
それにより二酸化炭素の排出が増加し、地球規模での環境の悪化が明白になってきました。
70年代には環境問題が人類共通の課題として意識されるようになり、国際連合人間環境会議が開催された。
地球温暖化や砂漠化に対する国際的な取り組みが始まり、クリーンエネルギーや脱炭素社会などの今日の取り組みに至ります。
最後に
産業革命は洋服の生地に大きな影響を与えました。
もともと使われてきた羊毛•絹などの動物繊維や綿•麻などの植物繊維が、化学繊維に置き換わっていく背景には、産業革命が大きく関係しています。
様々な物の製造工程で機械化が進んでいる中で、洋服はほとんどが誰かの手作業でつくられています。
基本的に服は人の手でしか縫えません。
物流のセクションは自動化できますが、製造に関しては手作りです。
経済学でいうと、アパレル産業は人がミシンを使って完成させる労働集約型の産業になります。
それは、
・素材である布が柔らかいこと
・糸の種類が多すぎること
・使われるパーツが多いこと
などの理由で自動化が難しいらしいです。
自動化しようと思うと、シンプルで定型的なものである必要があるようですね。
なんとなく面白みがなくて嫌だなぁと思ったりもしますが、最近の服ってどこかそういう傾向ありませんか?
中には縫製を必要としない、全て機械で作られる服もあるので、そういうのもまた書いてみようと思います。
これまでにも歴史や服地なんかの記事をいくつか書いているので、あわせて読んでいただけると嬉しいです。
感想などをコメントいただけるのが、何よりとても嬉しいです。
はじめましての方も、思ったことはお気軽にコメントお願いします。
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