服地パイセン

生地にうるさい服屋で学んだことを活かし、洋服のわかりづらいことをわかりやすく解説します。

ル ラブルールのモールスキン カバーオールジャケットは水通しするべき?経年変化や縮みは?

lelaboureurルラブルールのカバーオールについて

こんにちは。 洋服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。

 

少し前にLe Laboureur(ル ラブルール)のモールスキンカバーオールを買いました。無性にモールスキンのジャケットが欲しくなり買ってみたものの、手に入れたことに満足して数回程度しか着ませんでした。そういうこと、ありますよね?

ラブルールのモールスキンカバーオールジャケット

今季になって一転、けっこう着るようになりました。

 

そんなラブルールのモールスキンカバーオールのサイズ感や、初めての洗濯での生地感の変化などをまとめましたモールスキンのジャケットを購入する際に役立つ情報なので読んでみてください。

 

 

 

 

 

モールスキンの生地は経年変化してなんぼだと思った

なぜあまり着なかったのか。

理由を挙げるなら、初めは生地感が肌に合わなかったということです。

 

初めは水通しせずに着ていました。

 

かなりカジュアル派な僕にはモールスキンの光沢が強く、生地が固かったこともあり、たまーにしか着ませんでした。

 

その生地感がモールスキンの魅力のひとつだとも思うのですが、僕にはしっくりこなかったんですね。

 

でもあるときモールスキンの経年変化を楽しんでいこう」と考え、洗ってみてからは急に着るようになりました。

 

そんな洗濯での生地感の変化について、洗濯前後で比較した写真を後半に載せていますので、参考にしていただけたら嬉しいです。

 

カバーオールについて。その種類は?

今回のラブルールのモールスキンジャケットはいわゆるフレンチカバーオールです。

 

カバーオールは、アメリカのワークウェアという印象が強いのですが、大きく分けるとヨーロッパ型とアメリカ型があります

 

 

アメリカのカバーオール

カバーオールと聞いて一番初めに思いつくのはこういうポケットが4つあるタイプではないでしょうか。

いま持っていないので、画像をお借りします。

 

カバーオールの原型となったカーハート

引用:JAM

 

アメリカのデニムカバーオールを代表するオシュコシュ

引用:JAM

このタイプがアメリカ型のカバーオールです。

アメリカのカバーオールに使われる素材はだいたいデニムやダック生地で粗野感があるものがほとんどです。

 

そして合理性を求めるアメリカらしい、誰でも着れるような少しゆったりとした作りです。

 

フランスのカバーオール

ヨーロッパのワークウエアーはユーロワークと呼ばれ、洗練されたデザインと比較的コンパクトなシルエットが魅力です。

 

ユーロワークのなかでも、特にフレンチカバーオールが有名で、根強い人気があります。

 

フレンチワーク定番のカバーオールは、だいたいポケットが3つついているこの形。

フレンチカバーオールジャケット

アメリカのワークアイテムの代表的な生地がデニムやダックであるように、フレンチではモールスキンやコットンツイルが代表的な素材となります。

そういった素材やディティールの印象が上品さを醸し出して、粗野感の強いアメリカのカバーオールとは違った雰囲気。

 

フランスのものはインクブルーのツイルだったり、他にはない魅力がありますね。

フレンチカバーオールジャケットに使われるツイル

これは今回のラブルールのものでもモールスキンでもない、フレンチワークによくあるツイル生地ですがフランスの独特の色味がいい感じです。

 

ツイルについては、
織物の三原組織について書いた記事があるので、よかったら読んでみてください。

 

www.fukujipaisen.com

 

ル•ラブルールの歴史

あらためて、ラブルールがどういうブランドかというと、南フランスのマーケットで作業服を販売していた創業者が1956年にスタートしたブランドです。

ブランド名は「耕す人、開拓する人」という意味を持ち、古い農夫の作業服からインスピレーションを得て、地元の高品質な素材を使ったタフで実用性のあるワークウェアを作っています。

 

現在もその伝統を2代目が受け継ぎ、生地から縫製まで全ての工程を自社工場でフランス人によって生産を続けています。

 

僕は、このような創業からこだわりを持って生産を続けてるようなブランドが大好きなのです。

 

ラブルールのモールスキンカバーオールのディテール

今回のアイテムは『VESTON』という

ラブルールの代表的なモールスキンのカバーオールです。

 

フランス製のモールスキンカバーオールは現行だとLE TRAVAILLEUR GALLICE(ル トラヴァユール ガリス)とかVETRA(べトラ)がありますが、僕はご縁があってラブルールを選びました。

 

(VETRAはフランス製でしたっけ?日本規格でしたっけ?すみません、ちょっと忘れました。フレンチワークのブランドは代理店のライセンスものが多くてややこしいですね。)

 

フレンチワークならではのモールスキン生地

まず挙げるべき大きな特徴は、なんといってもモールスキンの生地です。

 

モールスキンは少し毛羽立っているものがほとんどですが、ブランドによって生地感が全く異なります。

 

ふんわりとソフトでツヤのある高級な桃の皮のようなもの、
まるでスウェードのような起毛感のあるもの、
フェルトのような軽い質感のものなど実に様々。

 

ラブルールのモールスキンはツヤ感のある、割と硬めな生地感です。

 

ハリと光沢感の強い、コットンのモールスキン生地です。

ルラブルールのフレンチモールスキンの生地

密度が高くとても丈夫な生地なので、時間をかけて自分だけの1着へと育てていきたいです。

丈夫な生地と聞くと、硬くてゴワゴワとしたイメージを浮かべる方もいるかもしれませんが、
硬いというよりハリがある感じ。

ゴワゴワというよりシャキっとした感じです。

 

ラブルールのモールスキンはコットン100パーセント


そして最近はコットンポリのモールスキンも増えています。

 

同じラブルールのモールスキンでも、コットン85%、ポリエステル15%のものがあったような気がしますが、僕はコットン100%のものを買いました。

(カラーとかタイミングで違うのかな?勘違いかな?)

なんだかんだやっぱりコットンが好きです。

 

モールスキンについて書いた記事もあるので、よかったらそちらも読んでみてください。

www.fukujipaisen.com

形はオーソドックスなフレンチカバーオール

形自体はよくあるフレンチカバーオールです。

 

角のない形状の3つのパッチポケットと内ポケットを備えたデザインは、1930年代に生み出されたジャケットを引き継ぐ伝統的なもの。

ワークウェアらしいトリプルステッチ

縫製もワークウェアらしく頑丈に縫われています。

ラブルールのカバーオールジャケットの袖はトリプルステッチ

袖口~脇~裾にかけて、補強のための三本針で縫製がされています。

ラブルールのフレンチカバーオールジャケットの縫製

そのトリプルステッチだけは裏側の糸の色を変えてあり、こだわり感じさせるディテールも必見です。

内ポケットには迫力のあるラベル

内ポケットに付くブランドラベルです。

ラブルールのモールスキンカバーオールの内ポケットに付くブランドラベル

このラベルもプリントではなく、刺繍っていうのが素晴らしいですね。

 

もちろん着てたら外からは見えないんですが、「見えないところにもしっかりこだわる」というところに男心をくすぐられます。

 

金の柄に赤いブランドネーム。
とても迫力のある刺繍です。

lelaboureurラブルールのブランドラベルタグは赤と金の刺繍

お国柄なのか職人魂なのかわかりませんが、ワークウェアであるにも関わらず、デザインに手を抜かないその心意気は尊敬します。


同じカバーオールでも無骨なアメリカ物とはまた違う魅力を楽しめます。

もちろんアメリカのものも好きです。

 

マットな質感のボタン

ルラブルールのボタン

マットな質感のプラスチックで、

「LE LABOUREUR」と刻まれたブランドオリジナルのボタン。

 

袖についているボタンも同じデザイン、同じサイズのものです。

 

ラブルールのカバーオールのサイズ感

購入するときに迷うのがサイズ感です。

170cm60kg、日本規格Mがぴったりの標準体型の僕で「サイズ1」がジャストです。

 

インナーにシャツでジャスト、
ニットを着ると少しキツく感じるくらいで着れるんですけど、袖が短く感じるのと、生地が硬いうちは肩周りが少し窮屈に感じました。

 

モールスキン生地の洗濯ビフォーアフター

モールスキンの生地感は洗う前と後でどのような変化があるのでしょうか。

みてみましょう。

 

モールスキンの生地感の変化

未洗いのモールスキンは、ハリのある硬めの記事感でした。

 

これが洗濯前の生地感です。

未洗い状態のルラブルールのモールスキン生地

初めは毛羽立ちもほとんどありません。光沢感のある上品な表情をしています。

これがワークウェアの生地だなんて、フランスの美意識の高さを感じます。

 

そして、こちらが洗濯後です。

水通しした状態のルラブルールのモールスキン生地

撮影した環境が違うので、色味が少し違うように見えますが、色味の変化はありません。

写真うつりが少し大げさな気もしますが、生地の質感がソフトになりました。

 

最初は糊付けされてるんでしょうか。
パリッとていましたが、その糊のようなハリツヤが若干落ち着いたかな、という感じです。

 

ただ、着心地はすごい良くなりました。

 

モールスキンは洗濯で縮むのか?サイズの変化は?

綿100%の生地なので洗濯での縮みが心配でした。

洗濯前と洗濯後のサイズを測ってみたので、比較してみます。

 

洗濯でのサイズの変化

【サイズ1】

肩幅:43cm →42.5cm
身幅:50cm → 49.5cm
着丈:71.5cm →71.5cm
袖丈:62cm →62cm

 

洗濯機で洗濯してもほとんど縮みませんでした。

きちんと洗いジワを伸ばしてから干したのがよかったんでしょうか。

 

肩幅と身幅が0.5㎝小さくなっていますが、これくらいは誤差の範囲。

一回目の洗濯ではほとんどサイズは変わらないといえそうです。

 

着用感は、生地が柔らかくなったのかカドが取れたように着やすくなったので、むしろ余裕ができたように感じました。

 

縮みを気にして洗濯するかどうか迷っている方がいたら、是非参考にしてください。

 

最後に

コーディネートについて触れてませんが、ラブルールのモールスキンカバーオールは、ワークウェアながら上品さもあるので、カジュアルからきれい目と幅広いコーディネイトで活躍してくれます。

 

きれい目に着たい人は洗わずに着る。

 

経年変化を楽しみたい人や、よりカジュアルに着たい人は洗って着る。

 

こんな楽しみ方がいいのかな、と思います。

 

どちらも試してみましたが、自分はカジュアルに着たいので、洗ってみて正解でした。

もっともっと着用して、またいつか経年変化を報告したいと思います。

 

ヴィンテージだと価格が高騰していますが、現行品は手に入るのでチェックしてみてください。

 

感想などをコメントいただけるのが、何よりとても嬉しいです。
はじめましての方も、思ったことはお気軽にコメントお願いします。

 

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