服地パイセン

生地にうるさい服屋で学んだことを活かし、洋服のわかりづらいことをわかりやすく解説します。

静電気の仕組みを知ると防ぐのは簡単だった。

静電気対策は案外簡単だった

こんにちは。 洋服生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。

 

10年くらい前は洋服の販売員でした。今思うと、
「もっとこんな接客すればよかったな」なんて思うことがたくさんあります。

 

例えばニットの接客。

「このニットはきれい目な印象なので、細身のトラウザーなんかとよく合います」

コーディネートについては、接客でもよくある会話で、そんなことばっかり言ってた気がします。

今思うと、『快適にすごせる方法』みたいな有益なことをその人に合わせて説明できればもっと良い接客ができたんじゃないかな、とか思います。


「アクリル混のニットの上にナイロンの上着を羽織ると静電気が起きやすいから気をつけてくださいね」

みたいにサラッといい塩梅で取り扱い方法を説明できるような。今また販売の仕事をするなら、お客様に合わせた役立つ内容を伝えれるような気もします。

 

前置きが長くなりましたが、洋服に関わる快適に過ごすための知識はたくさん知っていたほうが有利です。

冬に気になる静電気については、科学的に解明されています。

今回の記事では、静電気の正体は何なのか、静電気が発生する理由や簡単に防ぐ方法をいくつか書いてみようと思います。

 

 

 

 

 

 

静電気とは何か?なぜ起きるのか?

静電気とは、物質にたまった状態の電気のことなんですが、電気って目にみえないから、よくわからないですよね。

 

人間を含め、どんな物質もすべてプラスとマイナスの電気を持っていて、電気量がつり合った中性な状態になっています。

物質はプラスとマイナスの電気を持っている

 

しかし摩擦によって一方の物質からほかの物質に電子が移動するのですが、その分だけマイナスもしくはプラス電気が多くなります。

そのように、プラスとマイナスの電気量のバランスが崩れ、たまった電気が『静電気』です。

 

そして体にたまった静電気は、普段の生活の中で自分では気づかないうちに少しずつ放電されています。

水は電気を通しやすいので、空気中の水分を通して体内から体外へ放電されています。

 

静電気は湿度20%以下になると発生しやすくなり、秋から春先にかけては特に注意が必要です。

 

静電気『バチッ』の正体

静電気はドアを開けるときに発生しやすい

 

バチっと音や刺激がするのは、たまった静電気が急激に放電されるからです。

 

冬は乾燥して空気中の水分が少なく静電気が放電されにくいので、どんどん体にたまってしまいます。

そして体に静電気がたまった状態で、金属製のドアノブなど電気が流れやすいものに触れると、静電気は一気に流れます。

 

あの「バチッ」という音や痛みは、この急激な放電によって起きているんです。

 

服がまとわりつくのも静電気のせい

すごく薄手のアウトドア用のナイロンのパンツがあるんですが、静電気がすごくて、いつも脚に張り付いてしまいます。

 

アウトドア用でゆったりしたシルエットが多いのですが、脚に張りつくので変な見た目になってしまいます。

これも全て静電気が原因です。

 

どう対策したらいいのか。
後ほど解説します。

 

静電気と電気の違い

電気と静電気

冬場にバチっとなる静電気。
ところで、『静電気』と『電気』って何が違うんでしょうか。


大きく分けると2つあります。

1つ目は電流の大きさです。

静電気は普通の電気の数千分の1程度しかありません。

 


そして、もう一つの大きな違いとして、電気は電気を通さない絶縁物の中を通らず、たまることもありません。


ところが、静電気は絶縁物の中でも電気が溜まるという性質を持っています。

ちなみに身近な絶縁物は、空気やゴム、プラスチック、ビニールなどがあります。

どんなものでも溜まるというのが厄介ですね。

 

静電気が起きやすい服

どんな物質もすべてプラスとマイナスの電気を持っていて、電気量が釣り合った状態になっています。

 

静電気がプラスとマイナスどちらに帯電するかは、擦り合わせる物体の組み合わせによって変わります。

 

繊維はその種類によってプラスに帯電するのかマイナスに帯電するのか決まっているので、その相対関係のわかる図が下にあります。


先に結論をいうと、擦り合わせる物体の位置が離れているほど強い静電気が発生します。

 

静電気が発生しやすい素材やコーディネート

 

冬になると様々な素材を重ね着することが多くなります。

夏はTシャツやシャツなどの薄着ですが、冬になると寒いので重ね着をします。

重ね着するということは、それだけ繊維同士がこすれあうということ。つまり、摩擦によって静電気を多く発生させることにつながります。

 

ポリエステルはマイナスに、ナイロンやウールはプラスに帯電しやすい性質があります。
これらを重ね着すると、静電気が発生しやすくなります。

 

f:id:fukujipaisen:20211129073748j:image

例えば、ポリエステルのシャツにウールのアウターを羽織る。
冬場によくありそうな組み合わせですが、これは静電気がたまりやすい組み合わせなので注意が必要です。

 

静電気対策は簡単なことだった

気温と湿度が下がる冬は静電気が起きやすくなりますが、この時期の静電気を防ぐ方法はいくつかあります。

そしてそれはけっこう簡単なことです。

 

肌の保湿は静電気対策でもある

冬場にハンドクリームを塗る人は多いですが、これはすごく理にかなっています。

 

夏は湿度が高く、空気中や物体の水分量も多くなるので、静電気はそうした水分を介して放電されます。

ところが冬は乾燥し水分が不足していることから、放電されず体内に静電気がたまってしまいます。

 

皮膚の乾燥を防くだめに、ハンドクリームなどで保湿し、放電しやすい状態を作ってあげる。このひと手間だけで、静電気を溜め込みにくくなります。

美容面だけでなく、快適に過ごすためにも役立つんですね。

 

「男がハンドクリームなんて、女々しいわ」と、なんとなく抵抗がある男性には、ニベアがおすすめです。

500円以下で買えますし、硬派な人でも抵抗なく使える市民権を得ている優秀なクリームです。

洋服の組み合わせで静電気を防ぐ

衣類の組み合わせによっても、静電気は起きやすくなります。

上で、静電気が起きやすい服装の例をひとつ挙げました。

 

逆に、静電気が起きにくい組み合わせももちろんあります。

 

プラスとマイナスの性質の素材を組み合わせると、重ね着した服同士がすれて静電気が発生する。

ということは、同じ性質の電気を帯電する素材なら静電気は発生しにくいということになります。

例えばプラスとプラス、マイナスとマイナスのように、同じ性質の電気を帯電する素材ならこすれあっても静電気は発生しにくいということです。

 

先ほどの帯電列を参考に、性質の近い素材を組み合わせて衣類を着るだけです。

 

例えば、プラスに近いナイロン素材のアウター中には、同じくプラスに近いウールのセーターを着ると静電気を抑えることが出来ます。

 

これがマイナスに近いアクリルのセーターを着ていると、ナイロンとは対極にあるので静電気が起きやすいです。

 

ちなみに、もともと帯電しにくい綿や麻などの素材は、こすれあっても静電気は発生しにくいです。

 

石油由来の繊維のナイロンとポリエステルはどちらも同じような扱い方をしてしまいますが、静電気のことまで考えていくと、性質が全然違いますね。

 

静電気がたまりにくい靴底もある

そこまで気にする必要はないかもしれませんが、靴も静電気に影響するそうです。

 

靴底がゴム製のスニーカーだと、足元から地面に電気が逃げにくいので、知らず知らずのうちに体内に電気が溜め込まれることに。

ところが、革靴は帯電しにくいそうです。

静電気に悩まされて続けてるような方は、靴を見直してみるといいかもしれません。

静電気がゆっくり流れるもので除去する

静電気を防止するには物にふれるのがいい


体に静電気をためないようにするには、電気を上手に放電することが大事です。


例えばドアを開けるとき、車に乗るときなんかに、よく静電気を感じるような場合。
先に電気がゆっくり流れるものを触ってからドアノブや車に触れるだけで効果があります。

 

建物の扉の場合は、コンクリートの壁やドアの木材部分などを触ってからドアノブを握ると、バチツときません。
車のドアの場合も、駐車場内の壁や木などを触ってから扉に触れて静電気を逃してあげると、バチっとなるのを防げます。

 

ガソリンスタンドにも、静電気を放電するため、給油する前にタッチするやつがありますが、あれはそういう原理なんです。


身近にある、ゆっくり電気が流れるものを挙げると、

などがあります。

 

これは服の知識というより、ただの雑学ですね(笑)

 

洗濯でも静電気を防ぐ

買ったばかりの服は静電気を感じやすいものです。

これに対しては、はじめに洗濯してから着用するのが効果的です。


新品や手持ちのものに関わらず、洗濯の際には柔軟剤を入れるのも、家庭で誰でもできる静電気防止策になります。

柔軟剤を使うと繊維同士の滑りが良くなり、摩擦が起きにくくなるので、衣類への帯電が少なくなり静電気がたまりにくくなるというメカニズムです。

 

さらに柔軟剤は衣類に水分を保たせ、コーティングさせる働きがあるので、帯電した静電気も放電されやすくなります。

 

静電気防止スプレー

静電気で服がまとわりつくのには、静電気防止スプレーが効果的です。

 

衣服にシュッとスプレーするだけで、静電気の発生を抑えられる便利なスプレーがあります。

 

いつも脚に張り付いてしまうナイロンパンツの話をしました。

そんなパンツも、外出前に静電気防止スプレーをふきかけると、脚への張り付きがなくなり快適に過ごすことが出来ます。

 

静電気防止スプレーなら。エレガードなんかが有名です。

 

最後に

静電気の仕組みや防ぎ方についてまとめました。

冬に気になる静電気も対策は案外簡単なもので、日常生活のひと工夫だけで防げるものです。

 

何でもそうですが、物事の仕組みが理解できれば、対策するのは案外簡単に対処できることっていうのは多いですね。

 

ちなみに静電気は摩擦によっておこるので、極端な話、服を着なければ静電気に悩むこともないそうです。

 

 

 

 

感想などをコメントいただけるのが、何よりとても嬉しいです。

はじめましての方も、思ったことはお気軽にコメントお願いします。

 

 

服の生地や環境についてブログを書いているので、よろしければ読者登録お願いします。

 

 ↓ブログ村ランキングに参加しています。よろしければ、そちらもチェックしていだけると励みになります。

PVアクセスランキング にほんブログ村