こんにちは。
服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。
「ポリエステルの服は安っぽい」
頭のどこかでそう思ってませんか?
僕はそう思ってました。
コットン=着心地の良い定番の生地
ナイロン=軽くて丈夫な生地
ポリエステル=安価な生地
なんとなくこんなイメージありませんか?
今後、そのポリエステルに対するイメージが変わってくるかもしれません。というのも、
「未来を変える繊維」
と言われているポリエステル系の繊維、SOLOTEX(ソロテックス)が近年注目されています。
そんなソロテックスの特徴と、使ってみた感想を書いてみます。
SOLOTEX(ソロテックス)を簡単に説明
ここ2年くらいよく目にするようになったSOLOTEX(ソロテックス)という素材。
帝人フロンティアの生地で、大きく分けるとポリエステルの仲間。
ポリエステルを上回る形態回復性と、ナイロンに優るやわらかさで、ストレッチ性能があるものも。
様々な用途に合わせて加工できることから、未来型合成繊維なんていわれたりします。
2019年頃から見かけるようになったなぁ、と思っていましたが
これからもっともっと目にする機会が増えるような気がしています。
ソロテックスの特徴
様々な用途に合わせて加工できるのがすごいところで、繊維としての可能性は無限大です。
そんなソロテックスの主な特徴をざっと挙げます。
シワにならない形態安定性
シワになりにくく、型崩れをふせぎます。
服を選ぶ際に意外と見落とされがちな特徴ですが、シワになりにくいというのは実はすごいことなんです。
これについては後半でもう少し触れます。
優れた染色性
ファッションの演出において染色性はとても重要な要素です。
例えばポリエステルは100度を超える高温でないと染色できないのですが、ソロテックスはもっと低い温度でしっかり染まり、なおかつ美しい発色が色あせずに長持ちします。
ソフトな新触感
なめらかでソフトな肌触りも特徴です。
例えば、ソロテックスを混紡したやわらかなニット。それは高級素材のカシミヤを上回るほどソフトな肌触りだそうです。
いつまでも快適ストレッチ
ボディラインに沿ったシルエットでもしめ付け感が少なく、快適な着心地が続くそうです。
繊維の分子構造がバネ状になっているのがその秘訣。
調和性
天然繊維との混紡にも調和し、その繊維の特徴を活かしたり、弱点を補ったりできます。
調和性が高いということは、様々な天然繊維と混紡できます。
例えばソロテックス混のリネンだと、見た目は天然繊維のような風合いを保ちつつ、化学繊維の機能性をもたせることができるというところがすごいです。
環境負荷の低減
ソロテックスはPTTと呼ばれる繊維を使用しています。
このPTTは約40%がとうもろこしから作られており、環境負荷軽減に貢献します。
「植物由来の繊維で環境負荷軽減」みたい言葉は、なんとなく目にしたことがある人もいると思いますが、具体的にどういうことか。これ、知るとけっこうおもしろいので、よかったら読んでみてください。
ソロテックスの何がすごいか
特徴を挙げましたが、実際にどのようなシーンで活用されるのか。
例をあげてみます。
スポーツシーンでのSOLOTEX
ストレッチ性はスポーツには必要不可欠です。
体の動きにフィットしながらしなやかに伸縮するソロテックスを使ったスポーツウェアは、質の高いパフォーマンスを生むんです。
例えばゴルフパンツにストレッチ性能のあるソロテックスを使用することで、履きやすく、動きやすくなります。
ビジネスシーンでのSOLOTEX
きれいにシワの伸ばされたスーツ、アイロンのあてられたワイシャツ。
ビジネスシーンでは「シワ」はNGです。
ソロテックスのシワになりにくいという機能はビジネスウエアに最適です。
しかもウールライクな質感を再現することにも長けているので、大手のメーカーはすでに取り入れています。
シエラデザインのSOLOTEXマイクロライトアノラックを使ってみました。
シエラデザインといえば、60/40クロスのマウンテンパーカーが有名ですが、ソロテックスを採用したアノラックパーカーがあったので、おもしろいと思って購入して使っています。
特徴はパッカリング仕様になっていて、お腹のポケットに服自体をしまい込んで、持ち運べるようになっていること。
90年代っぽいデザインもグッときました。
ソロテックスのメリット
使ってみて感じたことを書いていきます。
気温や天気の変化に対応できる
小さくたたむとこれくらいのサイズです。
手のひらサイズとまではいきませんが、タブレットくらいのサイズ。
カバンに忍ばせておくと急な天候の変化に対応できます。
シワにならず、ノマドの服装にピッタリ
他にナイロン製のパッカブル仕様の服を持っていますが、広げた直後は小さなシワがたくさんでき、見た目が悪くなってしまいます。シワシワの服を外出先で着るにはちょっと抵抗があります。
これがソロテックスのパーカーを約一週間小さく畳んで持ち運び、広げた直後の写真です。
全くシワになっていませんでした。
例えば喫茶店などで長時間同じ体勢で座っていると、服がシワになってしまいます。
ところが、ソロテックスのアイテムは長時間座っててもシワにならない。
ブログを書いたり、PCで作業している間はずっと座っているので、シワにならない服は正義。
外出先で作業をする人にはぴったりだと思います。
あと喫茶店などで作業をしても、タバコの匂いがつかない気がします。
ポケットが大きくて便利
お腹に大きなポケットがあり、スマホや定期入れなど、なんでもポイポイ入れれるのが、とにかく便利でした。
ソロテックスのデメリット
デメリットらしいデメリットが思いつかないのですが、
あえて挙げるとするならば、これくらいです。
静電気が起きやすい、らしい。
静電気が起きやすい素材、ということですが、まったく気になりませんでした。
特に静電気で肌に張り付く感じもありません。
「ソロテックス=伸縮素材」ではないので要注意
伸縮性のあるソロテックスもあります。
ですが、ソロテックスを使用しているからといって全てにストレッチ性能があるというわけではありません。
今回僕が着たアノラックパーカーもストレッチ性能はありません。
ネットショッピングで服を買うときなんかはきちんと確認してから買うことをおすすめします。
最後に
色々と書いてしまいましたが、
服の未来を変える可能性があるソロテックスという繊維があるくらいの感じで覚えてもらえたら嬉しいです。
ソロテックスは繊維として生まれたばかりで、現在は用途開拓や需要創出の過程です。
特徴が明確で、汎用性も高い。
経済性およびリサイクル適正もあるので、近い将来にニーズが高度化•多様化する繊維市場において、確固たる地位を占めることは間違いないと個人的には思っています。
パーカーの歴史について書いた記事もあるので、是非読んでみてください。
感想などをコメントいただけるのが、何よりとても嬉しいです。
はじめましての方も、思ったことはお気軽にお書きください。
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