こんにちは。 洋服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。
『Thinsulate』この文字を目にしたことがある人は多いと思います。これは『シンサレート』と読みます。
冬用のアウターの中綿に使われていたり、コンビニやスーパーで1000円くらいで売られているようなニット帽や手袋にもつかわれている素材です。ワークマンではシンサレートのニット帽が500円以下で手に入るようです。
安く販売されているので保温力など低く見られがたですが、実はシンサレートは侮ってはいけない立派な高機能中綿素材なんです。
服地の専門家として、シンサレートがどのようなものか解説します。
シンサレートとは?簡単に言うと何?
中綿などの断熱材はたくさん種類があり、『違いがわからない』という人がほとんどだと思いますが、簡単にいうと開発してる会社が違います。
もちろん各社で性能が違いますが、普通に生活する分にはそんなに気にしなくて大丈夫です。
どの中綿素材もダウンの代替品として開発されているので、正しく使えばちゃんと暖かくすごせます。複雑に絡み合ったマイクロファイバーが空気を封じ込め、暖かさをキープしてくれるという仕組みは各社共通です。
今回のシンサレートは科学繊維の断熱材で、アメリカの3M(スリーエム)社が開発したものになります。
シンサレートを詳しく解説
アウターの事をインサレーションウェアと呼んだりしますが、断熱するという意味の『Insulate』が語源になります。
そして、『Thin(薄い)』と『Insulate(断熱する)』を掛け合わせてネーミングされたのが、今回のThinsulate(シンサレート)です。
その名の通り、薄いのが特徴です。しかし薄いからと言って断熱性が弱いわけではありません。
その保温力の高さから、全日本スキー連盟やウィンタースポーツの公式ウェアにも採用されるほど暖かい機能素材です。
シンサレートの構造
真冬の暖かい素材といえば、真っ先に思いつくのがダウン。そのダウンが暖かく感じられるのは、羽毛がたくさんの空気を含む事で、断熱性が生まれるからです。
外の冷たい空気は通さず、内側の暖かい空気は逃がさない、という仕組みです。
この仕組みを元に『もっと薄く・もっと暖かく』
科学合成繊維の微細な空間を利用し実現したのがシンサレートです。
シンサレートは繊維をシート状に積層し、その間に多くの空気を含ませ熱の放出を防ぐようになっています。
羽毛の先とほぼ同じ太さのマイクロファイバーとポリエステルファイバーで構成されていて、それらが複雑に絡み合う事により、薄くて暖かい機能性を実現させています。
(一般的なポリエステル中綿は繊維の隙間が大きく、その隙間から温められた空気が逃げやすい特徴があります)
シンサレートは複雑に絡み合わせた微細な繊維の間にたくさんの動かない空気を封じ込め、断熱層として役割を果たし保温性を高めています。
ダウンの半分の厚みで、ダウンと同じ断熱効果が出ると言われていますが、それはどうなんでしょうね。ダウンにも性能のランクがありますし、なんともいえないんじゃないかな、とも思います。
シンサレートの歴史
高機能素材といえば、割と新しいイメージがありますが、
1979年にはすでに開発されていて、
1980年代半ばから米軍の衣類にも使用されはじめました。
今ではいろんな種類が開発されて、ジャケットなどの防寒着だけでなく、寝具にも使われています。
開発している会社は
シンサレートは、ダウンの代替品として3Mコーポレーションによって開発されました。
3Mコーポレーションは、断熱材ばかりを製造しているわけではなく、幅広い製品を作っています。
環境保全、企業責任、社会的責任、経済発展を通じて地球の持続可能性に貢献しながら、サイエンスとイノベーションを活かして、世界中の人々の生活に深く関わっている会社です。
3Mは身近にあるこんな製品もつくっています。
ポスト・イット製品
きれいに剝がせえて、また貼れる付箋でお馴染みのポストイットは3Mの製品なんです。
スコッチ・ブライト製品
キッチンのスポンジなどで見かけるスコッチブライトも3Mのブランドです。
シンサレートの種類
シンサレートには、
- スタンダード(Type-C)
- ウルトラ(Type-U)
- エックス・ソフト(Type-EX)
- ハイロフト(Type-HL)
の4つのタイプがあります。
スタンダード(TYPE-C)
薄くても暖かい断熱素材のもっとも標準的なタイプです。
身体の熱を外に逃さず、しかも湿気を通すので快適。ポリエステルの綿より25%軽量。
繊維組成はポリプロピレン65%、ポリエステル35パーセントです。
ウルトラ(TYPE-U)
厚みをスタンダードと比較して40%アップし、しなやかで柔らかいシルエットを可能にします。断熱性能も15%アップし、快適な暖かさを実現します。
エックス・ソフト( TYPE-EX)
より軽く、より暖かく、よりソフトにを追求した高機能中綿素材です。
肌触りを向上させ、シルキータッチで身体への追従性も向上させています。
繊維組成はポリエステル100%。
ハイロフト(TYPE-HL)
ハイロフトは嵩があります。
そして耐久性を向上させており厚みがへたりにくく、当初の保温力を長く保つことができます。
繊維組成はポリエステル100%です。
シンサレートの数字の意味は?
繊維の密度をあらわす数字が表記されていたりするのですが、それは品質を示す指標になります。
簡単にいうと、数字が高いものほど高性能であるといえます。
数値が200のようなものもあるけど、150を超えてれば十分だとかなんだとか、聞いたことあります。
シンサレートの上手な着方、重ね着、NGな着方
高品質な中綿やダウンに頼らなくても
シンサレートなど、比較的低価格で手に入る中綿でも暖かくすごせます。
どのようにすればいいかは、冬の防寒方法について書いた記事があるので、
よかったら読んでみてください。
最後に
化繊の中綿素材はたくさん種類があり、開発している会社が違います。
ポーラテックやプリマロフトについて書いた記事もあるので、ぜひ読んでみてください。
この記事はこのブログを始めたばかりの頃に書いたので、今の記事と比べると読みにくくて、リンクを貼るのもなんだか恥ずかしなります(笑)
いつかリライトしたいと思います。
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