こんにちは。 服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。
生地を分類する方法について記事を書いていて、前回の糸の本数についての記事で、
生地の品質については、双糸であるということだけではなくて、糸の太さ(番手)や撚りの強さ(トルク)なんかも大きく関わってくる
ということを書きました。この記事でも引き続き『撚糸』について掘り下げて、今回は撚りの強さについて書いてみます。
撚りが多いとどうなるのか?
ゆるく撚るとどうなるのか?
この記事を悟飯読めば理解できると思います。
なぜ糸を撚るのか?
撚糸は強度の足りない一本の糸を、糸として使えるようにするため生まれました。
短い繊維を集めて引き伸ばしただけではそもそも糸になりません。
『ただねじっているだけ』と、撚りを甘くみてはいけません。撚れば撚るほど軸中心方向に巻きつく力、トルクが発生し短繊維同士の摩擦で抜けにくくなるんです。
主に糸を撚ることで強度が増す、とか撚ることで糸がムラなく均一になるといった効果があります。
撚糸については前の記事にある程度詳しく書いたので、よかったら読んでみてください。
撚り回数と強さの分類
ネットで商品をみていると、 『ハイツイストコットン』や『無撚糸タオル』などの単語を目にします。
- ハイツイスト=たくさん捻った糸、強撚糸。
- 無撚糸=撚ってない糸。
というように、どんな糸をつかっているかを示していて、なんとなくどういうものか想像できると思います。
そしてこれらは、糸の撚り回数によって分類をしています。
撚り回数が少ないものを「甘撚(あまより)」
撚り回数が多いものを「強撚(きょうねん)」といいます。
撚りの回数が多いのか少ないのかは、1メートル(もしくは1インチ)あたりに何回撚っているかで判断しています。ただし、あくまでも目安程度だそうです。
そして、スパン糸は撚りの強さを変えることで、生地の特性や品質が変わってきます。強さごとの特徴を簡単にまとめてみます。
スパン糸ついては、こちらの『糸の長さについて』の記事で解説してるので、よかったら読んでみてください。
無撚糸とは何だ?
撚糸は糸を撚ることで強度があがり丈夫になるのですが、肌触りが硬くなります。
無撚糸は糸の撚りをほぐしているため、綿糸そのままのような柔らかい肌触りと風合いの良さが特徴です。
繊維の間に隙間が多くできる分、吸水性も高いのも魅力です。なのでタオルに使うと、肌触りのいいタオルになります。
ただ無撚糸のタオルは撚っていないため、ほどけやすく、耐久性が低く毛羽落ちがしやすい、糸がほつれやすいのがデメリットともいえます。
タオル以外で使われることはほとんどないと思います。
- ふんわりとした肌触り
- 繊維本来の柔らかい手触り
- ボリューム感が出る
- 吸水性が高い
甘撚りとは何だ?
撚り回数が少ないものを「甘撚り」といいます。甘撚は柔らかい糸になります。
撚りをかける理由は、糸にまとまりを持たせるのが目的で、1メートルあたり〜500回くらいです。糸と糸の間に隙間があり、その隙間が空いているほどフワフワに感じられます。
甘撚りの糸は柔らかいので、編み物系の生地やタオルに使われることが多いです。甘撚りの糸で作られた生地は柔らかく、たくさん空気を含めるので保温性が高く、秋冬物に使われます。
デメリットは強度がなく切れやすいことです。着用の摩擦による毛羽立ち、毛玉もできやすい傾向にあります。
- 風合いが柔らかく温かみを感じる
- 手編みの糸として適している
- 強撚糸と比べて強度が低い
普通撚糸、並撚糸とはなんだ?
普通撚糸はだいたい1メートルあたり500〜1000回くらい撚った糸です。
撚糸は糸を硬くし、生地に張りとコシを出す目的で行いますが、特徴は甘撚と強撚糸の中間の糸だという感じです。
比較すると特徴がないのですが、一般的によく使われる糸です。
強撚糸
撚り回数の多い糸は強撚(きょうねん)と言います。ハイツイストとも呼ばれます。だいたい1メートルあたり1000回以上撚られたものが強撚糸になります。
撚り回数が多いとハリとコシが出て硬い糸になります。強く撚ると細い糸を作ることができるので、薄手で通気性がよく、シャリッと清涼感が出るので、夏糸に使われることが多いです。
夏用のウールのスーツ素材なんかは、強く撚っているので薄手に仕上がっています。
基本的に織物に使われますが、ハリのあるTシャツなんかにもハイツイストコットンが使われたりします。
強撚の糸は甘撚りに比べて密度が高く、重くなるので下に落ちようとする力が働きます。なのでドレープ性にすぐれています。
デメリットは撚りが強いと斜行しやすいことです。
- 手触りが固くなりシャリ感を感じる
- 糸の強度が高い
- 水気を吸収しやすく、早く乾きやすい
- 撚りが強いほど染色の発色が濃く見える
最後に
糸に撚りをかけることによって繊維間の摩擦が大きくなり、強度が高くなります。
ただ、撚りをかければかけるほど良いというわけでもなく、ある一定以上撚りをかけると、逆に強度が低くなるそう。
普段着ている洋服も、デザイナーが最適な生地をあてがっています。そしてその生地は、糸の撚りにまでこだわって作られているんですね。
その他、生地の分類についてこちらの記事でまとめています。
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