こんにちは。
服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。
レザーの種類や加工についてまとめた記事で天然の皮革について書きました。
そんな天然の皮革を人工的に模したものが、人工皮革や合成皮革です。
『ヴィーガンレザー』や『シンセティックレザー』が注目されている
ということも少し触れているのですが、一体どういったものでしょうか。
人口皮革と合成皮革の違いや、ヴィーガンレザーなどについて書いてみます。
本革だけがレザーではない
一般的に『本革』と呼ばれてるものは、天然皮革のことを指します。
製品の表記で、合成皮革や人造皮革といった記載を目にすることがあります。これっていったい何なのか?
『レザー』と呼ばれるものの中には、
天然の革だけでなく、人工的に革に似せて作られた合成皮革や人造皮革もあります。
レザーと聞いただけで本革と勘違いしてしまうことのないよう、違いを把握しておくと何かと役立つと思います。
シンセティックレザーとは何か?
シンセティックダウンとかシンセティックレザーというワードをよく目にするようになりました。
『シンセティック』という単語は日常でほとんど使われませんが、
シンセティックレザーって何のことかわかりますか?
『シンセティック(synthetic)』には、
「合成の、人工の、模造の」という意味があります。
つまりシンセティックレザーとは人口的に作られた皮革のことです。そのまんまですね。
ちなみに、海外と日本ではシンセティックレザーの指す範囲が異なるようで、
海外ではシンセティックレザーはフェイクレザー全体を指しています。
ところが日本においてシンセティックレザーは合成皮革を意味します(人口皮革を含みません)。
何が違うのか、後ほど解説します。
人工素材の特徴は?
人工の皮革は天然皮革に比べて水に強い性質があります。
天然皮革は水に濡れると変色してしまったり、風合いが変わってしまいますが、
人工のものは特に問題ありません。
その分メンテナンスも簡単で、薄〜い洗剤で洗ったり、
製品によってはドライクリーニングもできるものもあります。
また本皮と違い、革の表面に傷が少ないのも特徴です。
本革は天然素材である特製上、生きている間にできた傷や血管の跡がどうしてもあります。
ただし、素材がビニールやプラスチックなので劣化が早いという弱点があります。
ひっかき傷をつけたり、擦れてくると下地部分の繊維がみえてきます。
また、天然皮革であれば長く使えば使うほど風合いが出てきますが、合成皮革や人造皮革は丁寧に使っても5年くらいで劣化してしまいます。
そういったこともあり、天然皮革のような風合いを楽しむ使い方はできません。
合成皮革と人工皮革の違い
合成皮革と人工皮革は『合皮』として混同されていますが、別物です。
気にしたことない人がほとんどだと思いますが、実は違うものなんです。
何が違うのか、そのポイントは「構造」です
合成皮革とは?
合成皮革とは布地をベースにして、その上に合成樹脂を塗り、天然の革に似せた人工素材のことをいいます。
その合成樹脂はポリウレタンや塩化ビニールを使っているので、
プラスチック製やビニール製ということになります。
この樹脂を表面に塗って型押しをすることで、革らしく見せているということです。
見た目は革に似ていますが、革独特の匂いや手触りまでは再現できません。
合成皮革の構造
合成皮革は、天然の布地を基材として表面に合成樹脂を塗布したものです。
例えば、布を土台にポリウレタンなどの合成樹脂を塗布して表面を天然革のように仕上げています。
『表面』というところがポイントです。
ちなみに、合成皮革は「合皮」 とも呼ばれていて、ソファー や 車・バイク のシートなどに使われています。
低価格なレザージャケットにも使われています。
人工皮革とは?
一方の人工皮革は、皮革に似せて作られた人工素材。
合成皮革は表面を革に似せたものですが、
人工皮革は天然皮革の機能と構造を人工的に再現した人工素材です。
革に近い風合いを目指して作られているので、感触も天然の革に近いです。
耐水性に優れているのが特徴で、靴や服などに幅広く使われています。
人工皮革の構造
人工皮革は、天然革の組織構造に似せたマイクロファイバーを土台に合成樹脂を染み込ませています。
さらに、表面には合成樹脂を塗布して天然革のように仕上げています。
人工皮革は、マイクロファイバーの布地に合成樹脂を含浸させたもの、
またはそれを基材とし合成樹脂を塗布したものである。
人工皮革のほうが内部構造も含めて天然皮革に近く、学生靴やローファーに使われることも多い素材です。
人工皮革は超極細繊維のマイクロファイバーを立体的に絡み合わせることで、
天然皮革の表面だけでなく内部のコラーゲン層まで再現しています。
環境に配慮したサステナブル、エシカルなレザーが注目されている
合成皮革や人工皮革には石油原料のポリウレタンや塩化ビニルが使用されています。
サスティナビリティの観点から、
「エコ素材」として注目されているレザーがあり、注目されています。
植物由来のヴィーガンレザー
植物が原料の樹脂を使用した素材が開発されています。
それは限られた石油資源の消費を抑える、
地球の環境に配慮した素材として注目されています。
中でも石油の消費だけでなく、動物の犠牲を避ける『ヴィーガンレザー』は
需要が高まっているようです。
原料を特殊な加工するので合皮に比べればやや高価ですが、
動物愛護、環境配慮の両方の観点から、よりサステナブル・エシカルにつながるとして注目されている素材です。
ヴィーガンレザーとは?
ヴィーガンレザーとは、植物を材料としてレザーのような艶と光沢を出せるように加工した素材です。
ヴィーガンレザーの種類は主に合成皮革と人工皮革の2つです。
ヴィーガンとは
「できる限り食べ物・衣服・その他の目的のために動物の搾取を取り入れないようにする生き方」のこと。
ただの菜食主義とは少し違うようで、近年では道徳的観点に加えて、環境保護の観点からもその思想が注目されています。
ヴィーガンレザーは、このようなヴィーガンの思想に基づいて作られ、有名ブランドでは早くも商品化まで進むなど、多くの企業・人から注目されています。
例えば、りんごから作られたアップルレザーなんかがあります。
果物のりんごをそのまま使うのではなく、ジュースをつくる際に廃棄される皮や芯を活用して作られたりしています。
石油を使用せず、動物も犠牲にせず、廃棄物を活用するといった、
まさに環境に配慮した素材です。
ヴィーガンレザーのメリット
ヴィーガンレザーの商品を購入することで、環境や動物保護の問題に貢献ができるのはメリットといえます。
本革と違い耐水性があり、防水スプレーやクリームなどのメンテナンスは不要なので、お手入れもラクです。
本革と比較してリーズナブルなのも大きなメリットです。
・環境問題、動物保護に貢献
・耐水性がありお手入れが楽
・本革より安価
ヴィーガンレザーのデメリット
続いてヴィーガンレザーのデメリットは主に以下の2点が挙げられます。
いまのところリアルレザーのような耐久性はありません。
本革は「一生モノ」で、手入れをすれば何年も使うことができる耐久性があります。
ヴィーガンレザーは水には強いものの、耐久性に関しては劣ります。
時間とともに劣化していくことが多いため、変化する色や艶感などは楽しめません。
リアルレザーならではの、使い込むことで味がでる「経年変化」を楽しめないのは、ヴィーガンレザーのデメリットといえます。
・経年変化が楽しめない
・本革より耐久性がない
エコレザーについて
フェイクレザーとよく混同されがちな『エコレザー』。
製品の製造・輸送・販売・再利用のサイクルの中で環境面で影響が少ないと認められる革製品の事です。
フェイクレザーやヴィーガンレザーと違う点は、動物由来の本革を使っている点です。
何がエコなのかというと、
エコレザーはリアルレザーを加工する際にでる、本革の切れ端を天然素材などと混ぜて作られたレザーです。
天然皮革のはぎれを利用したり、再利用の際も革の機能を保ったものがエコレザーの基準となります。
また加工工程で使われる薬品、化学物質などに基準を設け、環境に配慮されています。
良質で地球にも着る人にも優しい革製品で、本革の原料を無駄にしない点などは、まさに「エコレザー」といえます。
最後に
表面だけでなく内部構造まで再現したのが人工皮革です。
今の僕の価値観だと、バッグや靴、アウターなどで人工皮革と天然皮革を選べるのなら、間違いなく天然皮革の物を選ぶと思います。
動物の皮を使用するので犠牲はありますが、長持ちするし、経年変化を楽しめるし。
ですが技術の進歩により、人工皮革もどんどん改良されていくと、
その価値観もいつかは変わるのかもしれません。
今後どんな人造のレザーが開発されていくのか楽しみです。
人造皮革のお手本である、
天然皮革について書いた記事があるのでぜひ読んでみてください。
いつもコメントやはてなブックマークいただきありがとうございます。
とてもありがたく、何よりとても励みになります。
はじめましての方も、思ったことはお気軽にコメントお願いします。
服の生地や環境についてブログを書いているので、よろしければ読者登録お願いします。
↓ブログ村ランキングに参加しています。よろしければ、そちらもチェックしていだけると励みになります。