服地パイセン

生地にうるさい服屋で学んだことを活かし、洋服のわかりづらいことをわかりやすく解説します。

メンブレンを知ると、人よりゴアテックスについて詳しくなれる。

GORETEXの中身はメンブレン

こんにちは。服の生地についてのブログを書いています。服地パイセンです。

 

キャンプが流行ってるし、アウトドアブランドが人気ですね。


supreme とTHE NORTH FACE
PALACE と アークテリクス、
sacai とTHE NORTH FACE
GUCCIもTHE NORTH FACEとのコラボレーションを行うと発表がありました。


このようにストリートブランドやハイブランドとアウトドアブランドのコラボも今後活発に行われ、アウトドア発祥のハイテク生地に興味がなかった人も袖を通す機会が増えそうです。


特にGORETEXを使ったアイテムが人気ですね。

ゴアテックスって知ってる!防水性がある生地でしょ?」
って思っている人は多いと思います。その通りなんですが、GORETEXのすごいところはそれだけではありません。

 

今回はそのゴアテックスの要、メンブレンについてお話しします。


メンブレンとはなかなか聞き慣れない生地ですが、仕組みや構造はとてもハイテクで、その奥深さを知ればきっと驚くこと間違いなしです。

 

 

 

メンブレンを簡単にいうと


メンブレンを簡単に説明すると、
すごく細かい網目状になっている生地で、水滴の侵入は防ぐけど、水蒸気は外に排出してくれる生地のことです。

 

これだけだとなんのこっちゃわからないと思うので、詳しく解説していきます。

 

GORETEXとメンブレン


普通のコットンの生地は水を吸ってしまうので、
雨の日に着ると水が侵入してしまいます。
例外もあるのですが、基本的に防水性はありません。

 

なので雨の日はレインコートやカッパを着て、濡れるのを防ぐ人が多いと思います。
ところがそんなレインコートにも弱点があります。


レインコートは、外気と衣服の中を遮断して防水しています。
でもそれだと、湿気が服の中でこもってしまい、レインコートの中が蒸れてしまうということ。


ところが現代の技術では、
水の侵入を防ぎつつ、衣服の湿気だけを外に逃すことができます。

 

こういう生地を透湿防水素材といいます。
透湿防水の生地はいくつかあるのですが、世界的に有名でわかりやすいのがGORETEXです。


GORETEXなど撥水•透湿性のある生地は、
①表地、②透湿性のある生地、③裏地を貼り合わせて3層構造になっている生地で、
スリーレイヤーと呼ばれています。

 

このGORETEXの2層目に欠かせない生地がメンブレンなんですね。

 

1層目(表地)

一層目の表地は撥水基といわれる目に見えないすごく細かい産毛のような形状になっています。
その産毛は水の分子より細かいので、水は侵入してこないという仕組みなんです。

 

2層目(中間層)

二層目のメンブレンは細かい網目のようになっていて、
その網目は水蒸気は通すけど、水滴は通さない大きさになっています。


正確にいうと網目というより、
いわゆる卵の薄皮のような特殊な膜で、この膜が大きな役割を果たします。

膜には目に見えない小さな穴が無数にあり、この穴の大きさは水滴の約20000分の1、水蒸気の約400倍の大きさと言われています。

この膜があることにより、雨風の侵入のみを防ぎ、中でかいた汗だけ外にだすという、防水性と透湿性両方の機能をあわせ持つことを可能にしています。

 

3層目(裏地)

三層目の裏地は、
そのままだとメンブレンがむき出しになってしまうので、それを保護するための層です。

こうでないといけないという決まりは特にないので、
ウエアの使用用途に合わせてブランド側で自由に生地を変えたりします。

 

例えば、
汗をかくような着用シーンを想定したものだとメッシュ素材の裏地をつけたもの。
着心地を優先して、肌触りの良い生地をつけたものなど。

防寒性を重視したものだと、
メンブレント裏地の間に中綿やダウンを入れたりもします。

メンブレンをもっと詳しく

メンブレンは防水透湿フィルムです。

外から内への水の侵入を防ぎ、水蒸気は内から外へこもった水蒸気を逃がすということです。
このような機能は、一般的な洋服やレインコートにはないメンブレン特有の特殊なフィルムに秘密が隠されています。

メンブレンについてもう少し深掘りします。

 

メンブレンは大きく分けて二種類ある

そんなメンブレンにも種類があり、
多孔質メンブレン」と「無孔質メンブレン」に分けられます。

孔とはフィルムに空いた穴のことです。

多孔質メンブレン

多孔質メンブレンはたくさんの小さな穴が空いたものです。


多孔質タイプの穴は、
水滴などの大きな粒子は通さないけど、水蒸気のような細かな粒子であれば通るよう設計されていいて、
これにより雨がウェア内に侵入するのを防ぐ一方で、汗をかくことで発生した水蒸気を外へ逃し、湿度の上昇を軽減させる働きがあるんです。


これは外気と内気の湿度差をうまく利用しており、多湿化した内気から、より湿度の低い外気への水分子が移動する性質を利用して実現しています。


ちなみに、今流通しているメンブレンはほとんどが多孔質です。

 

無孔質メンブレン

いっぽう無孔質メンブレンはその穴がありません。


メンブレンは細かい網目のようになっている」と書きました。
ですが実は網目のないメンブレンもあるんです。

水蒸気が抜ける穴もないのに、蒸れが抜けるという不思議な素材。

水が侵入してくる隙間がないので、構造的に言っても防水性が高いという特徴があります。

 

代わりに透湿性が失われているのではないかと思ってしまいますが、そんなこともありません。

無孔質メンブレン
素材そのものがウェア内の水分子と化学結合して保水、そして気化して外気に排出されるというメカニズムで湿度循環を行ってくれます。

多孔質メンブレンと無孔質メンブレンのメリットデメリット

この2種類には、それぞれにメリットとデメリットがあります。


多孔質メンブレンは、
メンテナンスすれば劣化しにくく、長期にわたって使用できます。


しかし穴が開いているという構造上、薄くすればするほど強度が下がってしまうという欠点があります。

また、長期間クリーニングせずに着用していると、目詰まりを起こして透湿性が損なわれることも。GORETEXウェアは定期的に洗った方が良いといわれているのはそのためです。


それに対し、強度の問題がないのが無孔質メンブレン
ストレッチ性もあり、軽くしなやかに着ることができるウェアが多いです。

しかし、多孔質メンブレンと比較すると生地の経年劣化が早いという弱点もあるんです。
熱や紫外線、水と化学反応することで起こる加水分解によって劣化が早まることがあるよう。

 

それぞれ2種類メンブレン
構造的な違いによる長所と短所をしっかりと理解した上で選択すれば、
心強いパートナーになってくれることまちがいなしです。

 

一応それぞれの欠点を挙げましたが、
完璧な生地なんて存在しないですし、丈夫で扱いやすい生地なので、そこまで神経質にならなくても大丈夫です。

GORETEXの2.5レイヤーとは何?どうゆうこと?

レインウェアにとって欠かせないメンブレンですが、
製品では単体で使用されているわけではありません。

 

GORETEXは1枚の生地に見えながら、3層構造のハイテク素材。
アウトドアブランドがデザインする高機能なジャケットに多く使われています。


大きく分けて3種類のパターンが存在し、
3層になった3レイヤー、2層構造の2レイヤー、2.5層の2.5レイヤーがあります。
レイヤーというのは、何枚の生地を重ねているか、ということです。

 

では3レイヤーと2レイヤーとは、それぞれ2層や3層になってる、
ということは理解できますが、2.5枚ってどうゆうことでしょうか?

一つずつ説明していきます。

 

3レイヤー

3層構造になっていて、
①表地、②メンブレン、③裏地の3枚を一緒にラミネートした生地。
この生地単一でウェアに加工可能です。

3レイヤーの説明



 

3レイヤーは、
表地と裏地でメンブレンを挟んで圧着させた3層構造の生地です。
とても頑丈で優れた透湿性を備えているのが魅力と言えます。

 

透湿防水素材の基本でありながら、耐久性、耐水圧の高さもありハイエンドクラスで使用されます。
2レイヤーや2.5レイヤーに比べると生地は硬めで重くなりますが、ハードな仕様を想定するなら3レイヤーがいいでしょう。

 

昔からGORETEXを知っている人は
「3レイヤーは生地が硬いしゴワゴワしているからちょっと…」
というイメージがあるかもしれません。

ですが、
GORETEXの歴史は40年間以上あり、進化しています。

表地や裏地はもちろん、圧着技術の進化もあり、
今のGORETEXは格段に肌触りがよくなっているんです。

3レイヤーのアウターがゴワゴワするというのは、ひと昔前の話なんです。

 

2レイヤー

2レイヤーの説明




2レイヤーは生地が柔らかく着心地が良いのが特徴。
また3レイヤーに比べると安価で、初心者向けモデル等に使用され、アウトドアブランドであれば、本格的なギアではなく、タウンユース仕様に採用してある事もあります。


ただし、
このままだとゴアテックスメンブレンがむき出しの状態になり、皮脂や汗がついてしまうことになってしまいます。

ややこしいですが、これ単体で製品化はされません

この2レイヤーの生地プラス何かしらの加工ががくわわって、製品化されます


ちなみに、2レイヤーの場合は別の生地(貼りあわせていない独立した別の生地)を併用することでゴアテックスメンブレンを保護しています。

 

ゴアテックス2レイヤーはあまり使われておらず、3レイヤーと2.5レイヤーが主流になります
そんな事情もあって、「2.5レイヤー」と「2レイヤー」を区別しない人もいます。

 

2.5レイヤー

2レイヤーの生地の裏に特殊加工を施すことで
裏地を使わずに単体で使用が可能な生地で、
数年ほど前から台頭し始めたのが2.5レイヤーです。

 

2.5レイヤーの説明



特徴的には3レイヤーと2レイヤーの中間ですが、
2.5レイヤーの最大の特徴は軽さと携行性です。

 

裏地がなくてもこの生地だけで使用できるので、非常に軽く、やわらかく仕上げる事が可能。

また、非常にコンパクトに収納可能です。
その特徴を活かし、遠征や旅行の際に荷物の中に入れておくと突然の雨や冷え込みの時に安心です。

 

裏地がないので、3レイヤーよりも軽いというメリットもあります。

最近では種類が増え、3レイヤーと同じくらい使用されているんじゃないでしょうか。

 

このようにメンブレンを軸に生地や加工を施したレインウェアには
2レイヤー、2.5レイヤー、3レイヤーの3種類があります。

この3種類とメンブレン数種類とを組み合わせることで、
レインウェアは日々進化しています。

最後に

洋服の機能性は天候や気温の変化が激しいアウトドアでにおいては、とても重要な課題です。

正直、アウトドアウェアは見た目よりも機能性が重視されていて、
より機能的なものが良いとされてます。

 

これまでファッションとは近いようで、実は距離の遠い存在でした。

 

しかしその境目がなくなり、
アウトドアウェアがファッションとして認められるようになってきています

 

ちなみに、
GORETEXなどの生地はどのブランドでも気軽に使用できるわけではなく、限られたアウトドアブランドでしか扱えない生地なんです。

 

これはおそらくですが、
ハイブランドがアウトドアブランドとコラボをするのは、
そのブランドの生産背景やテクニカル生地を使用するためではないか、
と思っています、

 

ブランドが一からアウトドアラインを展開するには、
コストもノウハウも時間も必要なので、
コラボして生地を使わしてもらう方が圧倒的に効率がいいからです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。 

 

 

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