こんにちは。 洋服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。
12月に入り本格的に寒くなってきました。冬のアウターの有力候補といえばダウンジャケットです。
『どんなダウンジャケットが自分らしいのだろうか?』考えてみても結局どのブランドのダウンがいいのかわからず、毎年見送っているという人はけっこう多いみたいです。
ダウンは海外のブランドも多く、国によって文化も気候も違うのでデザインも様々。値の張る買い物だし、選択肢がありすぎるから迷ってしまいます。
この記事では、有名なダウンブランドとその名作を国ごとにわけて紹介します。
ある程度ダウンブランドについて『ツウ』になれると思いますし、自分の好みに合ったものを選ぶひとつの基準にすることができるはずです。
- 現代のダウンはどうなっている?
- ダウンジャケットは好みのテイストで選ぶ
- 国別で世界の名作ダウンを紹介!
- 最後に
現代のダウンはどうなっている?
ダウンジャケットは水鳥の羽毛と胸毛をつかった冬用の重衣料アウター。当たり前のように街で見かけますが、もともとはアウトドアウェアです。
エディバウアーが1930年代に趣味の釣り用の防寒着としてダウンパーカーを開発したのが始まりです。
何故わざわざそんなことを書くかというと、
『アウトドア用の防寒ウェアをどのように昇華させるか』というアプローチが国によって全然違うような気がするのです。
羽毛を使わないダウンジャケット?
国だけでなく、アパレル業界としてもダウンとの向き合い方が変わってきました。
SDGsの影響もあると思います。
最近は純粋なダウンでなくても
『ダウンジャケット』と称するアイテムも増えてきました。
どういうことでしょうか?
例えば『ハイブリッドダウン』。
これはダウンやフェザーに中綿を混ぜたり組み合わせたものです。ダウンも使用しているので、これは理解できます。
他にも
『シンセティックダウン』や『中綿ダウン』
なんかもありますが、こらは完全に中綿100%なんですが、『ダウン』という名称をつかうことに違和感を感じる人も多いようです。
これはある種、まじめすぎる日本人だから感じる疑問なのかもしれません。
というのもダウンジャケットは海外で
『puffer jacket 』や『puff jacket』と表現されることも多く、puffとは膨らんだものや羽毛布団などを意味します。
日本ほど中の詰め物にこだわっていないのかもしれません。
①膨らんで暖かければそれでよくて、材料に何を使っているかは特に気にしないタイプ
②動物愛護の観点から羽毛を代替した材料を好むタイプ
という極端な意識高い系と意識低い系がいるからかもしれません。
あまり詳しくはわかりませんが、いずれにせよ中綿の機能性は進化していて、ダウンも多様化が進んでいます
その国の気候によって違う
ダウンジャケットはもっとも防寒性の高い上着です。
寒い地域だけで着られ、暖かく過ごしやすい地域や暑い南半球ではあまり出番はありません。
その国の気候や文化に適応するように進化してきました。
アメリカは国土が広く、エリアごとに気候がまるで異なります。アウトドアが盛んな国なので、アウトドアに適した服が多い。
カナダの冬はとてつもなく寒く、最低気温-20℃なんて当たり前。最高気温が氷点下なんてこともよくあります。
イタリア、フランスの気温は東京とほぼ同じくらい。年間を通して東京より5度位気温が低く乾燥していますが、南部は温暖です。
というように、国によって気候は様々です。
洋服はお国柄が現れる
洋服は国によって特徴があります。
•アメリカの服はゆったりしていて合理的
•イタリアの服は柔らかく曲線的で色気がある
•イギリスの服は質実剛健で紳士的
といったように。
気候だけでなく、その国の価値観や文化にも影響されます。
以前に、国ごとのファッション感について書いた記事があるので、そちら記事でもう少し詳しく書いてるので、よかったら読んでみてください。
ダウンジャケットは好みのテイストで選ぶ
服装には好みがあります。
きれい目な服装が好きな人もいれば、カジュアルな服装が好きな人もいます。
いきなり気に入ったダウンジャケットを見つけるなはむずかしいので、まずは自分の好みを整理してみるのがいいと思います。
例えば、好みは次のようになります。
きれい目ドレッシーが好きならイタリアかフランスのブランド
イタリア、フランスのダウンは艶やかでラグジュアリーなものが多いです。
シルエットもファッショナブルで洗練されていて、生地にはリモンタのような高級なナイロン生地がつかわれます。
アウトドアテイストが好きならアメリカのもの
アメリカはダウンジャケット発祥の地。
アウトドアが盛んな国なこともあり、ダウンジャケットもアウトドアテイスト強めのものが目立ちます。
生地にはタフなナイロンが採用されることが多いです。
防寒性の高いカナダのダウンジャケット
カナダの冬は氷点下は当たり前。
-20度〜-40度での使用を視野に入れているものも多く、ダウンジャケットも本格仕様です。
街着としてはオーバースペックだと思いますが、極端に寒い地域なら、カナダのダウンジャケットはピッタリです。
日本のダウンジャケットは使いやすい
日本はほとんどの地域が温帯なので、あたたかく過ごしやすい。
あまり無駄なデザインがなくとてもミニマルで品質も良いです。
海外のダウンジャケットは派手な色も多いですが、日本のものはベーシックなカラーを展開するので、合わせやすいのもポイントです。
国別で世界の名作ダウンを紹介!
世界の名作ダウンジャケットを集めました。
ダウンはダウンとフェザーの割合やフィルパワーばかり注目されますが、生地にもそのブランドらしさが現れます。その特徴についても軽く触れてみようと思います。
アメリカのダウンブランド
アメリカのダウンジャケットはアウトドアテイストが強め。
生地にはアウトドアらしいナイロンが使われることが多いです。
ウールリッチの「アークティックパーカー」
ウールリッチはアメリカのアウトドアブランド。アメリカの懐かしい雰囲気を持ちながらも、現代的にアップデートを続けています。
名作のアークティックパーカー。現在はナイロン100%のシェルですが、1970年代に開発された初期のものはアメリカン・アウトドアらしい60/40(ロクヨン)クロスを採用していました。
GORE-TEXやロロ・ピアーナの生地を使用したものもあります。
ダウンはホワイトダックダウンを使用してます。
ロッキーマウンテン フェザーベッドの「クリスティジャケット」
一度は姿を消しましたが、2000年代に復活したロッキーマウンテン。
このクリスティジャケットはアメカジ好きに大人気。
一枚革のウエスタンヨークとボリューム感が特徴で、アメリカンな雰囲気が残ります。
表地には70デニール厚手ナイロンタフタ。
ダウンはヨーロピアンホワイトダックダウンを使用しています。
ノースフェイスの「バルトロライトジャケット」
ここ数年世界中で人気のノースフェイス。
特に海外ではまったく手に入らないんだとか。
シェルはGORE-TEX INFINIUM WINDSTOPPERを使用し、ダウンと首元までパンパンに入っているので寒気を防ぎ、暖気の放出を防いでくれます。
最近のノースフェイスはダウンと中綿を混ぜたものを使用しています(ダウン72%、レーヨン20%、フェザー8%)。
カナダのダウンブランド
カナダのダウンジャケットは抜群の保温性と機能性です。
本格使用なので、すこし重量感もあります。
カナダグースの「ラングフォードパーカー」
メイド・イン・カナダにこだわり、極寒地に耐えうる防寒性、突発的な気象変化に対応できる機能性が魅力。
アウトドアから通勤まで、多彩なシーンに対応するモデルも。
生地はカナダグースが開発したアークティックテックというポリエステル85%とコットン15%の生地にテフロン加工を施したものです。
ハリがあり丈夫で、都市にも馴染みやすい雰囲気です。
OSC(OUTDOOR SURVIVAL CANADA)の「ニーク」
OSCはカナダのダウンウェアを専門に製作しています。
北極探検のテストなどで長年にわたる多くの経験で得た知識、極寒地でも耐えうるアウターウエアーの制作技術など物づくりに対するノウハウを活かしすべて自社工場で製作。
耐久性と実用性を念頭に置いたOSCのダウンジャケットは高い防寒性と防水性で極寒地のみならず様々な状況に対応するハイスペックダウンジャケットです。
OSCのダウンジャケットは-40度まで対応できるように設計されています。
シェルはナイロン100%でコヨーテのファーが付き、見るからに暖かそう。
イタリア、フランスのダウンブランド
ヨーロッパのダウンはドレッシーな香りがします。
リモンタのような、ツヤ感のあるなナイロン生地がよく使われます。
デュベティカの「ディオニシオ」
イタリアの高級ダウンブランドのデュベティカ。
ダウンなのに高級感がありドレッシーなアイテムが多いです。
フランスの名門テキスタイルメーカーSOFILETA社の美しい光沢生地「ウルトラシャイニーナイロン」を使用。
ダウンも100%フランスの最高級のものを使っています。
ヘルノの「ダウンコート」
ヘルノはイタリアのアウターブランドです。
「伝統とモダニティの融合」をコンセプトにしています。
クラシックとモダンのミクスチャースタイルを完成させたライナー付きコート。
ウール・カシミヤを混紡した軽やかな生地です。
モンクレールの「マヤ」
フランス発祥の高級ダウンブランドです。
スーツにダウンジャケットの着こなしを浸透させた世界的に有名なモンクレール。
最大の特徴は上質な素材と綺麗なシルエット。
都会的で洗練されたデザイン性と最高品質の高級羽毛。
モンクレールのダウンジャケットを象徴する「シャイニーナイロン」。光沢のある生地感でラグジュアリーかつドレッシーな印象を醸し出す。
フランス規格協会認定の高級グースダウンを使用しています。
日本のダウンブランド
日本のダウンジャケットはデザインも合わせやすく品質も良い。
日本の気候にもあっているので、使いやすいと思います。
なにより、シンプルで軽いのがいいです。
ナンガの「オーロラダウンジャケット」
ここ数年、雑誌の露出も増え続け、人気上昇中のナンガ。
もともとは1940年代にスタートしたもともとは寝袋のメーカーです。
ナンガが使用する羽毛はすべて国内で洗浄されたもの。
目に見えない安全性と品質にこだわっています。
防水、透湿性の生地「オーロラテックス」
難燃生地の「タキビ」
などがあります。
徐々に値上がりしてきましたが、まだまだコスパが良く人気です。
ZANTER JAPANの「ダウンパーカー6705」
ザンターは、国内初の登山用ダウン防寒着やダウン寝袋の開発を皮切りに発足。
1970年代から街着としてのダウンウエアにいち早く着手し、日本のダウンウエアのパイオニアとして、
多くの国内ブランドの生産にたずさわっています。
ZANTER JAPANは、南極観測隊へ60年以上にわたりダウンウェアを提供しているZANTER社のアウトドアファッションラインです。
東レの耐久撥水素材『キューダス』を採用
撥水剤を繊維表面で構造化させた超撥水生地が、ダウンの弱点の濡れを防ぎます。
イギリスのダウンブランド
英国紳士のイメージの強いイギリスは、ダウンジャケットを着ているイメージがありません。
キルティングジャケットやオイルドジャケット、トレンチコートやダッフルコートのイメージでしょう。
『イギリスらしいダウンは?』と尋ねられると正直困るのですが、イギリス発祥のカリマーのダウンは人気があるので紹介します。
カリマーの「フェザーライトダウン」
バッグからスタートし、アウトドアウェアの評価も高いカリマー。
ダウンはブランド屈指の人気アイテムの一つです。
最後に
今回紹介したもの以外にも、
フランスのピレネックス、
イギリスのマウンテンイクイップメント、
なども挙げようと思ったのですが、そのブランドらしさを担保できているか疑問に思ったので、独断と偏見で今回は外しました。
というのも、インポートブランドを日本代理店が規格した時点で『そのブランドらしさ』がある程度削ぎ落とされてしまいます。
規格について言及していくと、
『カナダグースはどうなんだ?』
『ノースフェイスはどうなんだ?』
とボロが出てくるのですが、そのブランドらしさが残っているので許容ください。
(不要になったブランド品の買取についてはこちらも参考にしてみてください。)
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