服地パイセン

素材•生地にうるさい服屋で学んだ、服の生地や環境のことについて語ります。

あなたのダウンジャケットが暖かくない理由。ダウンの下に何を着るべきか。

ダウンが暖かくない理由

こんにちは。
服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。

 

冬の寒い日にダウンを着る人は多いです。ところが、
『ダウンを着てるのに寒い』
と感じる人は案外多いようです。

 

前回の記事で
『アウトドアの人重ね着のノウハウが参考になり、ミッドレイヤーがポイントになる』と書きました。

 

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それをふまえて、ダウンを着てるのに寒く感じる理由について書いてみます。

 

 

 

 

 

防寒に一番必要なものは何か

ダウンジャケットの防寒に必要なものは何か

アウトドアにおいて、
『防寒にはミッドレイヤーが重要』
ということですが、実際に街で快適な温度で過ごすのに一番必要なものは何でしょうか?

ふわふわで厚みのあるニット?

パンパンに膨らんだダウンジャケット?

 

 

どんな環境でも快適に過ごすために必要なものの答えは
『空気』
です。

 

どういうことか、少しわかりずらいと思うので、サウナを例に説明します。

 

サウナはとても暑いのに実際の温度ほど暑さを感じません。

防寒は、実際の気温ほど寒さを感じないように工夫します。

 

暑いのと寒いのではまったく逆のように思いますが、
『極端な状況でも快適に過ごす』という意味では同じような原理が働いています。

 

なぜ100℃のサウナでやけどしないのか

サウナの様子

サウナの中はだいたい100℃くらいの高温になっています。

ですが簡単にやけどをしませんし、なんならお金を払ってまでサウナに行きたくなるほど気持ちいい。

100℃のお湯ならちょっと触っただけでやけどしてしまうのに、どうしてサウナでは全身を高温にさらしても平気なのか。


この理由はいくつかあります。

 

空気は熱伝導率が低い

まず、空気は水に比べて熱伝導率が低い物質であることがいえます。

 

熱いお湯に触れると皮膚もすぐその温度になりますが、空気の場合はゆっくり伝わるので、かぎられた時間ならやけどをしません。

 

100度の気体は熱を伝えにくいのに対して、100度の液体は熱を伝えやすい。

 

気体と液体で熱の伝わり方が違うのは、分子の密度が違うということが影響しています。

 

お湯などの「液体」は分子の密度が高く、分子同士がギチギチにひしめき合っている状態です。

 

それに対してサウナの空気など「気体」は分子の数が少ないので密度が低く、分子が自由に飛び回るような状態となっています。

 

熱は分子が振動する時に発生するため、お風呂やサウナでは人間の身体に分子がぶつかることによって分子が振動し、熱が伝わっています。

 

つまり分子密度が高く、たくさんの分子がある液体の方が、それだけたくさんの分子が身体にぶつかって熱を伝えています。

 

一方、気体は分子密度が低く、身体にぶつかる分子の数が少ないことから、同じ100度でもサウナの方が熱が伝わりにくいのです。


しかし分子の数が少ないとはいえ、まともに100度の熱が伝わり続けると、火傷してしまいます。

からだは空気のバリアで守られている

肌を守る空気の層のイメージ

サウナで火傷をしないもう一つの理由が、からだは空気のバリアで守られているということです。


この「空気のバリア」の正体は、人間の身体の表面上に発生する薄い空気の層のことです。

先ほど解説したように、分子がからだにぶつかって分子が振動することで、身体に熱を伝えています。

 

この空気の層がバリアの役割を果たして、サウナ内の100度の熱が直接身体に伝わらないようになっているのです。


サウナから出ようとして動き出した瞬間に熱さを感じたことはありませんか?

 

他にもサウナや岩盤浴であおいでもらうと、同じ温度の熱風のはずなのにものすごく熱く感じませんか?

 

これは空気が動くことで、からだのバリアが剥がれてしまうからです。

 

もし、熱風が吹き荒れるような環境下で100度の空気を浴び続けると、空気のバリアを作ることができないので簡単にやけどをしてしまいます。

 

熱の伝わり方のまとめ

分子の密度が低い気体は熱が伝わりにくい。

 

からだの表面にはバリアのように空気の層があり、熱が伝わりづらくなっている。

 

冬のアウターにダウンが選ばれる理由

冬にダウンが選ばれる理由

特に寒い冬の最強アウターといえばダウンジャケット。

冷え込む日はほとんどの人が着ています。

では、なぜダウンが選ばれるのでしょうか。

 

ダウンが暖かい理由は?

ダウンの特性として、羽毛があたたまると膨らみ、空気の層を作り出して体から発する熱をキープしてくれます。

これは羽毛布団と同じです。

 

ちなみにダウンは水鳥の羽毛です。

水鳥は水の上に浮かんで生活していて、羽の内側に空気の層をつくって体温を奪われないようにしています。

 

ダウンが暖かいのは、そんな水鳥の性質のおかげです。

 

ダウンが軽い理由は?

ダウンは空気の層を多く含むので、保温性が高くて軽い。

 

水鳥の羽毛は水面に浮かべるように浮力があり、水中でも体温が保たれるように高い撥水性をもち、空気を含みやすい性質をがあります。

 

そして空を飛ぶために軽さも必要です。

 

水鳥は水面で浮かんでいるか、空を飛んでいることがほとんどです。

ダウンジャケットが軽さに優れているのは、水鳥のそんな性質が大きく関係しています。

 

ダウンの中にダウンを重ね着するとどうか

食べ物は美味いもんと美味いもんを組み合わせると美味いもんができるかもしれません。

 

けど、暖かいアウターと暖かいアウターを組み合わせてもあまり意味がありません。

 

上でも説明したように空気の層をうまく活用するのが大事。

 

ダウンを重ねて意味がないことはないのですが、着膨れして重たい割には、空気の層があまり効果を発揮しないのでおすすめしません。

 

それよりは、『いかに空気の層をキープするか』を考えた方が効果的です。

 

ダウンが暖かくない理由

冬のダウンジャケット

冬の最強アウターのダウンジャケット。

 

そんなダウンを着ても暖かくないのは体温をうまく活用できていないからです。

 

車や家電製品は、低燃費だったり省エネ性能が求められるますが、これらは簡単にいうと『少ないエネルギーでいかに運動し続けられるか』ということです。

部品同士の摩擦を調整することで、エネルギーのロスを減らし省エネにつなげたりしています。

 

防寒についても同じで、『いかに自分のからだから出る熱を無駄にせず、キープし続けるか』という考え方が大事です。

 

ダウンは濡らしてはいけない

液体と機体では熱伝導率が違います。

これはつまり、上手に空気の層をつくると外気の寒さを防ぐことができますが、濡れてしまうと防げないということです。

さらにダウンは羽毛なので、水を吸ってしまうとボリュームが減ってしまい、溜め込める空気の量が激減してしまいます。

 

どうすればいいのか?

防ぐ方法はいくつかあります。

 

撥水性のある生地のダウンジャケットを着る

ダウンジャケットの生地が撥水してくれるのが一番てっとり早いです。

それだけで空気の層と冷気を防ぐ壁になってくれます。

 

 

ダウンジャケットの上に撥水、防水性のある上着を羽織る

ダウンジャケットをミッドレイヤーとして利用する、アウトドアらしい着方です。

ただし、厚めのダウンだとかなり着膨れしてしまうので、街着ではあまり現実的じゃないかもしれません。

 

インナーダウンがまさにこれに当たり、今では街でも当たり前に毎日のように見かけますが、もともとはアウトドアをする人しか着ていませんでした。

 

ダウンの下に着るべきインナーは何か

ダウンの下は薄着がいい

『どこに着ていくか』で、結論は変わりますが、街で着るならインナーは薄着がいいでしょう。

 

たまに、ダウンジャケットのインナーを着込みすぎる人がいます。

たいていは「自分は寒がりだ」と思っている人です。

寒がりなのは仕方ないのですが、ダウンの羽毛まで体温が届かないくらい着込んでしまうと、ダウンの性能を発揮できずに、せっかくのダウンジャケットの保温性が無駄になってしまうことになります。

 

熱源である体温と距離が近いほど保温性が高まるというわけなので、着込むほど、ダウンの特性が生かされないということになってしまいます。

 

インナーは秋の気温で着るようなアウターをそのままダウンジャケットに変えるような、ロンTだったり薄手のスウェットなどで十分です。

 

ダウンジャケットの中に着るべきは空気

ダウンジャケットの防寒について書いていきました。
早い話が、
『ダウンは素肌近くに着ることで温度を保ち、その空気の層をキープするのが効果的』

ということです。

 

 

ダウンは水鳥の羽毛と羽根を使用するので、動物愛護の倫理観にふれるようです。
そういったサステナブルな気運もあり、最近は高性能な中綿を使用したウエアが増えています。
『中綿はダウンの代替品』として開発されましたが、そんな日も遠くないかもしれません。

 

かなり昔ですが、プリマロフトというすごく暖かい中綿について書いた記事もあるので、よかったら読んでみてください。

 

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