こんにちは。
服の生地についてのブログを書いています。服地パイセンです。
服屋さんの服にぶら下がっているタグやピスネームで見かけるようになった
「PRIMALOFT」の文字。
プリマロフトと読みます。
売られている暖かそうなアウターを手にして
「なんや、中綿ジャケットやん。ダウンじゃないと嫌やわ」
と、思って見向きもしない人は多いと思います。
ただの中綿だと思ったそのジャケット、
プリマロフト使ってませんか?
このプリマロフト。
知っているとアウター選びの基準が変わるかもしれません。
プリマロフトをかんたんにいうと
プリマロフトをかんたんにいうと
ダウンの代わりなる人工素材の中綿です。
ノースフェイスやL.L.Beanなど、アウトドアブランドのアウターなどで使われることが多い中綿の素材です。
「insulation」「インサレーション」「インシュレーション」ってという言葉を見かけたことある人もいると思います。それらは中綿のことなんですが、そこにプリマロフトが使われているものもあります。
なんとなくプリマロフトについてざっくり知りたい、
という方はこの理解で大丈夫だと思います。
ここから先は、
歴史やウンチクの内容になりますが、
本当にすごい素材なので最後まで読んでいただけるとありがたいです。
プリマロフトを詳しく解説
そんなプリマロフトですが、
どんな会社が作っているのか。
いったい何がそんなにすごいのか、
わかりやすく解説していきます。
スペースシャトルの断熱材を手がける会社が製造している
プリマロフトはアメリカ、ニューヨークにあるアルバニーインターナショナルという会社が1983年に開発しました。
スペースシャトルの断熱材などを開発している会社です。
厳しすぎる環境で活躍するスペースシャトルの断熱材をつくっているって、すごくないですか?
天然素材のダウンの代わりになる人工素材として開発され
羽毛に代わるマイクロファイバーといわれています。
アメリカの海兵隊に支給される
もっとも機能性を重要視する組織として、米軍機関があります。
とても厳しい環境で職務につく兵士にとっては、上着といっても単なるお洋服ではすまされません。
命がかかっていますからね。
その米軍に納入されるジャケットの中綿として、プリマロフトは現在も使用されているのです。
例えば、Level7ジャケット。
菅田将暉さんが着用し、話題をあつめた一品です。
その中綿にはプリマロフトが使用されているんです。
プリマロフトなにがすごい?
プリマロフトがすごいのはわかったんで、実際に何がすごいのか。
解説します。
ぬれても平気な撥水性
プリマロフトは羽毛の代わりとして開発されたのですが、羽毛にはない特性の「撥水性」があります。
というのも、断熱素材として優秀であるダウンにも弱点があり、それは「水」の存在です。
どう弱点なのか?また、その弱点を克服するということで何が得られるのか、みていきましょう。
ぬれても保温性能がキープされる
ダウンといえばふわっとしたボリュームが特徴。ですが、ダウンはぬれるとボリュームが減ってしまうんです。
つまり空気をため込めずに保温力が下がるということなんです。
ところが、撥水性のあるプリマロフトはぬれてもボリュームが減ることもなく、保温力を保つことができるんです。
プリマロフトは水に濡れた状態であっても、96%の熱遮断性を保持するとされています。
つまりぬれたとしても保温性を維持し、からだから体温が奪われるのを防いでくれるということ。
ぬれた時の保温能力の高さにおいて天然のダウンを遥かに上回る機能性を誇るプリマロフト。
これが、野外活動における雨や雪に耐えうる素材として急速にアウトドアブランドなどで広まった理由の一つになります。
プリマロフトは洗濯できる
プリマロフトはダウンとちがって、洗濯できる素材なのです。
かっこよく言うと、イージーケア。
ダウンは家庭での洗濯が難しく、専門店にクリーニングをお願いする方が多いはず。
家で洗濯できるのは、経済的にもありがたいですね。
奥さんも感謝されると思います。
アレルギーの人も安心して着られる
「羽毛アレルギーでダウン製品を着れない」という方も世の中にはたくさんいます。
羽毛に付着している小さなたんぱく質成分が原因で、ダウン製品を着ると乾いた咳が止まらずかなり苦しいようです。
いっぽうプリマロフトは羽毛のように動物性たんぱく質を含まないので、羽毛のにおいが気になる方、羽毛アレルギーの方に安心して着れる素材。
小さなお子様がいるご家庭にもおすすめできる素材なんです。
ダウンとプリマロフトの比較
「ダウンの8倍暖かい」というプリマロフトのうたい文句を見かけます。
しかし、この根拠となるデータはないそうで、どちらかというと保温性が高いのは空気を多く含むダウンの方です。
プリマロフトがダウンより優れているのは「水に濡れても保温性を維持できる」というところです。
8倍という数字に惑わされずに、自分に適した素材を選ぶのが大事だと思うので、
それぞれのメリットデメリットをまとめてみました。
ダウンのメリット・デメリット
まずは、ダウンのメリットとデメリットから書いていきます。
読み間違いにご注意ください。
ダウンのメリットその1:保温性が高い
空気をたくさんキープし、その空気が断熱材のような働きをすることで、熱がからだから逃げるのを防いでくれるダウン。
空気のような気体は熱伝導率がとても低いといわれています。
ダウンのメリットその2:軽量で収納性に優れている
ダウンは復元率が高いので、手で押したり、軽くたたんでも元に戻ります。そのおかげで、小さくたたんで収納することができます。
空気を抜けばスーツケースにも入るので持ち運ぶこともできますし、オフシーズンには厚手のコートなど、他の素材のものに比べて少ないスペースで収納できます。
ダウンのデメリット:水濡れに弱い
ダウンは水に濡れると重くなり空気をキープできなくなります。
断熱材の役割をする空気が少なくなるということは、保温性が失われるということです。
プリマロフトのメリット・デメリット
お待たせました。
今回の本題、プリマロフトのメリットとデメリットを書いていきます。
プリマロフトのメリット1:水濡れに強い
プリマロフトは化繊素材であり、ダウンと反対で撥水性に優れています。
濡れてもかさが変わらないため、保温性が失われにくい点が特長です。
また、汚れても水洗いでき扱いやすいです。屋外の冷気や湿気にも強いので、アウトドアの防寒着にうってつけの素材です。
プリマロフトのメリット2:安い
ダウンは主に水鳥の羽が使われています。貴重な素材ですし、動物愛護的な面でも色々いわれてますね。
ダウンはプリマロフトと比べると高値のものが多い傾向にあります。
高機能なジャケットを比較的安く買いたいのであれば、プリマロフトのような化繊素材の製品を選ぶにがいいと思います。
プリマロフトのデメリット:軽さと暖かさはダウンに劣る
機能性の高いプリマロフトですが、「軽さ」「暖かさ」の2点においてはダウンの方に軍配が上がります。
キープできる空気量はダウンの方が多いため、同程度の保温性を実現しようとした場合、プリマロフトの方がどうしても重くなってしまうのです
最後に
片方が良くて片方が悪い、どちらが上でどちらが下というものではありませんが、
ぼくは水濡れに強いということで、プリマロフトの方が好きです。
あと、ダウンを模して開発されているという時点で、
プリマロフトの暖かさは申し分ないと思っていただけるはずです。
中綿素材のThinsulate(シンサレート)について書いた記事もあるのでよかったら読んでみてください。
ポリエステルのリサイクルについての記事もあります。
防寒テクニックについて書いた記事もあるのでよかったら読んでみてください。
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