こんにちは。
服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。
コットンを使用した製品をみていると
「上質なコットンを使用しています」
「高級コットン100%」
などよく見かけます。
質の良いコットンをつかっているから肌触りが良い、というのはなんとなく分かりますが、それって具体的にどういうことなのか知っている人は少ないと思うので、解説します。
質の良いコットンとは
コットンの品質は、紡績前のわた状態で見分けられています。
コットンのわたの繊維は、太さが0.01mmほどで、長さは20~40mmほど。
繊維の長さにかなり差がありますね。
この繊維の長さでコットンの品質が決まります。
質の良いコットンというのは繊維の長いコットンを使用しているんです。
コットンにもランクがある
例えば牛肉はA-5ランク、A-3ランクなど美味しさの指標になる格付けがあり、
それらは肉の色味や脂肪の質などで判断されます。
同じようにコットンにも格付けがあるんです。
そしてコットンの場合は繊維の長さで4種類に分けられます。
低級の短繊維綿
一番ランクの低い綿は繊維の長さが21mm以下のものです。
短繊維綿のひとつに、インド・パキスタンなど南アジア在来の「デシ綿」があります。
太くて繊維の短いデシ綿は、糸の原料としては扱いづらいものの、
弾力性に富んでいて、おもに布団の中綿や脱脂綿などとして活用されてきました。
中級の中繊維綿
中級クラスの綿の繊維長さは21mm〜28mmです。
現在、綿花栽培の中心となっている種類が、この中繊維綿。
Tシャツ、ジーンズ、タオルやシーツなど生活のなかにあるコットン製品の大半に、中繊維綿が使われています。
中繊維綿のなかでも特に生産量が多いのが、メキシコ原産の「アップランド綿」。
アメリカなど主要産国で盛んに栽培されている種類です。
高級な長繊維綿
繊維の長さが28mm以上のものです。
コットンのグレードは、繊維の長さに比例して高くなります。
だから長繊維綿のコットンは高級品。
繊維の長さ・柔らかさを生かして細い糸が作られ、上質なテキスタイル製品などに用いられています。
超高級な超長繊維綿
繊維の長さが35mmをこえる種類は「超長綿」と呼ばれています。
ちょうちょうめんと読みます。
超長綿はシルクを思わせる光沢感があるのが特徴です。
繊維が長いほど細くなり、手触りも良く、糸にすると反射率が高くなるため光沢が出ます。
まさにコットンを超える、美しいコットンです。
この超長綿の中で、世界三大綿と呼ばれるコットンがあり、最高級コットンとして高い品質を誇ります。
世界三大コットンとは
超長綿は最高級のコットンです。
そんな超長綿はとても贅沢なコットンで、コットン業界でもしっかりブランディングされています。
中でもスーピマコットン、ギザコットン、新きょう綿は、世界三大コットンと呼ばれています。
それぞれ地名や、その土地にゆかりのある名称になっています。
少しでも覚えやすくなれば、と思って地図に色をつけました。
赤い場所がスーピマコットン、
青い場所がギザコットン、
黄色い場所が新きょう綿の生産地です。
(小さいですが緑色の場所は後ほど説明します)
さらにもう少し覚えやすくなればと思い、コットンをそれぞれ擬人化してみました。
スーピマコットン
スーピマコットンはアメリカの南西部のアリゾナ、テキサス、ニューメキシコ、エルパソで栽培される超長綿です。
絹のような光沢感、ソフトでしなやかな風合いの高級綿。
ちなみに「ピマ綿」の名前は、アリゾナのアメリカインディアンのピマ族によって栽培されていたことに由来します。
ギザコットン
エジプト ギザ地方の綿
エジプトで栽培されるコットンはエジプト綿と呼ばれます。
なかでも「GIZA(ギザ)」はエジプト綿のブランド名で、ナイル川流域のギザ地方が名前の由来になっています。
種が開発された順番に番号がつけられ、特にGIZAの中でもGIZA45は最高の出来と言われ、なかなかお目にかかれない高級綿です。
新きょう綿(新疆綿)
中国 新疆ウイグル自治区の綿
新彊綿(しんきょうめん)は中国の新疆ウイグル地方で栽培される高級綿です。
綿作りにふさわしい大陸気候を利用し栽培され、しなやかな風合いを持ちます。
他の綿花に比べて繊維が長く、天然の油脂分が多いためシルクのようなつややかな光沢をもつのが特徴。
高級下着にも使用されているほどのなめらかな肌触りです。
「グローバル企業83社が、新疆綿の栽培で強制労働させている」と近年話題になった綿でもあります。
超長綿の秘密
ギザ•スーピマ•新疆と、三大ブランドをさらっとお伝えしましたが、
実はもとをたどればどれも同じ種類なんです。
これはアパレル業界でも知らない人がほとんどなんですが、栽培の地域の環境や栽培方法で特徴が異なるだけで、あるひとつの種類の綿をもとに改良されているんです。
その超長綿の親となったコットンの名前は、海島綿(かいとうめん)といい、シーアイランドコットンとして知られています。
英国王室御用達の超高級綿です。
コットンの王様シーアイランドコットン
カリブ海周辺の島々
(セントビンセント、トリニダード ドバゴ、アンティグア、バルバドス、セントルシア、バハマ諸島、ジャマイカ島、バージン諸島など)
シーアイランドコットンはカリブ海周辺の島々で栽培されています。
JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)というブランドの商品などで、シーアイランドコットンの名前は聞いたことある人は多いと思いますが、産地を知っている人はかなり少ないと思います。
気候の条件も厳しく害虫にも弱いため、高度な知識と栽培の経験が必要。大農園での栽培が難しく、小規模な農園が栽培の中心となっています。
シーアイランドコットンの特徴は、圧倒的に長く細い繊維、シルクを思わせる光沢感、カシミヤのような肌触り。
超長綿と同じような特徴ですが、それらはシーアイランドコットンをもとに品種改良されたものですからね。
やっぱり元ネタには惹かれるというか、憧れる何かを感じさせられます。
ちなみにシーアイランドコットンはサステナブルへの取り組みも行っています。
最後に
絵の印象が強くて内容が入ってきにくいかもしれないので、最後におさらいします。
コットンの品質は繊維の長さで決まります。
その中でもギザ、ピマ、新きょうの世界三大コットンは、世界最高級のシーアイランドコットンを各地で品種改良したものです。
冒頭でもふれた、上質なコットンを使用しているという製品は、おそらく長繊維綿を使用しているものだと思います。
この記事で、生地の分類についてまとめているので読んでみてください。
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