服地パイセン

長く使ってわかったことには、価値がある。

アパレルの生地や糸、繊維の種類や分類を知ると洋服選びが変わる

服地の分類について繊維と糸と布

服を買っていると、

  • コットン100%
  • オックスフォード
  • 天竺
  • ピグメント加工

など、専門用語を必ず見かけます。

「なんとなく聞いたことはあるしニュアンスはわかるけれど、違いはよく分からない」
という人も多いのではないでしょうか。

実は、これらはすべて
「繊維 → 糸 → 生地」
という流れでつながっていてこの関係だけ理解できれば、洋服選びはぐっと楽になります。

この記事では、15年以上アパレル業界に携わってきた経験をもとに、生地や繊維に関する専門用語をできるだけわかりやすく体系的に整理して解説します。

 

 

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服地パイセン アパレル業界15年以上の専門家。 「洋服のわかりづらいことをわかりやすく解説!」をモットーに、アパレル専門家ならではの視点で役立つ情報を発信します。しっかり使用した感想やアイデアなどを、あなたが製品を手にした時のことをイメージできるような内容で熱量高くまとめます。(詳しいプロフィールはこちら)。

 

この記事を読むと分かること

この記事では、洋服に使われる「繊維・糸・生地」の違いを、アパレル業界で15年以上働いてきた経験をもとに、できるだけわかりやすく解説します。
この記事を読むことで、次のようなことが分かります。

  • 繊維・糸・生地の違いと、それぞれの役割
  • 洋服の商品説明に書かれている専門用語の意味
  • 素材や生地の特徴を理解し、自分に合った服を選ぶコツ
  • レビュー記事や商品紹介を、より深く楽しむための基礎知識

難しい専門知識を覚える必要はありません。
「繊維 → 糸 → 生地」という流れを理解するだけで、洋服を見る目が少し変わるはずです。

 

服地を分類するということ

服は、人の印象を大きく左右します。

例えばチノパンでも、ごわごわとした生地のミリタリーチノはラフな印象に見えます。一方、ドレスチノと呼ばれるようなきれいめのチノパンは、上品でかっちりとした印象を与えます。このように、同じアイテムでも生地が変わるだけで見た目や雰囲気は大きく変わります

 

実は、洋服は次のような流れで作られています。

繊維が洋服になるまでの過程

つまり、洋服は生地から、生地は糸から、糸は繊維から作られているということです。

この流れを知っておくと、洋服の商品説明に書かれている専門用語の意味がぐっと理解しやすくなります。

例えば、

  • 「スーピマコットンタイプライター」
  • 「14オンスデニム」
  • 「オックスフォード」

といった名前を見かけたことはあると思います。

これらは、繊維・糸・生地の特徴や種類を表す言葉です。

一見すると難しそうに感じますが、どの言葉が「繊維」「糸」「生地」を指しているのかが分かるだけで、その洋服の特徴をイメージしやすくなります。

ネットショッピングでも、「思っていた生地と違った」という失敗を減らし、自分に合った一着を選びやすくなるでしょう。

 

繊維による分類

服に使われる繊維

服地にはさまざまな分類方法があります。
例えば、

  • 生地が厚いか薄いか
  • 糸が細いか太いか

など、さまざまな視点で分類できます。
まずは、そのもととなる「繊維」から見ていきましょう。

 

繊維は、大きく天然繊維と化学繊維の2種類に分けられます。

天然繊維は、綿・麻・絹・羊毛のように、自然界に存在する素材から作られる繊維です。一方、化学繊維は、レーヨンやナイロン、ポリエステルなど、人の手によって作られる繊維を指します。なお、「化学繊維」と「合成繊維」は混同されがちですが、厳密には意味が異なります。

 

違いについては、以前まとめた記事で詳しく解説していますので、興味のある方はこちらもご覧ください。

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繊維の等級

天然繊維は、一般的に繊維が長く、細く、白く均一なものほど品質が高いとされています。


品質の高い繊維は、ほかの繊維と混ぜずに単独で使われることも多く、産地や品種の名前がそのまま商品名に使われるケースも少なくありません。
例えば、

  • シーアイランドコットン
  • エジプト綿

などが代表的です。
このような名前を見かけたら、「品質にこだわった天然繊維を使っているんだな」とイメージすると分かりやすいでしょう。

 

コットンの品質や世界三大コットンについては、別の記事で詳しく解説しています。興味のある方は、ぜひあわせてご覧ください。

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ポリエステル繊維の場合は、ものすごく細い繊維をマイクロファイバーとよび、一般的なものと区別されます。

 

化学繊維の作り方とは?

繊維の話は、聞き慣れない専門用語が多く、少しわかりづらく感じるかもしれません。

昔は天然繊維が中心だったため比較的シンプルでしたが、化学繊維が登場したことで、素材の種類は一気に増えました。(もちろん、そのおかげで機能性や耐久性に優れた服が作れるようになったのですが。)

 

そんな化学繊維ですが、実は作り方が意外と面白いんです。

化学繊維は、石油から取り出した原料を高温で溶かし、とても細い穴から押し出して冷やすことで繊維になります。

最先端の素材なのに、作り方は「ところてん」のように細い穴から押し出して作られていると知ると、少し意外に感じませんか?

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糸による分類

布を織る糸

糸にもいろいろな種類があり、分類の仕方があります。

 

  • 使用する繊維の種類(繊維組成)
  • 長さによる分類、
  • 糸の構造による分類、
  • 糸の表面の姿による分類、
  • 染色加工による分類

などで分けられます。

 

糸の繊維組成

綿100%のように1種類の繊維だけで作られる糸もあれば、ポリエステルと綿、ウールとレーヨンとアクリル、といったように異種の繊維を混紡しているものもあります。

 

それは、

  • 丈夫さを得る
  • 高級感を出す
  • 原価を低くする

といった、機能を付与したりデメリットをカバーするといった理由があります。機能を付与された生地、機能素材について書いた記事もあるのでよかったら読んでみてください。

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糸の繊維の長さ

繊維はその長さによって2種類に分けられます。

長いものは長繊維、もしくはフィラメントと呼ばれ、長繊維の糸をフィラメント糸といいます。

短いものは短繊維、あるいはステープルファイバーとよんでいます。短繊維の糸をスパン糸、あるいは紡績糸といいます。

 

ちなみに化学繊維と綿や羊毛などを混紡する場合は、混ぜる繊維の長さを同じくらいの寸法に切断して紡ぎます。化学繊維はフィラメントとしてつくられるので、ステープルにするには短く切断しているんです。

 

長繊維と短繊維についてまとめた記事もあるので読んでみてください。

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糸の撚りあわせ本数

紡績してつくった糸のことを紡績糸やスパン糸とよびます。

紡ぎ出された状態の1本の糸を単糸といいます。
単糸を2本撚り合わせると双糸となります。

 

同じ太さでも、単糸と双糸では双糸の方が数倍の強度があると言われています。
双糸の方が糸も2倍いるので、高価です。

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糸の撚りの強さ

糸は撚り合わせて作られています。
無撚糸とか強撚糸なんて言葉も説明で目にします。これは簡単にいうと、糸の撚りの強さのこと。

撚りの強さは次のように分けられます。

撚りの強さ

無撚り(無撚糸)
甘撚り(弱撚糸)
並撚り(普通撚糸)
強撚り(強撚糸)

無撚糸の場合は柔らかな織物が。

弱撚糸の場合は、優しい肌触りでふっくらとした汗の吸収が良い織物が。

強撚糸の場合は、締まったさらりとした肌ざわりの織物になります。

無撚糸で織ったものを無撚糸織物だとか、強撚糸のものは強撚糸織物と呼ばれます。

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糸の拠りの方向

撚りの方向には、S撚りとZ撚りがあります。

日本では一般的に紡績糸の単糸の拠り方向はZ撚り、双糸の拠り方向はS撚りだそうです。

織物は経糸と緯糸からなります。経糸がZ拠りなら緯糸もZ拠りにするのが一般的です。

 

ちなみにデニムは経年とともにねじれが発生しますが、それは綾織で織られていることと糸が撚って作られているからだと言われています。

撚りの方向や織り方の一つ一つは微々たるものですが、積もり積もって形に影響するんですね。

 

糸の太さ

糸の太さは番手・デニールなどの単位で表されます。

 

番手は綿糸、麻糸、羊毛などの紡績糸に使われます。

デニールは絹糸、ポリエステル、ナイロンなどの化学繊維のフィラメント糸に使われます。

 

番手は一定の重さに対してどれだけ長いかで太さを現しています。ようするに、長いほど細いということになるので、10番手、20番手、40番手…120番手と数値が大きくなるほど細くなります。

 

スーツなどで使われる生地の『スーパー120』などの数字の部分はこの番手のことで、数字が大きくなるほど細い糸を使っていることになります。

 

デニールは一定の長さに対してどれだけの重さがあるかで太さを現します。つまり、重いほど太くなります。2d、40d、50d…、150dと数値が大きくなるほど太くなります。

 

太い糸を使えば厚地の織物になります。逆に細い糸を使えば薄地の織物がつくれ、繊細な紋を織りあらわすことができます。

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糸の整い方

紡績糸(スパン糸)は、短い繊維を紡いでつくられます。これを紡績と呼びます。

紡績では、短いと繊維を一本一本に分けて並べて束にします。その束をムラのない太さにしてから撚りをかけて、一本の糸にしています。

 

綿や羊毛、麻などの天然繊維の場合は、短すぎる繊維や絡み合っている繊維などを取り除く工程を丁寧に行うことで、繊維がスッキリときれいに揃って並んだ、毛羽が少ない単糸になります。

 

繊維と繊維の密着度合いが高いので、硬く締まっていて滑らかで光沢のある丈夫な糸です。このような糸は、綿糸ではコーマ糸、羊毛糸では梳毛糸と呼ばれます。

 

短い繊維が混じっていたり、はじめから短めの繊維を用いて紡いだ糸もある。そのような糸は毛羽が多く、ふっくらとしていて、太い。そして丈夫ではない。
このような糸は綿糸ではカード糸、羊毛糸では紡毛糸と呼ばれます。

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糸に施した加工

綿糸に絹のようなツヤを生ませる加工がシルケット加工です。この加工を施した綿糸をシルケット糸とよんでいます。

 

ポリエステルやナイロンなどのフィラメント糸は、つるつるののっぺらぼうです。この糸に嵩高性と伸縮性を与えて、フィラメント糸でありながら紡績糸のような感じをもたせるように加工した糸を加工糸と呼んでいます。

 

ポリエステル織物の服地はこの加工糸を用いることで自然な風合いを表現できるようになり、広く受け入れられるようになったといわれています。

 

布の表情による分類

服を作る布

布面の見た目や触れた感じをテクスチャーといいます。
いくつか例を挙げてみます。

布の詰まり具合

生地を触ると、「硬い」「柔らかい」といった風合いの違いを感じます。
その違いは繊維の種類だけでなく、生地の密度も大きく関係しています。

生地の密度とは、簡単にいうと糸と糸の間にどれくらい隙間があるかということです。糸が密に織られたものは高密度織物と呼ばれ、生地にハリやコシが生まれ、しっかりとした風合いになります。

反対に、糸と糸の間にゆとりがある低密度の織物は、「目透き(めすき)」や「エアリー」と呼ばれることがあります。やわらかく軽やかな風合いが特徴で、透け感のある生地に使われることも少なくありません。

 

布地の伸縮

伸縮性のある生地は、一般的にストレッチ素材と呼ばれています。
生地に伸縮性があることで、体の動きにフィットしやすくなり、着心地や動きやすさが向上します。

ストレッチ性は、ポリウレタンを混用することで生まれるものが一般的です。

一方で、ポリウレタンを使わなくても、生地の織り方や編み方、繊維の形状を工夫することで伸縮性を持たせた素材もあります。

商品説明に「ストレッチ」と書かれていても、その伸びる仕組みはさまざまです。

 

布地の毛羽

生地の表面をあえて毛羽立たせたものは、起毛織物と呼ばれます。

起毛加工を施すことで、やわらかな肌触りになり、保温性が高まるのが特徴です。
秋冬によく見かけるフランネルやネルシャツなども、起毛加工が施された代表的な生地です。

 

起毛加工の種類や特徴については、別の記事で詳しく解説しています。興味のある方は、ぜひあわせてご覧ください。

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その他にも服地の分類方法はある

ここまで、繊維や糸、布で分類してきましたが、その他にも分類の仕方はあります。

3つ書きますが、まだまだあると思います。

 

織組織による分類

織物は、経糸と緯糸とを交差させてつくられた布です。

糸の交差のさせ方は大きく3種類あり、これらを三原組織もしくは原組織と呼んでいます。

三原組織

①平織り
②綾織り
③朱子(しゅす)織り

 

三原組織について書いた記事があるので詳しくはそちらを読んでみてください。

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精錬、漂白、色柄による分類

織り上げられた織物を服地にする場合、
精錬・漂白されるのが一般的です。

 

織りあげられただけの織物を、生機(きばた)と呼んでいます。生機にはつくられた工程で付いた汚れや、色素が含まれています。

 

このような不純物を取り除いて白色にしたり、染色効果が高まるようにしておく工程を、精錬・漂白といい、そのまま服地とするものを晒織物(さらしおりもの)と呼んでいます。

 

精錬・漂白は、天然繊維のほとんどに施されていますが、近年のナチュラルトレンドもあり、生機のまま服地に用いられることもあります。

この色、あるいは生機を生成(きなり)と呼んでいます。

 

生成り色はもともとの素材色のようですが素材色ではなく、白に漂白した後に生成り色に着色したものです。生成りを模して染料であらわした色なんです。これが意外と多いです。

 

生成り色=ナチュラルなのではなくて、ナチュラルに見えるように作られた色ということですね。

 

織物の産地による分類

丹後、米沢、桐生、西陣、浜松、西脇(播州)新潟、岡山、三河、近江、などの産地名を品種名と繋げて呼んでいます。

 

例えば、丹後ちりめん、有松絞り、阿波しじら、などです。


同品種の産地であっても、それぞれに特徴があったり、品種の差があったりするから、産地名は大事にされてきました。

 

 最後に

繊維や糸、生地の分類について書いてみました。

 

洋服は人の印象を左右するものですが、どうしてもデザインやブランドに目が行きがち。洋服を因数分解するようにひとつひとつ掘り下げていくと、いつもとはまた違った見方ができて面白いものです。

 

 

このブログでは、
『生地、素材、縫製』

というカテゴリーがあります。

これまで生地や縫製について書いた記事はここにカテゴリー分けされています。

 

 

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