服地パイセン

生地にうるさい服屋で学んだことを活かし、洋服のわかりづらいことをわかりやすく解説します。

アパレルの生地や糸、繊維の種類や分類を知ると洋服選びが変わる

服地の分類について繊維と糸と布

こんにちは。
服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。

 

これまで生地や繊維に関する内容をいくつか書いてきました。

 

それらは服というものを木で例えたとすると、枝葉の部分の説明です。

「もっと根幹の部分をわかりやすく説明したい」と思ってました。

 

簡単に理解できるものではないのですが、それだけに奥が深くて面白い。

 

何でもそうですけど、知識は螺旋状になっていて何かを理解するためにはその周辺のことも知っていかないと本当に理解はできないもんです。

 

一つの記事で全てを説明するのは難しいと思うのですが、
「全体像がある程度わかる、ショッピングセンターのフロア案内みたいな感じで、どこがどうなってるのかを伝えるものを作りたいな」
とずっと思っていました。

 

ということで、服地の分類についてまとめてみます。

専門用語がたくさん出てくるので、難しく感じるかもしれませんが、出来るだけわかりやすく伝えれるようがんばります。

 

もしわからなければ、無理に理解しようとせずにスクロールして読み飛ばしてください。

そしてまたいつか読んでいただけると嬉しいです。

 

 

 

 

服地を分類するということ

服は人の印象を左右します。

 

例えばチノパン。

ごわごわした生地のミリタリーチノなんかはラフな印象に見えます。

一方、いわゆるドレスチノと呼ばれるようなチノパンはかっちりした印象を与えます。

同じカテゴリーのアイテムでも生地の表情などで与える印象はかなり違ってきます。

 

服は生地を立体的にして組み立てたもの。
生地はたくさんの糸の集合体で、
糸は繊維を紡いだり一定の太さにしたものです。

 

人の印象に関わる服というものは、一本の糸、ないしは繊維をたくさん集めることでできています。

 


服を買おうとオンラインストアの商品説明を読んでみると、生地のことがよく書かれてあります。

「肌触りのいいスーピマコットンタイプライター…」とか、
「14オンスのデニム生地を採用…」とか。

これは、素材や糸×生地の名前です。

 

商品の名前になっているものもよくあります。
例えば
「スーピマコットンVネックTシャツ」
「ストレッチウールスリムジャケット」
など。

 

これらは、生地や素材×アイテムの組み合わせを名称にしています。

 

服の生地の種類は実に多様ですが、
たいていは生地か糸か繊維を説明する言葉、もしくは生地の総称です。

 

繊維•糸•生地の特長を知っていると、手元に物がなくても名前を聞いただけである程度生地の印象がわかります。

ネットショッピングで、
「手元に届いたら思っていたのとなんか違った」
というのを減らせるかもしれません。

 

繊維による分類

服に使われる繊維

服地の分類の仕方にはたくさんの切り口があります。

 

布が分厚いのか、薄いのか。
使われる糸が細いか、太いか。
などなど。

 

まずは、その糸のもとになる繊維の説明からしていきます。

 

繊維は、大きく天然繊維と化学繊維に分けられます。

 

天然繊維は、綿、麻、絹、羊毛のように天然に繊維としてあるもの利用しています。

 

対して化学繊維は、レーヨンやナイロンなど人工的に作られた繊維です。

化学繊維や合成繊維などがあります。

化学繊維と合成繊維の違いについて以前に書いたのでそちらを読んでみてください。

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繊維の等級

天然繊維の場合は繊維が長くて細く、白いものほど高級とされます。

等級が高い繊維は、混紡せずに単独で使用されることが多くて、その繊維の産出地や品種などが名称にされることが多いです。

 

例えば、シーアイランドコットン、エジプト綿などです。

 

コットンの品質や世界三大コットンについて書いた記事もあるので、よかったら読んでみてください。

(ブログ始めたてで、オリジナリティ出そうと思ってイラスト書いたりしてました。今となっては小っ恥ずかしいですね)

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ポリエステル繊維の場合は、ものすごく細い繊維をマイクロファイバーとよび、一般的なものと区別されます。

 

化学繊維の作り方とは?

繊維の話は耳なじみのない用語が多くて、はっきり言ってわかりづらいです。

 

昔は天然繊維だけだったので、まだ理解しやすかったと思いますが、化学繊維の登場で一気に理解が難しくなってると思います。

化学繊維のおかげで便利になったのは間違いないのですが。

 

そんな化学繊維の作り方っていうのがけっこう面白いんです。

どのように作られるかというと、石油から取り出した成分を熱で溶かして、細〜い穴から押し出して冷やして繊維にしています。細い穴から押し出して作ってるってゆうのが、なんだかアナログで意外というかおもしろいです。

糸による分類

布を織る糸

糸にもいろいろな種類があり、分類の仕方があります。

 

•使用する繊維の種類(繊維組成)
•長さによる分類、
•糸の構造による分類、
•糸の表面の姿による分類、
•染色加工による分類

などで分けられます。

 

 

糸の繊維組成

綿100%のように1種類の繊維だけで作られる糸もあれば、ポリエステルと綿、ウールとレーヨンとアクリル、といったように異種の繊維を混紡しているものもあります。

 

それは、
•丈夫さを得る
•高級感を出す
•原価を低くする
といった、機能を付与したりデメリットをカバーするといった理由があります。

 

機能を付与された生地、機能素材について書いた記事もあるのでよかったら読んでみてください。

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糸の繊維の長さ

繊維はその長さによって2種類に分けられます。

 

長いものは長繊維、もしくはフィラメントと呼ばれ、長繊維の糸をフィラメント糸といいます。

 

短いものは短繊維、あるいはステーブルファイバーとよんでいます。

短繊維の糸をスパン糸、あるいは紡績糸といいます。

 

ちなみに化学繊維と綿や羊毛などを混紡する場合は、混ぜる繊維の長さを同じくらいの寸法に切断して紡ぎます。化学繊維はフィラメントとしてつくられるので、ステーブルにするには短く切断しているんです。

 

糸の撚りあわせ本数

紡績してつくった糸のことを紡績糸やスパン糸とよびます。

 

紡ぎ出された状態の1本の糸を単糸といいます。
単糸を2本撚り合わせると双糸となります。

 

同じ太さでも、単糸と双糸では双糸の方が数倍の強度があると言われています。

双糸の方が糸も2倍いるので、高価です。

 

 

糸の撚りの強さ

糸は撚り合わせて作られています。

無撚糸とか強撚糸なんて言葉も説明で目にします。これは簡単にいうと、糸の撚りの強さのこと。

 

撚りの強さは次のように分けられます。

撚りの強さ

無撚り(無撚糸)
甘撚り(弱撚糸)
並撚り(普通撚糸)
強撚り(強撚糸)

無撚糸の場合は柔らかな織物が。

 

弱撚糸の場合は、優しい肌触りでふっくらとした汗の吸収が良い織物が。

 

強撚糸の場合は、締まったさらりとした肌ざわりの織物になります。

 

無撚糸で織ったものを無撚糸織物だとか、強撚糸のものは強撚糸織物と呼ばれます。

 

 

糸の拠りの方向

撚りの方向には、S撚りとZ撚りがあります。

 

日本では一般的に紡績糸の単糸の拠り方向はZ撚り、双糸の拠り方向はS撚りだそうです。

 

織物は経糸緯糸からなります。経糸がZ拠りなら緯糸もZ拠りにするのが一般的です。

 

ちなみにデニムは経年とともにねじれが発生しますが、それは綾織で織られていることと糸が撚って作られているからだと言われています。

撚りの方向や織り方の一つ一つは微々たるものですが、積もり積もって形に影響するんですね。

 

糸の太さ

糸の太さは番手・デニールなどの単位で表されます。

 

番手は綿糸、麻糸、羊毛などの紡績糸に使われます。

デニールは絹糸、ポリエステル、ナイロンなどの化学繊維のフィラメント糸に使われます。

 

 

番手は一定の重さに対してどれだけ長いかで太さを現しています。

ようするに、長いほど細いということになるので、10番手、20番手、40番手…120番手と数値が大きくなるほど細くなります。

 

スーツなどで使われる生地の『スーパー120』などの数字の部分はこの番手のことで、数字が大きくなるほど細い糸を使っていることになります。

 

デニールは一定の長さに対してどれだけの重さがあるかで太さを現します。つまり、重いほど太くなります。

2d、40d、50d…、150dと数値が大きくなるほど太くなります。

 

太い糸を使えば厚地の織物になります。
逆に細い糸を使えば薄地の織物がつくれ、繊細な紋を織りあらわすことができます。

 

 

糸の整い方

紡績糸(スパン糸)は、短い繊維を紡いでつくられます。これを紡績と呼びます。

 

紡績では、短いと繊維を一本一本に分けて並べて束にします。

その束をムラのない太さにしてから撚りをかけて、一本の糸にしています。

 

綿や羊毛、麻などの天然繊維の場合は、短すぎる繊維や絡み合っている繊維などを取り除く工程を丁寧に行うことで、繊維がスッキリときれいに揃って並んだ、毛羽が少ない単糸になります。

 

繊維と繊維の密着度合いが高いので、硬く締まっていて滑らかで光沢のある丈夫な糸です。

このような糸は、綿糸ではコーマ糸、羊毛糸では梳毛糸と呼ばれます。

 

短い繊維が混じっていたり、はじめから短めの繊維を用いて紡いだ糸もある。そのような糸は毛羽が多く、ふっくらとしていて、太い。そして丈夫ではない。

このような糸は綿糸ではカード糸、羊毛糸では紡毛糸と呼ばれます。

 

 

糸に施した加工

綿糸に絹のようなツヤを生ませる加工がシルケット加工です。この加工を施した綿糸をシルケット糸とよんでいます。

 

ポリエステルやナイロンなどのフィラメント糸は、つるつるののっぺらぼうです。この糸に嵩高性と伸縮性を与えて、フィラメント糸でありながら紡績糸のような感じをもたせるように加工した糸を加工糸と呼んでいます。

 

ポリエステル織物の服地はこの加工糸を用いることで自然な風合いを表現できるようになり、広く受け入れられるようになったといわれています。

 

布の表情による分類

服を作る布

布面の見た目や触れた感じをテクスチャーといいます。

いくつか例を挙げてみます。

 

 

布の詰まり具合

生地を触ると、硬い、柔らかいなどさまざまな風合いを感じます。

それには繊維の種類だけでなく、生地の密度も関係しています。

生地の密度を簡単に言うと、糸と糸の間にどれくらいの空間があるかということ。

 

詰まっているものを高密度織物と呼んでいます。

高密度なものほど、生地にハリが出ます。生地も固くなります。

 

 

それとは反対に、糸と糸の間が広くあいていて低密度な織物は目透きエアリーと呼ばれます。柔らかく、透け感がでます。

 

 

布地の伸縮

伸び縮みするものを、ストレッチ織物と呼んでいます。

伸縮性があることで、着心地がよくなり動きやすくなります。

 

ポリウレタンを混紡すると伸縮性がでるんですが、生地の織り方や繊維の形状でストレッチ性をもたらすものもあります。

 

 

布地の毛羽

起毛加工を施して毛羽立てたもの、あるいはそれと似た感じのものを起毛織物と呼んでいます。

 

起毛加工について書いた記事もあるので、読んでみてください。

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その他にも服地の分類方法はある

ここまで、繊維や糸、布で分類してきましたが、その他にも分類の仕方はあります。

 

3つ書きますが、まだまだあると思います。

 

織組織による分類

織物は、経糸緯糸とを交差させてつくられた布です。

 

糸の交差のさせ方は大きく3種類あり、
これらを三原組織もしくは原組織と呼んでいます。

三原組織

①平織り
②綾織り
朱子(しゅす)織り

 

三原組織について書いた記事があるので詳しくはそちらを読んでみてください。

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精錬、漂白、色柄による分類

織り上げられた織物を服地にする場合、
精錬・漂白されるのが一般的です。

 

織りあげられただけの織物を、生機(きばた)と呼んでいます。生機にはつくられた工程で付いた汚れや、色素が含まれています。

 

このような不純物を取り除いて白色にしたり、染色効果が高まるようにしておく工程を、精錬・漂白といい、そのまま服地とするものを晒織物(さらしおりもの)と呼んでいます。

 

精錬・漂白は、天然繊維のほとんどに施されていますが、近年のナチュラルトレンドもあり、生機のまま服地に用いられることもあります。

この色、あるいは生機を生成(きなり)と呼んでいます。

 

生成り色はもともとの素材色のようですが素材色ではなく、白に漂白した後に生成り色に着色したものです。生成りを模して染料であらわした色なんです。これが意外と多いです。

 

生成り色=ナチュラルなのではなくて、ナチュラルに見えるように作られた色ということですね。

 

織物の産地による分類

丹後、米沢、桐生、西陣、浜松、西脇(播州)新潟、岡山、三河、近江、などの産地名を品種名と繋げて呼んでいます。

 

例えば、丹後ちりめん、有松絞り、阿波しじら、などです。


同品種の産地であっても、それぞれに特徴があったり、品種の差があったりするから、産地名は大事にされてきました。

 

 

 最後に

繊維や糸、生地の分類について書いてみました。

 

洋服は人の印象を左右するものですが、どうしてもデザインやブランドに目が行きがち。

洋服を因数分解するようにひとつひとつ掘り下げていくと、いつもとはまた違った見方ができて面白いものです。

 

 

このブログでは、
『生地、素材、縫製』

というカテゴリーがあります。

これまで生地や縫製について書いた記事はここにカテゴリー分けされています。

このカテゴリーは自分らしいコンテンツだと思っているので、今後もここをもっと増やしていきたいと思っています。

 

 

ちなみに今回の記事は「服地がわかる事典」という書籍をかなり参考にさせてきただきました。

 

 

 

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