こんにちは。 服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。
デニムは年間を通じて活躍してくれる普段着に欠かせないアイテム。
もともとはアメリカで開拓者達が労働着として着ていたのがルーツになります。もう少し詳しく言えば、1850年頃に西部カリフォルニア州でのゴールドの発見をきっかけに、西部に一攫千金を夢みる人々が集まりました。鉱山で働く鉱夫達のための丈夫な作業着のニーズに合わせて開発され、一気に広がりました。
ゴールドラッシュとか西部開拓時代とか、デニムにはそういうアメリカらしいイメージが強いですよね。
そんなデニムジーンズがファッションとして取り入れられる過程で、たくさんの種類の加工が誕生しました。
そんなデニムの加工についてまとめてみます。
デニムの加工の歴史
ウォッシュ加工はEDWINが開発したと言われています。
「ファッションとして新品でも穿きやすいジーンズを定着させたい」というコンセプトをかかげ、1963年に初めてウォッシュ加工の開発に成功したとされています。
そしてそれから様々なウォッシュ加工が開発され続けて今日に至ります。
なぜウォッシュ加工が必要なのか
縫い上げられたばかりのデニムは何も加工が施されておらず、生地の表面に糊が付いていてとても固いです。
その固い生地をあらかじめ履きやすくしておくのに、ウォッシュ加工が必要なんです。
デニムの加工の種類
デニムによく施されている「洗い加工」について、代表的なものを紹介したいと思います。
ワンウォッシュ
最も簡単な洗い加工で、いわゆる水洗いのこと。
デニムははじめに洗わないと硬いままなんです。
硬さをとることのほかに、水洗いをしてタンブラーをかける事で洗濯しても縮みにくい状態に仕上げるという目的もあります。
糊が落ちただけで、色味は濃いインディゴブルーの状態なので、濃色のデニムをはきたい時にはこのワンウォッシュデニムがおすすめです。
バイオウォッシュ
バイオウォッシュは名前の通り酵素を使用した洗い加工です。
酵素には繊維を痩せさせる効果があり、洗う時は強く回転させて洗うので、かなりの色落ち感がでます。
柔らかな風合い、しなやかな肌触りになる効果もあります。
酵素は綿用、麻用など豊富な種類があります。化学繊維には基本的につかわないと思います。
ストーンウォッシュ
これもその名前の通り、石を使用した洗い加工で、生地へのダメージ付けと同時に、高い色落ち効果がある加工です。
ユーズド加工のデニム商品は、このストーンウォッシュが多いです。
「洗う釜に石を入れて洗ってる」って知らない人も多いんではないでしょうか。
僕は初めて聞いた時「えっ!」ってなりました。
軽石を使うのでストーンウォッシュと呼ばれていますが、使用されているは石だけではなく、専用のボールやセラミックも使ったりします。
どんな表情に仕上げたいかによって使用するものが違ってくるようです。
ブリーチ
ブリーチ加工は、酸化剤や還元剤を使って強制的に色を分解させて脱色します。
このブリーチ加工は、生地が痩せて弱くなるほか、日焼けの問題が発生しやすくなります。
また、酸化剤と還元剤では色味が大きく異なり、酸化剤で行うと綺麗な青味、還元剤で行うとくすんだ青味になります。
さらに酸化剤で行うと繊維の劣化も進みます。
なので脱色後に中和処理が必要です。
もし、この中和処理が不十分だと強度が低下してしまいます。
家庭用の漂白剤の原液にデニムをつけて時間を置くと、穴があいてしまいます。それくらい、ブリーチの液剤は強力なんです。
オーバーダイ
後染め加工のことです。
ジーンズなどデニム製品を元の色の上からさらに染め、着古した色落ち感や通常の染色では表現しにくい微妙な色が表現できます。
ウォッシュ加工やダメージ加工などとともに定番化しつつある技法です。
他の加工と組み合わせて古着のような風合いを出すこともあります。
例えば、インディゴブルーのデニムにストーンウォッシュやサンドブラスト加工をほどこし、そこに茶系でオーバーダイ加工すると、白くなった部分が染まり古着のような色落ち感が出せます。
また、インディゴブルーのデニムをほかの色でオーバーダイ加工することによって、普通の染色では表現できない独特なカラーを生み出せます。
生デニム
現在ショップに並ぶジーンズのほとんどが洗い加工やユーズド加工、ダメージ加工などが施されています。
洗いを含めて加工が施されていないデニムを「生デニム(リジット)」と言います。
糊が付いた状態なのでとても固いです。
洗い加工により糊が落ち、生地が柔らかくなり、履きやすく動きやすくなっているのです。
自分の経年変化を楽しめる生デニム
ウォッシュ加工を施したアイテムも素敵ですが、加工が施されていない生デニムの製品で色落ちを楽しむこともできます。
糊がついているので硬いパリッとした生地感が特徴です。
何の加工も施されていない糊付きの状態から履き込むことで、自分らしいエイジングを楽しむことができます。
硬めの生地感をキープしつつ、
洗濯の頻度を少なめに穿いていると
こんな感じのバキバキの色落ちにできます。
絵で描いたようなバキバキの色落ちです。これは加工じゃないですよ。
ヴィンテージのレプリカジーンズが流行っていたときは、こんな感じのバキバキの加工のものがたくさんありましたが、最近はあまり見かけないですね。
デニムの色落ちにもトレンドがあるみたいです。
好みもあるんでしょうね。
生デニムの注意点
生デニムには縮みやすいのでサイズ感には注意した方が良いでしょう。
デニムは初めの洗濯で5〜10%くらい縮みます。不安な方は、普段よりもワンサイズ上の物を選ぶのが無難かもしれませんね。
「縮む」ということを上手く利用した、シュリンクフィットというものもあり、未洗いのデニムを洗うことで縮ませていき、自身の身体と動きにフィットさせて育てて履く生デニムのことです。
まとめ
今回ご紹介したのは代表的なもので、応用を効かせたものやダメージ加工など、種類はまだまだあります。
バイオウォッシュとストーンウォッシュを組み合わせたバイオストーンや、サンドブラスト、ダメージ加工など、種類は多岐にわたります。
洗い加工は釜に商品を入れて洗うので、大量につくる場合、全て同じものにするのは至難の業です。
それを製品として品質を揃えて供給している現代の技術はすごいな、とつくづく思います。
普段何気なくはいているデニムですが、多くの工程、手間ひまがかかっているんですね。
穿けば穿くほど味がでてくるので、変化を楽しめるのもデニムのいいところですね。
感想などをコメントいただけるのが、何よりとても嬉しいです。
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