こんにちは。服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。
カジュアルファッションの代表的なアイテムとして人気のスウェット。今ではストリートファッション、アメカジのコーディネートに欠かすことのできない存在です。
普段から当たり前のように見かけるので、みんな一着はもっているんじゃないでしょうか。
ところで、クローゼットや街ゆく人をみて、こんなふうに感じたことはありませんか?
「スウェットって、グレーのものが多くない?」
って。
調べてみたら、理由がありました。そして衣類や繊維の歴史、そして当時の人々の想いが込められていました。
スウェットの話から、杢グレーの話までまとめていきます。
スウェットシャツの歴史
スウェットは「sweat=汗」という名前の通り、運動着として誕生しました。
どのようなものか。誰が・なぜつくったのか、みていきましょう。
スウェットとは
本来はコットンを厚手に編んだ、伸縮性、吸汗性、防寒性に優れた生地のことです。
本来は生地のことですが、一般的に「スウェット」はコットンで編まれたプルオーバーシャツを指すことが多いです。
スウェットやトレーナーとも呼ばれたりしますが、正しくはスウェットシャツという名称です。
普通に会話していて、スウェットシャツって言いませんけど、正式にはそう言うようです。
スウェットシャツの歴史
スウェットの誕生は1920年代。
それまでは保温性のあるコットンの服はありませんでした。運動着もウールでできていたんです。
そんな中、アメリカのラッセルアスレチック社が、ウールで作られていた運動着をコットンに置き換えることを提案したことが始まりと言われています。
進化するスウェット
服の生地、織り方や編み方、素材は進化し続けています。
スウェットが誕生する以前は、保温性が必要な衣類にはウールなど動物の毛が使われていたんです。
その後、織り機の発達によってコットンで温かな生地を編み上げられるように。
そこからウール製だった衣類もコットンで作られるようになります。
コットンはウールよりも安価で大量生産ができるということもあり、コットン製スウェットはウールのニットの代用品として支持されました。
スウェットの誕生と杢グレーの誕生
歴史をみると何にでも当てはまりますが、何かを代用するときは必ずオリジナルを模倣します。
スウェットにおいてもそう。
スウェットシャツがコットンになるにあたって、ウールの色味をお手本にしたカラーが杢(もく)グレーです。
スウェットのカラーがニットを真似たものだなんて、とてもおもしろいと思いませんか?
杢グレーのメリットとデメリット
ここからは、スウェットの話から杢グレーの話になってきます。
杢グレーのメリット
ウールの色味を真似て誕生した杢のスウェット生地。どんな特徴があるのでしょうか。
こなれ感がでる
ニュアンスのある着こなしを助長して手軽にこなれ感のある着こなしが楽しめます。
耐久性がある
糸の中でも杢グレーは耐久力が高いといわれています。
織り方、編み方は抜きにして、色だけで言うとです。
逆に一番弱いのが白色(真っ白)。
強いけど劣化が激しいのが黒い色といわれています。
杢グレーのデメリット
一応デメリットもあります。
汗が目立つ
胸元や脇下の汗染みが目立ってしまう事です。ですが、今回のスウェットの場合は、肌着ではないので汗は気にしなくて良いと思います。
杢グレーをもっと知る
杢グレーとは、別名「霜降り」と呼ばれる独特な表情が特徴。
そもそも、杢とは濃い色と淡い色が混じり合った色のこと。
濃淡2色の糸を撚り合せた杢糸を使用しているのでムラのある生地感に仕上がり、見た目にも抜け感を与え、キメすぎないニュアンスのある着こなしを助長してくれる。
「霜降り」「杢柄」「ヘザー」「メランジ」「メランジュ」「ミクスチュア」「ミックスグレー」などいろんな言い方があります。
突き詰めると少し違うものなのですが、とりあえず全て色が混ざった杢調のことをさしているという理解で大丈夫です。
杢調の色を出すためには、杢調の糸を使って編み上げなくてはなりません。
ほかの色の生地よりも、杢生地は糸の段階からとても手間がかかっているので、
生地の値段も高いんです。
杢にもいろいろある
同じ杢でも、色の濃いものから淡い色のものまでたくさんあります。
グレーに限らず、ベージュや、または別の色でも、杢調の色合いは柔らかさがあって、ナチュラルな雰囲気が漂う。
これは一番よくみるグレーの杢です。
上のものより白の分量が多いのがわかります。
手持ちの服を意識してよくみてみると、杢調のものって意外とたくさんあります。
すごく身近な存在なんです。
色の濃淡は白や黒の糸の分量で決まります。
そんな白と黒の糸についてもまとめてみました。
白い糸•生地についてのこぼれ話
ナチュラルに感じる白い糸。
実は漂泊してつくられています。
綿繊維の油脂分・蝋質などを落とす為に漂白し、自然な白さにします。
白い繊維はこのまま生地になります。
白以外の糸は白い繊維を染色しています。
ちなみに、漂白された白い繊維は、髪の毛で言うと脱色している状態で耐久力が低いともいえます。
黒い糸•生地についてのこぼれ話
黒い糸を作ろうとしても、黒色の染料だけではグレー色に近い黒になってしまいます。
何度も何度も黒い染料で染色しないと真っ黒になりません。
そこでコストなどを考え、メーカー独自で赤・青・黄色等を混ぜて黒色を作っていきます。
白い繊維が弱いので、黒色の生地は強いのか、と聞かれると、染料・顔料が多く入っているので強いし硬いです。
しかし、黒い繊維は洗濯や紫外線で色の劣化がおきやすいという面もあります。
杢グレーの生地について
白と黒の良いところをうまく使ったのが杢グレーです。
調度いい生地の硬さと強度があり、強弱のバランスがとても取れています。
洗濯機でガンガン洗ってもヘタれにくく、色も劣化がわかりにくい。
白色・黒色・グレー色が入っているのでコーディネートしやすいなどの特徴があります。
最後に
スウェットの首元に見られるVガゼット。
これは、首周りの前後への伸縮や、汗止めのために採用されたと言われています。
英語で汗を意味するスウェットならではのディテールですね。
次回は、杢についてさらに掘り下げていこうと思います。
スウェットを長持ちさせるための記事もあるので、合わせて読んでみてください。
よろしければ、読者登録もお願いします。
↓ブログ村ランキングに参加しています。よろしければ、バナーをクリックしていだけると励みになります。