服地パイセン

アパレル業界に15年以上身をおく専門家のメンズファッションブログです。『アパレル通販の不安を解消したい』『あなたの洋服の疑問を解決したい』 そんな想いで運営してます。

これから世界を変える、リサイクルナイロンについて知っておくべきことをまとめました。

リサイクルナイロンに抵抗はありますか

こんにちは。服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。

 

「リサイクルナイロン」に抵抗はありますか?

僕は去年くらいまで抵抗ありました。抵抗あるというのは変な表現かもしれませんが、「わざわざリサイクルのナイロンを選ぶより、新しく作られたナイロンの方が良い」と思っていました。

 

ところがひとの価値観って簡単に変わってしまうもので今は何の抵抗もありませんし、むしろリサイクルナイロンを選ぶかもしれません。例えば夏のショーツの大定番、patagoniaのバギーズショーにもリサイクルナイロンが使われています。

  • ナイロンがなぜリサイクルされるのか
  • リサイクルの何が良いのか
  • どのようにリサイクルされるのか

などリサイクルナイロンについてまとめてみました。

 


 

リサイクルナイロンが浸透しはじめている

リサイクルナイロンを使用したパタゴニアのバギーズショーツ

現代はサステナブルな製品が求められています。環境問題が深刻化する中、アパレル業界で注目されているのがリサイクルナイロンです。

軽くて強度が高く、広い用途で使われるので、世界中のブランドがリサイクルナイロンで商品を作りだしています。

 

リサイクルナイロンとは?

リサイクルナイロンとは文字の通りで、一度製品化・消費・廃棄されたナイロンを再利用した素材です。

リサイクルナイロンは軽くて強度が高く、速乾性に優れるなどの特徴があり、バッグ、カジュアルウェアなどさまざまなアイテムに使用されます。

リサイクルでない普通のナイロンと機能性を比べても、何ら劣らないのも特徴と言えます。

 

リサイクルナイロンが地球に優しい理由

数年前までは、ナイロンなど化学繊維は、サステナブルの分野では避けられていました。原料に石油を使うから環境によくないとされていたからです。

ところが、ナイロンを再利用するということの重要性と利用価値が見直されだして、どんどんリサイクルナイロンが普及していっているのが現状です。

そんな今では地球に優しい素材として注目されているリサイクルナイロンの良いところをまとめました。

 

なぜリサイクルが温暖化防止につながるのか

再利用なので環境にいいのは、なんとなくわかります。具体的にどのように環境にいいのでしょうか。

 

石油を原料として製造する普通のナイロンに比べて、製造時の環境への負荷を軽減できるのがリサイクルナイロンです。

普通のナイロンと比べると、二酸化炭素排出を18%も削減できると言われています。

 

環境破壊の原因になる廃棄物を減らせる

漁業の網

環境破壊の原因のひとつである廃棄物を減らせるということも、リサイクルの良いところです。

 

廃棄物として持ち込まれたプラスチックや、海洋プラスチックとして問題の魚網を主な原料にリサイクルナイロンは作られます。


廃棄物を資源として再利用するということは、本来であれば廃棄過程で出るはずだった有害物質を出さずに済むということなんです。

 

石油の節約ができる

石油は限りある資源のひとつです。いま世界は石油に依存しすぎてるので、その石油の節約にもなることは大きなメリットになります。

 

衣類のリサイクルの種類

リサイクルという言葉は一般的に使われていいますが、どんな方法があって、どのように再利用されているのか、意外と知らない人は多いと思います。

回収された衣類のリサイクルの方法は大きく3つに分けられます。

リサイクルの種類はケミカルリサイクル、マテリアルリサイクル、サーマルリサイクルがある

 

ケミカル・リサイクル(原料に戻して再利用する)

ケミカルと呼ばれている名前のとおり、科学的な方法でおこなうリサイクルです。

合成繊維を化学的に分解して石油原料にしから、原料として再利用することです。

要するに、一度原料に戻すリサイクルです。

 

マテリアル・リサイクル(材料のまま利用する)

同じような用途の原料として再利用することです。

同一製品の原料に使用する場合はレベルマテリアルリサイクル、一段階下げた製品の原料にする場合は、ウンマテリアルリサイクルといわれます。

例えば、衣類のマテリアルサイクルには次のようなものがあります。

 

エス

廃棄された古着などを布状にして、ぞうきんや機械の油拭き用の布として利用する方法。

小学校の頃に、家庭で使い古したタオルをぞうきんに縫い直して学校の掃除用に提出していましたが、まさにこれですね。

(もしかして僕の学校だけでしょうか?)

 

反毛(はんもう)

不要になった衣類などを細かく裁断し、さらに機械でひっかいて、繊維を綿状にほぐしたものです。

その反毛綿は住宅の断熱材に利用されたり、絡み合わせてフェルトにしたりして利用されます。

 

サーマル・リサイクル(熱源として利用する)

サーマルリサイクルは、化学繊維などを種燃料もしくは助燃材として利用することです。

ほかに出た可燃ゴミと一緒に焼却し、発電に利用したりもします。

 

ナイロンがリサイクルに適している理由とは?

「ケミカルリサイクル」
「マテリアルリサイクル」
「サーマルリサイクル」
の三つの方法があると述べました。

 

その中で、ケミカルリサイクルだけが衣類としてナイロンを再利用できる方法です。

そしてナイロンがケミカルリサイクルに適している理由は2つあります。

 

ナイロンがリサイクルしやすい理由は?

衣類として再利用できるケミカルリサイクルは、繊維を分子まで分解してから再構築するというものです。そのプロセスは単純である方が効率が良いといえます。

 

ここでいう単純とは何かというのがポイントになってきます。

例えば、ポリエステルは2つの成分からできています。

対して、ナイロンを構成する成分はたったの1種類だけなんです。

 

つまりナイロンは単純で、分解し再構築するのが簡単で効率が良いということが言えます。これがナイロンがリサイクルに向いているひとつめの理由です。

 

ナイロンは高価である

ふたつめの理由です。ポリエステルとナイロンを比較するとナイロンの方が原料の価格が高いということ。

 

原料の価格が高いということはリサイクルする価値も高いということなんです。

 

価値が高くてリサイクルもしやすい。これはリサイクルしない手はないでしょう。

 

最後に

リサイクルナイロンはアパレル製品にとって、とても優れた素材。地球に優しいリサイクルナイロンの活用はこれからもっともっと広がるはずです。

 

本当はもう少し詳しく書きたかったりparagoniaのバギーズショーツのことまで書きたかったのですが、長くなってしまったので、またそのうち書いてみようと思います。

 

 

合成繊維についてまとめた記事もあるので、是非あわせて読んでみてください。

 

www.fukujipaisen.com