服地パイセン

生地にうるさい服屋で学んだことを活かし、洋服のわかりづらいことをわかりやすく解説します。

たったこれだけ!スウェットを買う前に知っておくべき3つのこと。

スウェットを語るには

こんにちは。 服の生地についてのブログを書いています、服地パイセンです。

 

クルーネックのスウェットシャツのことを「スウェット」と呼びます。「トレーナー」と呼ぶ人もいます。

どちらもクルーネックのスウェットシャツなのですが、「トレーナー」と呼ばれるようになった理由、知ってますか?

 

それは、1960年代にアイビーブームをもたらしたVANが、スウェットシャツを「トレーナー」と名付けて販売し、その名称が一般化したようです。

商品名が一般名になるって、すごい影響力ですね。

 

さて、今回も懲りずにスウェット関係のお話です。スウェットを見きわめるポイントや特徴をまとめました

 

 

スウェットの生地の特徴

 

スウェット生地がシャツなどとは異なる大きな特徴は、表と裏の二重構造になっていることです。

 

スウェットの表地と裏地

 

スウェットは裏と表が全然違う生地

表は平編みで編まれた「メリヤス」と呼ばれる生地になっています。天竺編みとも言います。

伸縮性があり、なめらかな肌触りが特徴です。

 

だいたいどんなスウェットも表地ってそんなに大差ないですよね。
違うのは裏なんです。


裏地は大きく分けると2種類あり、「裏毛(パイル)」と「裏起毛」です。

 

なんとなく聞いたことあるけど、知らなかった人、同じものだと思っていた人も多いと思います。

 

着たいシーンなどで、この2つのどちらを選ぶかが変わってきます。

 

裏毛はタオルの様なパイル状

スウェットの裏毛パイル

 

スウェットでも
「なんとなく薄めの生地だなぁ」
と思っていたものは、だいたいこの裏毛だと思います。

 

裏毛とは、表は平編みで裏をタオル生地のようなパイル状(ループ状)に編み込んだ生地です。裏パイルとも呼ばれます。

吸湿性が高くスポーツにも適しています。

裏起毛と比べると保温性は低く、オールシーズン通して着るなら裏毛がおすすめです。

裏起毛は暖かい

スウェットの裏起毛

 

スウェットを複数枚持っている人は、「これは暖かいから冬用のスウェット、薄いから春用のスウェット」と分けているかもしれません。

裏起毛は冬用のスウェットにしている人が多いと思います。

 

裏毛を起毛させ、ふんわりとした着心地です。

生地の厚みが増し、さらに生地の中に空気が多く含まれることによって、保温性が格段に高まります。

裏毛と比較すると温かいので、冬など寒いシーズンや気温が低いシーンで活躍します。

 

感触がより柔らかくなっているため、ふんわりとした着心地が楽しめます。

 

スウェットの編み機

見た目だけではわからないと思うのですが、スウェットを編む機械は大きく2種類、吊り編み機シンカー編み機があります。

どちらもスウェットを編む機械ですが、編み方が全く違います。

 

「吊り編みは知ってるけど、じゃない方は知らない」
って人意外と多いんじゃないでしょうか。

シンカー編み機とは


今主流の効率の良い編み機が、シンカー編み機です。

 

シンカーは編み機に使われる部品の名称で、複雑な形をしている薄い金属の板です。

この部品が使われる編み機をシンカー編み機と呼んでいます。

 

80年代にこのシンカーと呼ばれる新型編み機が登場。

生地の目を1段ずつ編む吊り編み機に対して、シンカーは100段以上一気に編めるという驚異的な生産効率で、当時のニット工場は次々と吊り編み機からシンカーへと移行しました。

 

旧式の編み機=吊り編み機、
現代の編み機=シンカー編み機という理解で大丈夫です。

吊り編み機とは

ループウィラーなどのスウェットで知られる吊り編み。このブランドが吊り編みの知名度を上げていると思います。何を隠そう「吊り編み」は英語で、loopwheel(ループウィール)といいます。名前にするくらい吊り編みにこだわったブランドなんです。

シンプルなスウェットですが2万円前後と決して安価ではありませんが人気。

 

では、吊り編み機がなぜ支持されているのかを簡単に言うと、品質が高いヴィンテージスウェットの生地を再現するのに適しているからです。

 

吊り編み機は1時間に1メートルしか編めない古くから使われている編み機で、1810年代にフランスで開発されました。

ヴィンテージスウェットの多くは吊り編み機で編まれてます。

 

吊り編み機で編む生地は、糸によけいな力がほとんどかからず、ふっくらとした仕上がりになるのが特徴で耐久性にも優れています。


現在は吊り編み機は製造されておらず、世界的に数が少なくなった編み機。

和歌山県にある工場は、吊り編み機を保管する希少な存在として注目されています。

 

スウェットの袖の種類

スウェットの袖は3種類あります。

着ていて「なんとなく動きやすいなぁ」とか思うものは案外袖の形に特徴があったりします。

セットインスリーブ

セットインスリーブのスウェット

 

もっとも一般的な袖で、袖と身頃の生地の縫い目が「肩から脇」にかけてほぼ垂直にまっすぐ入っています。

持っているスウェットを見返してみると、ほぼこの形状になっていると思います。

 

ラグランスリーブ

ラグランスリーブのスウェット


生地の切り替えが、ネックから脇にかけて斜めに曲線を描きながら入っているのが最大の特徴。

腕が上がりやすく、動かしやすいため、スポーツウェアによく見られる形状でもあります。

 

縫い目が裏返しのデザインのスウェットで少しわかりにくくてすみません。

フリーダムスリーブ

フリーダムスリーブ

 

肩から腕への縫い付けがS字のような曲線を描く仕様は「フリーダムスリーブ」と呼ばれます。

球技でスローイングがしやすいように考案されたアスレチックウエアとしてのデザインです。現在はほとんど使われません。

フリーダムスリーブのスウェットは持っていないので、これだけイラストですみません。

 

最後に

スウェットの知っておくべきところをまとめてみました。

他にもプリントの方法なんかも種類がたくさんあり、奥が深くて面白いアイテムです。

 

 

スウェットと杢の誕生についての記事もあるので、よかったら読んでみてください。

www.fukujipaisen.com

 

杢糸と霜降り糸の違いや意匠糸についての記事もあります。 

www.fukujipaisen.com

 

 

 

感想などコメントいただけるのが、何よりとても嬉しいです。

はじめましての方も、思ったことはお気軽にお書きください。

 

 

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