こんにちは。 洋服の生地についてブログを書いています、服地パイセンです。
今回は僕が好きなパンツである、ベイカーパンツの魅力について書いていこうと思います。
ベイカーパンツという名前で知られますが本来の名称は「ユーティリティーパンツ」や「ファティーグパンツ」と呼ばれる、軍パンでありワークパンツでもある古着では定番のアイテムです。
定番ということもあり、僕はこれまで過去に何本か穿き潰してきました。それくらい使いやすく好きなパンツ。これまでの経験や私見、解説を交えながら、僕が思うベイカーパンツの魅力についてまとめます。
ベイカーパンツの魅力を語ります
『デザインは好きなんだけどイマイチ似合わないんだよなぁー』なんて洋服がよくあります。好きなものも似合うものが一致しないことは誰しもあると思うので仕方のないこと。
しかしベイカーパンツは違います。ベイカーパンツは誰でも似合いやすいデザインなので期待を裏切りません。
シンプルなデザインでアメカジ好きには定番のパンツですが、一般的にはあまり認知されていないところが不思議なくらいです。そんなベイカーパンツの僕が好きなポイントを挙げると
- ディテールが好き
- コーディネートしやすくて使いやすい
- 語れるような背景がある
というところです。
次の項からもう少し詳しく書いてみます。
ディテールが好き
まずはベイカーパンツの好きなディテールやポイントを挙げていきます。
便利でつかいやすいポケットが良い
ベイカーパンツの1番の特徴が『ポケット』です。
フロントにはベイカーポケットと呼ばれる大型のパッチポケットが左右に1つずつ付きます。
フロントの四角いパッチポケットはベイカーパンツのデザインアイコンです。このポケットが良いんですよね。シンプルだけどしっかりカジュアル。ほどよく主張があって大好きです。
ヒップにはフラップ付きのパッチポケットを装備。
よく見るとフラップの付いている位置(高さ)が左右でバラバラです。左側(←)のフラップの位置が右側よりも少し高めに付いているのがおわかりでしょうか?
この縫製ミスは現代の洋服であればB品扱いになり販売できないでしょう。
僕の穿いているベイカーパンツは1960年代のもので、いい意味でとても雑だと思っています。作業用のワークパンツであることや、この時代のラフさなど、伝わってくるいい加減さがこれまた魅力。
ちなみに通常のポケットはパンツの中に袋を作るよう縫製されますが、ベイカーパンツはポケットを外側に貼り付けるような仕様になっています。
すべてのポケットが後から別布を貼り付けるというものなので、手間が掛からず生産性が高いという製造上の利点があります。
味が出るダブルステッチが良い
ベイカーパンツは要所要所がダブルステッチで縫製されています。(たしか年代によって違いがあったと思います)
着用と洗濯を繰り返すとパッカリング(縫い目のシワ)が出て、立体的で奥行きのある味が出できます。そう、僕はダブルステッチが大好きなんです。
シンプルなデザインが良い
いわゆる軍パンってなんか無骨なイメージがあります。例えばカーゴパンツはポケットが多くてごちゃごちゃしていますし、無骨さが苦手な人も多いです。
ベイカーパンツはシルエットこそ太めですが、デザインはシンプルなので合わせやすい。流行り廃りなく穿けるアイテムです。
経年変化を楽しめる生地が良い
ベイカーパンツにはバックサテンと呼ばれる生地が使用されています。
軍ものの生地ということもあり最初は硬くてゴワゴワしています。でも穿き込むほどに柔らかくなってきて、表面がいい感じに褪色して白っぽくなってくるなど趣のある経年変化を楽しめます。
さらに穿き込むと、はじめのゴワっとした質感が嘘のように柔らかくなり、最終的にはレーヨン混のパンツのような落ち感を味わうことができます。
体型カバーできるシルエットが良い
僕はO脚なので似合うパンツが限られています。スリムパンツを穿くと脚のシルエットが出てしまうこともあり、あまり細すぎるパンツを穿きません。
ベイカーパンツはドカンとまっすぐなストレートシルエット。この形はO脚をしっかりカバーしてくれるのが良いんですよね。股上も深いのでおなか周りのカバーもしてくれますし。
最近は古着好きな若者にも人気のようですが、お腹の出てきて体型の崩れてくる、オッチャン世代にもぴったりだと思います。
年代で違いがあるから出会いを楽しめる
ベイカーパンツは何十年も軍に採用されていることもあり、年代によってディテールが異なります。古着屋で物色してみると、一期一会の出会いを楽しめるアイテムでもあります。
例えば、このベイカーパンツのヒップポケットのボタンは平ボタンが使用されています。
1970年以降はいわゆるUFOボタンが使用されるので、それ以前のものということになります。
…というように年代で変わるディテールがいくつかあります。『フロントのジッパー』『サイドのステッチ』『生地』など。
フロントはボタンフライもジッパーのものもあって、ジッパーが付くのはたしか1970年代以降。
サイドも1960年代まではダブルステッチ、1970年代以降はタテ縫いだったはず。
このように年代によってディテールが異なるので、古着で探す(出会う)楽しみもあります。
コーディネートしやすくて好き
ベイカーパンツはコーディネートしやすいことも魅力で、カジュアル、アウトドア、ストリート等どんなジャンルにもマッチします。
トップスにはTシャツでもシャツでも合いますし、足元もスニーカー・革靴、夏はサンダルと何を合わしてもOKなんです。
デニムパンツやチノパンのように普段のコーディネートに溶け込みやすい、まさに定番のパンツ。
カジュアルにも穿ける
ベイカーパンツにカジュアルなトップス&スニーカーで合わせるとラフでカジュアルなコーディネートに仕上がります。
誰でも持っているようなアイテムと合わせるだけですが、パンツに味があるのでこなれた感じが出せます。
ラギットにもきれい目にも対応
ベイカーパンツは襟付きのシャツ+革靴で合わせると、きれい目だったり男らしいラギットなコーディネートに持っていけます。
デニムシャツとダービーシューズで簡単にラギットなアメカジスタイルの完成です。
語れる背景とルーツも魅力的
ベイカーパンツはそのルーツも少し謎めいた魅力があるように思います。
ベイカーパンツはミリタリー由来のパンツです。野戦用のカーゴパンツに対して、工場などで穿かれた作業用のいわゆるワークパンツ。
OG107というオリーブグリーン色のコットンサテン生地を使用しているのでミリタリーのパンツと認識されていますが、米軍が採用し始めたのは1940年代から。それ以前はワークウェアとして存在していたともいわれているようで、そのルーツは諸説あるようです。
19世紀のイギリスのワークウエアがルーツとか、本当にさまざまな説があって、その謎めいた部分も魅力なんですよね。
ちなみにベイカーパンツ=パン屋のパンツという名前ですが、パン屋が穿いていたわけではないそう。パッチポケットが食パンのように見えるからとか聞いたことありますが、たぶん違うと思います。ベイカーパンツという名称も日本独自らしく、海外ではファティーグトラウザーなんて呼ばれています。
【ベイカーパンツのデメリット】意外と強度が低いところは残念
ミリタリーが出自なのでタフで頑丈だと思われますが、案外強度が低い箇所もあるんです。
ベイカーパンツはこれまで何本か穿き潰しましたが、ダメになる箇所はたいてい決まっていて、特にポケットの差し込み口がダメになりやすい。
ポケットの差し込み口は、手がよく擦れることもあって摩擦で毛羽立ちやすい箇所になります。
スマホをポケットに入れて持ち運ぶ人は多いと思うのですが、フロントのポケットもスマホのかたちに破れやすいです。バックサテンは穿いていると生地が薄くなってきて、スマホの形がくっきり浮き出てきたり、角の形に沿って穴が空いてしまったりします。
強度の面では、ディッキーに代表されるようなTCツイルのワークパンツの方が長持ちします。
最後に、おすすめのベイカーパンツを紹介します!
ベイカーパンツの魅力について書いてみました。
このベイカーパンツを購入したのは確か2010年とかそれくらいなのでだいぶ前のことなのですが、なんだかんだ大事に履いてるので長持ちしてますね。
現行のベイカーパンツといえば、『スタンレイ(ガンホー)のベイカーパンツ』が間違いないと思います。
Made in U.S.A.なのに買いやすい値段なので、是非チェックしてみてください。
▼より本格的なものを探すならミリタリーショップのWAIPERもおすすめです。
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