こんにちは。
服の生地についてのブログを書いています。服地パイセンです。
無印良品のオーガニックコットンシャツ、
今治タオルのオーガニックコットンタオル、
オーガニックコットンのマスク、
などオーガニックコットンを目にする機会が増えました。
農薬を使ってないからオーガニック、って言うのはなんとなく知っていましたが、
なぜわざわざ「オーガニック」と付けるんだろう、と思っていました。
調べてみると、
オーガニックじゃないコットンがやばい
ということを知りました。
- オーガニックコットンとの出会いとなぜ今オーガニックなのか。
- 環境問題とコットンになんの関係があるのか
- コットンの栽培と環境負荷
- オーガニックコットンについてのまとめ
- オーガニックコットンとオーガニックな素材
- 最後に
オーガニックコットンとの出会いとなぜ今オーガニックなのか。
「オーガニックコットン」というワードが一般的に使われだして久しいです。
僕がオーガニックコットンという単語を初めて聞いたのは、
たしか15年ほど前のアパレル業界に携わりだした頃。
オーガニックコットンを使用したデニムの説明を当時の店長から受けたときだと思います。
その時も、ただなんとなく
「オーガニックなコットン」
くらいにか思っていませんでした。
当時は今ほど環境負荷やサスティナブルといった気運はありませんでしたが、
今はSDGsなどで国民の環境に対する意識が変わってきたように感じます。
それはゴミ問題やエネルギーだけでなく、ファッションについてもいえることでした。
環境問題とコットンになんの関係があるのか
それを語るには、
オーガニックコットンだけでなく僕たちが普段一番よく着ている素材、
普通のコットンについて知らなければなりませんでした。
オーガニックコットンと通常のコットンの違い
なにが違うのか。
また違うことでどんな影響があるんでしょうか。
善と悪ではないのですが、
オーガニックコットンの栽培と普通のコットン栽培を両極からみていくと、
その違いが見えてきました。
オーガニックコットン
オーガニックコットンは
「有機栽培認定基準に従って、化学物質を3年間使用していない畑で、一切化学物質を使わないで栽培された綿花のこと」
化学物質を使用しないので、なんとなく環境やひとに優しいということはイメージできると思います。
では、なぜオーガニックである必要があるのか?
それを知るには、
通常のコットンの栽培について知らなければなりません。
コットンの特徴
コットンは非常にデリケートな作物だそうです。
産業として成り立たせようと思うと、
種の状態、栽培中、収穫時などさまざまな手を加える必要があったもよう。
植える前の種は、
虫食いされないように、あらかじめ防虫剤を散布。
コットンが育つ土壌には、
化学薬剤・化学肥料をつかって土壌消毒・土壌改良をします。
コットンを育てながらも、
雑草を除去するために除草剤を散布。
コットンの葉についた虫を駆除するために殺虫剤も散布。
コットンの収穫時には、
人工的に葉や茎を枯らしてしまわないと葉の葉緑素が綿花について、
シミになってしまうそうです。
それを防ぐために枯葉剤を空中散布。
枯葉座とは、あのベトナム戦争で使用した枯葉剤です。
収穫後の紡績の際も補助材として化学薬剤を使用。
漂白剤、防腐剤、化学染料など様々な化学薬品で処理することで、
大量の工業排水がたれ流されてしまいます。
その排水も、一応は薄めてから流しているそうですが、
薄めたから環境に負荷がかからないというものではないはず。
そのコットンは加工されて、大半がぼくたちの衣類になるんです。
なぜそんなにたくさんの農薬がつかわれるのか?
野菜などは無農薬のものがあるのに。
コットンは口にいれるものではないので野菜ほど意識が高くなく、
農薬を大量につかってしまうようです。
コットンの栽培と環境負荷
今日、僕たちの着ている服のほとんどがコットンです。
「コットン100%」と聞くと
なんとなく自然のものでナチュラルなものを身にまとっている感じがします。
ですが綿栽培は、土壌汚染と水不足、
農地の荒廃をまねき、農家のからだを蝕みます。
口に入れてからだに吸収される食物だったら問題を認識しやすいのですが、
袖を通すだけの衣服となると、無関心なままになってしまっている気がします。
農薬をはじめ、コットンの栽培による影響をいくつか挙げてみます。
農薬の問題
コットンの農場は、全世界の農地面積でいうと、2%ほどしかありません。
それだけの面積なら問題ないのではないかと思います。
ですが、全世界の農薬使用量のなんと26%がコットンの栽培に使われています。
アメリカでは、農薬の50%近くの農薬がコットンの栽培で消費されるそうです。
農薬のほとんどをコットンの栽培に使ってるということです。
農薬を甘く見てはいけません。
全世界で毎年2万人が農薬事故で死亡し、その疾病患者数は毎年300万人といわれています。
コットン農家は、農薬使用量、回数、種類(防虫剤、殺虫剤、除草剤、枯葉剤)が多く、農薬使用時による事故の確率もその分高いのが現状。
最近では自然環境中に分解されやすく、
特定の生物のみに特化した農薬や天然成分を利用した農薬などがあり、
以前より安全性は高くなっています。
しかし綿栽培に用いる農薬は、
大地に残留し河川や海の水中の生き物や動植物・人間にも環境ホルモンとなり害を与えています。
コットンの栽培で干上がりかけた湖がある
コットンは綿花の部分を大きくするために大量の栄養分と水を必要とします。
これはコットンが悪いというわけではなく、
綿花の栽培を計画したわれわれ人間が悪いのですが、
こんなことがあったという歴史を紹介します。
カザフスタンとウズベキスタンにまたがる塩湖「アラル海」。
かつては世界第4位の面積を誇る、広大な湖でした。
しかし、現在ではそのほとんどが縮小しこのままでは消滅してしまうのではないかとさえ言われています。
コットンの栽培が、かつて世界第4位の大きさをもったアラル海を干上がらせ、
農薬の蓄積によって汚染された広大な土地をもたらしたのである。
1940年代、この辺りが当時の領土であったソ連は、アラル海の周辺地域で綿花を栽培しようという計画を立てます。
綿花栽培には大量の水が必要になるので、アラル海に流れ込む2つの川を灌漑し運河を作りました。
その結果、綿花の生産量は計画通り増やすことができました。
ところが、このことが悲劇を生むきっかけとなりました。
灌漑とは、要するに川の水をせき止めてしまうことですから、
アラル海に流れ込む水が激減してしまいます。
1970年代には年平均で60cmという驚異的なペースで水面が低下していきました。
自然と共生できない人間の持つ愚かさを直視し、常にその思いを矯正し続ける。
「環境を考える」こととはその作業の積み重ねのような気がします。
オーガニックコットンについてのまとめ
オーガニックコットンとは無農薬有機栽培で育てられたコットンのこと。
農薬を使わず、家畜の糞や堆肥などの有機肥料を使って栽培されたものです。
オーガニックコットンは、各国の認証機関によって、農場や工場で厳しく検査され、合格したものだけが名乗ることができます。
オーガニックコットンの価格は高い?
オーガニックコットンの栽培は手間暇がかかるだけに高いです。
材料の価格は、普通のコットンの1.5倍~2倍くらいです。
その手間暇とは、どのようなものなのでしょうか。
ひとつずつ説明していきます。
種のこだわり
防虫剤など、何も使用しない。
土壌 の安全性
生育期の工夫
手作業による除草。
天敵益虫をつかって害虫を駆除。
収穫期の取り組み
枯葉剤は使用せず、水路の封鎖などによって自然に枯れさせる。
紡績も優しく
蜜蝋、小麦粉、菜種油、果実汁の使用。
加工時の配慮
天然石鹸と温水だけで行う。
オーガニックコットンとオーガニックな素材
よくよく考えてみてください。
自然本来の生育であれば、「オーガニック」といわなくても、いいはずです。
普通のコットンは農薬を使いすぎるから、わざわざ「オーガニック」と分けなければならないのです。
そして、環境問題の深刻化と環境意識の高まりを受けて、アパレル業界は1990年代前半からオーガニックコットンを取り扱い出しました。
1990年代後半からはヘンプも取り扱っています。
なぜヘンプなのか?
ヘンプは雑草や害虫に強く、成長も早いので、
除草剤や殺虫剤を必要とせずに成長するからです。
ヘンプは、わざわざ「オーガニック」という冠をつけなくてもオーガニックな繊維なんです。
1トンの繊維を得るために必要なエネルギー消費量で比べると、
実にコットンの3分の1のエネルギーで生産ができるそうです。
ヘンプについてまとめた記事がこちらです。
最後に
僕はコットンのインナーが好きで、記事を書いている今も無印良品のオーガニックコットンのTシャツを着ています。
着心地がよくて、丈夫で、扱いやすくて気に入っています。
そして、普通のコットンのインナーも着ています。
ふつうのコットンがやばい、というのはこれまでの話。
これからは環境負荷など見直されて、どうなっていくのかはわかりません。
コットンの栽培方法が少しでも見直されるのか。
別の繊維に代替されていくのか。
全てオーガニックコットンになるのか。
それとも現状のままなのか。
決してコットンが悪いというネガティブな内容を伝えたいのではなく、
コットンの栽培についての現状を一人でも多くの人に知ってほしいと思い、今
回の記事を書いてみました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
アパレル生地の分類についてまとめています。是非読んでみてください。
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